12月14日

 えーと、きょうはみんなへのちょっとしたお願いから。
 来年春、「200万部突破記念」ということで初エッセイ本を出すことになったんだけど、それを恋愛についての本にしようと思ってます。
 日ごろ、よく考えるけど答えが見つからない恋愛の悩みとか、迷いなんかを、この本を読めば眼からウロコでわかるような本にしたい!!
 最終的にはどうすれば好きな人に愛される、でも自分をちゃんと持った女の子になれるかっていうむずかしーいことを、一生懸命、語っちゃうつもり。
 それでもし、この亜美サイトを訪問してくれた人で、恋愛の悩みを抱えてる人がいたら、ぜひBBSに書きこんでください。もし「この悩みは、他にも同じことを思ってるひとがたくさんいそう」と思ったら、質問として採用させていただきます。といっても別に何のお礼もできないんだけど……。
 ただ、いい回答が発見できるかもって感じです。
 もちろんあたしが頭をひねったり、いろんな女の子たちにも聞くんだけど、なるべく多くのひとが共感するけど、あんまり人に聞けない悩みをピックアップしたい!!「あたしってヘンかな」とか思わずに、ストレートに書いてくれるとうれしいです。

 たとえば

「あたしは付き合って二年の本命カレシがいます。彼はすごく大切だけど、ケンカが多いし最近はトキメキがなくなって、好みの年下の男の子と一緒にのみに行きエッチをしてしまいました。浮気されるのは絶対に嫌だけど、自分はしたい。絶対バレないように隠れてすればいいのでしょうか
17歳 赤いマフラーのシマウマ」

とか

「誰かに好意を持っていても、向こうから告られたりするとひいてしまって、好きな気持ちもなくなってしまいます。自分から誘っても相手が自分を好きとわかると嫌になってしまうのです。わたしは一生、恋愛ができないのでしょうか
22歳 さくらちるこ」

 とかね。
 名前は本名やHNじゃなくてもいいよ。
 選ばせてもらった質問には、一生懸命答えます。
 よろしく!!
 あともう一冊の書き下ろし本は、不思議な運命で結ばれた三人の男女の、深い愛の物語。
 誰かを深く愛する気持ちと気持ちは、決してぶつかり合わず、共鳴しあって、一人では前にすすめないことに勇気をくれる、そんなストーリーです。
 人は誰かをマジに好きになると、臆病になる。
 こんな自分ではもう愛されない、嫌われてしまうと好きな人に背中を向けて、怯えて足が止まってしまう。そして絶望のあまり、闇の中に閉じ込められてしまうこともある。ひどい屈辱的な暴力にあってそんな状態に陥った主人公、モミジに傷つくことを恐れず未来を受け入れる勇気をくれたのは、不思議な運命の少年ミツルだった。彼の教えで、モミジは闇のトンネルを光へと歩き始める……。

 最近、よく勇気と未来について考える。
 皮肉な運命に打ちのめされたり、心ない言葉のナイフに胸をえぐられたりして、「もうなにもかも終わり」と思ったとき、次の一歩を進ませてくれるのは、やっぱり人の言葉。
 恋愛関係じゃないけど、親友以上にすごくいとしくて大切なひとっていう存在はきっと皆にもいると思う。それもやっぱり愛だよね。その人が世界に唯一無二のかけがえのない存在だから、一緒にいる時間、交わす言葉が力をくれる。愛情とそういう相手への深い共感のきずな。どっちもなしでは前へ進めないもの。
 そういう人たちを心から大切と感じる気持ちが、自分をも「かけがえのない存在」と感じられる存在にしていくんだと思う。

 気が強いワリに結構、臆病なあたしは、いつも大切なひとたちに勇気をもらってる。
 そうは言っても迷いに負けちゃうこともしょっちゅう。まあ五勝五敗っていうとこかな(笑)。
 来年はもっともっと勇気凛々になりたい!!



