どうも気分が優れない。
 秋のせいなのかなあ、なんてぼんやり思ったり。
 でも、どうして秋になると物思いにふけってしまったりブルーになったりするのだろう。
 綺麗過ぎる空やきんと冷たく冷えた空気とまだ夏のように熱い日差しの強さのアンバランスさが、心のバランスも崩すんだろうか。
 あるいは、少しずつ元気をなくしてゆくように見える街路樹に、自分の姿を重ね合わせてしまうのかな。
 ブルーになったときにいつも思うことは、自己嫌悪に近い。
 自己否定や自己批判や、ようするにただの自意識な訳だけれど、そういう、社会や世界や人によるものでなく自分によっての批判って、結局ただ悪戯に自分を痛めつけることが多い。意味がない。
 「ポジティブな日本人は五人に一人しかいない」
 とかいう学説を読んだことがある。人数はちょっと出鱈目。でも、十人に三人とか、なんかちょっと少ないなあ、って数字だった。確か同じ本に、「イタリア人は半数以上がポジティブ」だと書いてあったように記憶している。ポジティブ遺伝子、なるものがあるのかどうか知らないし、随分と前に読んだので、根拠やなんかは忘れてしまった。
 日本人にネガティブな人が多いのは、秋があるからなんじゃないだろうか、と思う。日本だって、沖縄や九州の人は、本州の人よかポジティブなんじゃないかなあ。
 そういえば、何年か前の秋、宮崎へ行った。
 もう十月だというのに、街の中の街路樹は青々としていた。しかも、街路樹はバリ島などで良く見かける椰子状の大きな葉の樹。海は青くてぽかぽかと日差しが暖かく、一人で散歩して青い海をぼんやりと眺めたりした。地図を開いていれば町人がすぐに優しく声をかけてくれるし、あそこでは、人はみんなにこにこ笑っていたような気がするなあ。確かに、綺麗なものの前で不機嫌でいることは難しい。
 だけど、東京にいると綺麗なものが見えなくなる。目の前にあることに気づきづらくなる。
 わたしは結構楽観主義者で、なんでも成せば成る、と思っているほうなのだが、それでも秋にはやはり、だいぶんにネガティブだ。
 ああ、南国に行きたいな、なんて思うときは、ひょっとしたら弱ってるときなのかもなあ、なんて思うのだけれど、冷え性で冬どころか春も秋も自分の手の冷たさに参るわたしは、基本、いつでも南国に行きたい。
 南国に住みたい。
 でもそうしたら仕事なんかしないだろうな、という危機感もあるので、南国は夢に見るだけ。とりあえず、あと数年は。




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