星占いを信じない人は、「だって、人間を生まれた時期なんてもので十二種類に分けられるとは思えないから」と言う。
 血液型占いを信じない人は、「人間をたった四種類に分けられるとは思えないし、第一日本だけだよ血液型を占いに使うのは」と言う。
 けれど同じ月日同じ血液型、だったら十二×四で人間を四十八種類に分けられることになり、さらにそれに同じ生まれ年、をかけたなら、どうだろうか。
 それだって世界の人口で考えればおおざっぱな分類なのだろうけれど、またさらに育った環境(同じ国同じ地方同じ県)、を加味すれば、それなりに人数は絞れるはずだ。日本だけだって都道府県は四十七もあるわけだし。つまり、日本の中だけで考えても、十二×四×四十七×(人生八十年とすれば)八十。
 そこまで同じところに分類された人間だったら、似たような性格、似たような運命になったりしないものだろうか。
 ということを、随分前から考えている。
 その理由は、わたしには「同じ歳同じ月日同じ血液型同じ県育ちの人」が、いるからである。
 といってもその人はテレビの中の有名人で、わたしとは接点がないし、もちろん見た目もまったく似ていない。
 彼はとあるアイドルグループの一人で、でもそれなのにとても地味だ。
 なんとなくぼんやりしていて、バラエティ番組なんかでする発言もどこかピントがずれている。生真面目すぎて、面白味に欠ける。というか、彼が面白いと思うものを、他の人は面白がってくれない。そのグループを好きだという人にはたくさん会ったことがあるけれど、彼個人のファンだ、という人にはいまだかつて出会ったことがない。彼の魅力としてよくあげられる美点は、見た目でも歌唱力でも演技力でもオーラでもなく、「いい人」であることだ。いつもにこにこと静かに笑っている。
 でもわたしは見逃さない。微笑む彼の目の奥が、あんまり笑っていないことを。
 ああ、似ている、どこかが。
 と、思う。わたしと、どこかが似ている気がする。
 「同じ星同じ血同じ場所」の呪縛に囚われているから、そんなふうに思うだけかもしれない。
 でもそれでも、わたしはその人がテレビに出ているのを眺めるたび、
 「あんたいい人ってよく言われてるけど、知ってるんだからね、本当の姿を」
 なんて思ってしまう。
 わたしは、だから注目している。
 同じ運命かも知れない彼が、これから先、どんなふうに生きてどんなふうに死んでいくのかを。星と血と場所が同じ人間の、いわば彼は代表者なのだ。
 最終的に行き着く先がわたしと彼と一緒だったら、占いの信憑性は随分上がる。少なくとも、わたしの中では。



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