<P.S.> 『Frozen Ecstacy Shake』発売記念ということで、あたしと瞳ちゃんが講談社のHPで対談しています。見てみてください。
http://vitaminf.jp/sakurai/





11月30日

「pain」

ナイフの鈍い背で 血管のずっと下に
紫色に捩れた傷跡をつけられた

いつか、痛みの果てに
愛が待っていると信じてた

そんな断末魔のまぼろしは
夜明けの雪の中に消えていく

音もなく降り積もる小さな無垢の十字架

すべてを背負い すべてを許し
何も告げず
一瞬で消えていく

完全な愛のかたち

掌のうえに涙が落ちる

雪の痛みは、誰も知らない



12月!!
 寒いのは嫌だけど、やっぱり雪はみたいな。
 子供の頃、よく黒や紺の服に落ちた粉雪の結晶を、溶けるまで息をつめてじっと見てた。こんなに美しく精巧に作られたものが、ほんの一瞬で消えてしまう儚さを感じて少し淋しくなった。
 でも花火も花も雪も、心を打つ美しいものはみんな儚い。
 儚いから、あたしたちは、その姿を心の中に鮮やかに描き出そうとするのかもしれない。
 みんな、知ってる?
 雪の結晶って、花の形とか星の形とか、樹の枝の形とか、何種類もあって、しかも拡大してみるとすごく繊細なクリスタルの芸術品みたいで感動するほど美しい。
 ちっぽけな塵の周りに水分が少しずつくっついていって、それが何度も何度も風に吹き飛ばされてるうちに、ひとつひとつ違う形の結晶になる。
 こんなに美しいものが自然の働きで出来上がって、何億も何十億も空から降ってくるなんて、奇跡みたいなことだと思う。
 この雪をデザインした空の上の誰かは、間違いなく最高の「美」の感覚を持っていて、それをあたしたちに見せてあげたいと思ってる。あたしはそんな風に考えちゃうんだ。
 でも毎年、冬になると、あたしたちはその奇跡に何度も遭遇するよね。たとえ、どんなに辛い状況にある人でも、奇跡に出会うチャンスを与えられてる。
 それって美っていう形になった「愛」なのかもしれない。
 あたしたちが当たり前、と考えてる日常の中に、たくさんの「愛」がある。

 恋愛も同じ。
 誰かと誰かが巡りあって恋をし、お互いに一緒にいたいと願う。
 まったく違う人生を歩いてきた、違う心と違う感覚を持った二人が、理解しあって信頼しあって、愛に成長させていく。
 その道のりは、雪がたったひとつの塵から結晶に変わっていく過程とよく似てるよね。何度も向かい風や追い風に吹かれて二人の歴史を作っているうちに、違う形の結晶が完成する。
 どんなに変わった形でも、それぞれが比類なく美しくて、決して比較なんかできない。
 お互いが想いあう愛情は、奇跡みたいなもの。
 でも無数の雪が毎年、空から舞い落ちてくるたびに思う。
 この雪のように、世界には「愛」っていう奇跡も溢れてるんだって。



亜美ニュース

 来年春の新刊が亜美作品200万部突破記念キャンペーン作品になります。
 あたしの本を愛読してくれてるみんなに心からの感謝をこめて、できたての新刊と初のエッセイ本をどかーんといく予定なので、楽しみにしててね。
 もうひとつ、ビッグニュース。
 来年、ニューヨークにある日本の小説を翻訳出版している「VERTICAL」という出版社で、「イノセント・ワールド」と「神曲」が翻訳出版される予定です。
 海外でも沢山のひとに読んでもらいたいと願っていたので、ものすごくうれしい!!世界中のひとに読んでもらうのが亜美的な夢なのです。

 それからもうひとつ、「群像」に発表した「卒業旅行」と言う小説も、春あたりに単行本になります。タイトルは「JUKAI 樹海」に変わる予定。

 来年は作品にも心にも、宇宙にただひとつの美しい結晶の花を咲かせる!!



<P.S.> 『Frozen Ecstacy Shake』発売記念ということで、あたしと瞳ちゃんが講談社のHPで対談しています。見てみてください。
http://vitaminf.jp/sakurai/





11月14日

 今日のヘビーローテーションは、「アルダーワールド1992-2002」。
 アルバムもってるのに、またベストアルバム買っちゃった。
 特にお気に入りは「ボーン・スリッピー・ナックス」と「プッシュ アプステアーズ」
 気分にもよるけど、内臓にがんがんくる系の打ち込みが大好き。
 こういう曲にあう煙草を探してるんだけど、何がおいしいのかな。
 インドのビンディ、インドネシアのガラム、マルボロ、キャメル……色々試してみたけど、結局、バージニアスリムとかM7に落ち着いちゃう。サムタイムのポスターに出てる女の人がすっごく好きだから、あれをすいたいけど、イマイチあわない……。
メンソールもスカスカしてて嫌いだし。
 最近、煙草をすえる場所が少なくなってきたのがかなり淋しい。
 じゃあ車の排気ガスだって、吸わない権利あるよねとか思っちゃう。
 そういうと吸わない人たちに怒られちゃうけど。

 昨日の夜、日野っちや篠原くんと渋谷を歩いてたら、マークシティがもう金色のクリスマス・イルミネーションできれいに飾られててびっくり。
 もうそんな季節なんだ……って、早すぎる!!
 7月にはハムスターみたいだったトイプーの4匹の赤ちゃんたちも、もう「いい加減にして!!」っていうぐらい元気に成長して、毎日、家中を走り回ってるし。なんだか夏から一足飛びに冬って感じだなー。

 最近、買い集めた詩集を、読み直してみた。
 日本だけじゃなくて、ギリシャ、中国、メキシコ、東ヨーロッパ……いろんな国の詩人の作品がある。
 もちろん翻訳されたものだけど、ギリシャの作品にはギリシャの、メキシコの作品にはメキシコの光と風と海と、愛と悲しみと孤独が宿ってて、まるでその国の空の下で詩人と同じ太陽を浴びてるような気持ちになれるんだ。

 詩って不思議。
 ただの言葉の集まりなのに、すごく力を持った詩は絵や映画を見るのと同じ、ときにはそれ以上のイメージや感動をあたえてくれる。
それは言葉が詩人の魔法の力で、翼をもったから。
ほんものの音楽が空を飛ぶ力をくれるのと同じに、ほんものの詩も心の翼で羽ばたかせて、現実から詩の国に旅立たせてくれる。
 たとえばネイティブ・アメリカン、ナホバ族の詩でこういう一節がある。

  虹
  赤い貝
  太陽の輝き
  聖なる少女

 これは「魔法としての言葉」(金閣寿夫著)っていう本に出てくる連想詩。
 言葉のイメージから次のイメージを捕まえて、たった四つのかんたんな言葉だけで、虹の橋がかかった真っ青な空の下で、陽光を浴びて微笑む女の子の姿が、眩しいほど生き生きと浮かび上がってくるよね。
 詩は音楽によく似てると思う。
 音楽の感情表現は、どんな音を組み合わせるか、どんなコード進行にするかで決まる。
 音符の代わりが文字。至高の愛や、孤独や絶望のイメージも、楽譜をかくように描き出せる。

  そしてふたたび樹液が雲に向かって
  上昇する
  (サルビアの花は炎と呼ばれる)
  新芽が
  破裂する
  (燃える雪が降ってくる)
  ぼくの舌が
  そこにある……

 これはメキシコの詩人の作品。「オクタビオ・パス詩集 続編」(世界現代詩文庫)に入ってる「マイスーナ」の一節です。
 以前、エターナル通信にも書いたように、「マイスーナ」っていうのは至高の交わりっていう意味。
 愛する人とのすごくエロティックなセックスを、紅い花や純白の雪のイメージを使って描いてるんだけど、この詩はほんとうに美しい。
 彼女を深く愛しているから、その肉体の変化が彼の眼にはいとおしい自然の芸術みたいに感じられるんだって、ひとつひとつの言葉から伝わってくる。
 愛があるセックスは、神聖な儀式。
 そんな瞬間を詩の中に閉じ込めることができるパスは、偉大な詩人だと追う。

 なーんてえらそーに書いてるけど、この前は誰の言葉か知らないで、「私の前に道はない……」ていう詩をBBSに書いたら、みんなに「それは高村光太郎だよ」って教えてもらったよね。
 作家のくせにダメなヤツ(笑)。
 教えてくれたみんな、どうもありがとう。
 でも、そんな風に、誰の言葉かもわからない詩がずうっと頭に残っていて、ふとした瞬間にその意味がはっきり分かる時がある。ああ、こういう感覚だったんだって。

 ひさびさに詩をかいた。
 イメージにあう言葉を、頭の中の宝石箱から見つけ出す作業は、
 難しいけど楽しくて、あっという間に時間がすぎる。
 その詩は今度、出す小説の中に入れます。



<P.S.> 『Frozen Ecstacy Shake』発売記念ということで、あたしと瞳ちゃんが講談社のHPで対談しています。見てみてください。
http://vitaminf.jp/sakurai/





11月1日

 最近、小説を書くことが呼吸をするのと同じように、自分の身体の一部になってるみたい。一日でも書かずにいると、何だか精神的に不安定になって、イライラしてきて……そして真夜中に突然、起き上がって結局、パソコンの前にいる。そんな生活です。
 今、同時に三つの作品を書いてるんだけど、なんかあたしの中に三つの宇宙があって、小説ごとに宇宙から宇宙へ光速でワープしてるみたい。ってゆーことは三人の主人公の人格が、あたしの中に存在するっていうことだと思うんだけど、時々、その主人公から自分に戻ってこられなくなって、物凄く恐怖感を覚えることがある。主人公はもともとあたしの中にある要素から生みだすわけで、自分の内面の延長。
 だから、物凄く小説に没頭してると、時々、自分の自我がどこにあるのか分からなくなって、叫びだしたいぐらい怖くなる瞬間がある。この前も渋谷までタクシーに乗ってて、急にそういう状態になった。心臓がめちゃくちゃ早くなって冷や汗が出て、ちょうど「ワンダーウォール」の主人公みたいな恐怖感で、タクシーから飛び降りたくなったぐらい。
 やばいなー。そういう時は、とにかく誰かとおしゃべりをして、「自分」の手触りを確かめるのが、一番、早く直る方法だと最近、気づいた。だから深夜三時に友達に電話してみたり、寝てる子犬をたたき起こして遊んでみたり(いい迷惑?)。
 でも、そういう時の方が、小説にふかーく入り込んでて、作品を書くにはいいのかもしれないけど。そんな風にして書いてる作品のひとつが、少しずつ完成に近づいてる。かなりディープで不思議な雰囲気の物語です。

 ところであたしは近頃、眠る瞬間が怖い。上に書いた精神状態みたいなのが起こりやすいせいもあるけど、高速を走ってる車の中で眠りこみそうになって急に飛び起きたとき、自分が時速100キロとかで移動してることを身体が受け入れられなくて、怖くてたまらなくなって「今すぐ止めて」とか無理なことを言ってみたり……。
 眠りに落ちる瞬間って、小さい頃からなんかすごく怖かった気がする。眠りって短い「死」だよね。こっち側の世界から向こう側の世界にジェットコースターみたいに超高速で移動していく。その向こう側の世界の入り口が見えてきた時の、「ここはどこ?」っていう子供時代の無意識の恐怖が残ってるからかもしれない。
 
 今日はなんか怖い系の話になっちゃった。じゃあ次は楽しく、映画の話。この前、BBSにも書いたけど、「インファナル・アフェア」の後遺症がまだ残ってる……っていうか、ポスターをパソコンのすぐ脇に張ってあるから、トニー・レオンにいつも見つめられているのです。う、うれしい(アホ)このタイトル、訳すと「無間地獄」。すごいタイトルだけど、この世はせつないことがいっぱい・・っていう感じの意味だと思う。
 マフィアに潜入捜査してる警察官トニーと、警察に潜入してるマフィアの手先、アンディ。二つの人生の交錯と恋と悲しい結末。そんなストーリー。ケリー・チャンもトニーの恋人役で出てるよ。何よりすごいと思ったのは、三年かけたっていうシナリオの素晴らしさ。一秒も気を抜いたところがなくて、どの場面も固唾を呑んで胸をどきどきさせながら見てた。
 それに、これは恵比寿で見たんだけど「鯨の島の少女」もよかった。ニュージーランドのマウリ族のなんとも不思議な、でも感動する映画。最後の方はヒロインの女の子に感情移入して、一人で泣いてた。最近のあたしは、映画館でよく泣くにゃー。
 そういうときに限ってハンカチもティッシュももってなくて、隣の人の目を
 気にしながら、こっそり袖で拭いてたりする。
 大好きなハーモニー・コリンが脚本書いてる「ケン・パーク」は、なんか見たあと暫くくらーい気持ちになって考え込んだ。アメリカの小さな街の男の子グループが、それぞれの家庭で殺人事件を起したり、父親にレイプされかかったり、自殺したり……・。最後は家を出た三人が自由を求めて共同生活を始める。アメリカ人のトモダチに聞いたら、これは結構リアルなドラマらしい。アメリカの自由って、想像以上にキビシイものなんだなーと思った。いい映画を見ると、小説がんばろーっていう勇気をたくさんもらう。
「 GOING MY WAVE!!」




10月14日

 この前のアミ連のチャット、すごく楽しかった。
 人数が多くて一気に話すとログがすっ飛んで、頭がかなりくらくらしたけど、いつもBBSで見てる皆をすごく身近に感じました。
 みんなありがとう!!
 またああいうイベント、やりたいね。

 とゆーわけで、今回はアミのお気に入りシリーズ第二弾。
 その前に、連絡しなくちゃならないことがあった!!
 ショートムービーのDVD、ラベルが俊くんバージョンと真央ちゃんバージョンの二種類できました。
 かなりカワイイ出来上がりです。
 そろそろ規定の数量に達しつつあるので、購入希望でもしまだ申し込みメール送ってない人がいたら、なるべくお早めに……。

 それから「FES」の発売記念キャンペーンってゆーことで、いま、講談社のWEB現代内にあるビタミンFというサイトで、あたしのインタビューが写真つきで読めます。
 それから、15日からは、な、な、なんと、瞳ちゃんとあたしの対談が「動画」で見られる!!
 ついに皆に、あたしの全貌を明らかにしちゃうのか?
 それとも……。ふふふっ、それは内緒。
 とにかくあたしと、うつくしーい瞳ちゃんが、講談社の「貴賓室」(すげー豪華だった。金のミッキーマウスがあった! あと純金トイレも……ってこれはウソ)でお話してるとこを見てみてね。ヘビースモーキングでかなーりお行儀悪いけど、そこんとこは大目にってことで。

 アミ的お気に入り。シリーズ第二弾。
 以前、好きな写真集とか紹介したけど、今回はファッションとか音楽とかがメイン。


<好きなブランド>

 沢山あるけど今のお気に入りは、DEASEL、ジル・サンダー、ジル・スチュワート、RIVOLVER、D&G、Free‘s Shop。あとミュウミュウも。
 どんなにカッコよくて素敵な服でも、服に着られちゃうのはイヤ。だからその服を着て試着室の鏡の前に立ったとき、服だけが浮いちゃうのはダメだーって思う。
 エルメスとかグッチとかも超クールって思うけど、あたしが着ると「まだまだこれを着こなせるほど迫力ないよなー」って感じがする。
 自分と服が対等にコラボレートできるファッションが、あたしにとっての「オシャレ」かも。
 DEASELはデザインにすごく遊び心があって、マテリアルにも凝ってるし縫製とかが立体的で、着るとそのたびに発見がある感じだから大好き。
 あとD&Gもどの服にもパンク精神が溢れてて、着ると元気になるからテンションあがって楽しい。
 逆にコンサバな服とかはすごく苦手。これは真中瞳ちゃんとも一致するんだけど。
 きちんとしたスーツとか、もう最初っから「似合わない!!」って拒否反応が起きちゃう。美容院で髪をバシッとスタイリングされると、すぐ自分でぐしゃぐしゃにしないと気が済まないし、「きちんと」がダメなのかも。小・中学・高校と、ずうーっと教師に「だれてる」とか「きちんとしろ」って言われ続けた反動かも(笑)。
 でも一番、着て楽しいのはアミブランド。よく自分でジャケットに刺繍入れたり、スカートの裾をばっさり切って糸をフリンジにしたりして遊んでる。
 この前、リメイクしようと思って代官山で古着をいっぱい買い込んだんだけど、ミシンが壊れてそのままになっちゃってる。そのうち、リメイク古着屋さんでも始めようかな。


<アミ的ヘビーローテーション>

その1「ECLIPS3」
 サウスアフリカでのレイヴ・パーティーをアルバムにしたもので、ハードな打ち込みのコズミック・テイストなトランスがとっても気持ちイイ。
「MADE IN HEAVEN」ショートムービーのイントロでもcharlieの作ってくれた打ち込みの曲使わせてもらった。
 クラッシックもワールドミュージックもロックもポップスも皆好きなんだけど、小説書いてるときのBGMはやっぱりテクノが一番なんだよね。
 理由はよく分からないけど、細胞の呼吸とうまくシンクロするから。
 皆は野外レイヴって行ったことある?
 以前にも日記に書いたように、レイヴって大好き。
 元祖はスペインのイビザ島とかインドのゴアとかで、ベルリンのラブパレードは世界のテクノの祭典として超有名なんだけど、日本でも富士山麓とか沖縄とか、いろんなところでレイヴパーティーが企画されてる。
 ハコで踊るのもいいけど、やっぱり海や山の夜明けを眺めながら踊るのは最高に気分がいい。
 でもそれって、お気に入りのアルバムとMDプレーヤーとを海辺に持っていって、一人でも友達と一緒でも、勝手にレイヴパーティーができるってことだよね。
 音響がよくないのがたまにキズだけど、好きな曲ばっかりかけられるってやっぱりいい。
 今度、沖縄の島に行って、一人DJ、一人レイヴしてこようかな。
 いや、その前にやっぱりサウスアフリカで南太平洋の夜明けを見ながら超感動のレイヴだ!!

その2 グレッグ・ディビッド
「SLICKER THAN YOUR AVERAGE」

 あたしはヒップホップも大好き。2PACにはまってから、彼が96年、米国の東と西のヒップホップ抗争の犠牲になって凶弾に倒れ死んでしまったことを知って、すごくショックを受けた。
 2PACは暴力沙汰も多くて、いろんなトラブルに巻き込まれ刑務所にもはいったけど、その歌詞にはやっぱり「ラップを歌うことが生きること」っていう真実の血を吐くような叫びがあると思う。
「changes」っていう曲(シングルカットもされてる)をぜひ聴いてみて。その美しさにきっと心を打たれると思う。エミネムの「8マイル」でも語られてたように、ラップって何も持たずに生まれてきた人たちにとって、命を賭けた宝物なんだよね。
 でもそれが対立の原因になってしまうなんて、現実はほんとに残酷だなーと思う。
 彼に続くお気に入りミュージシャンを探してたんだけど、なかなか見つからなかった。でも、グレッグを聞いたとき、「彼かも」って思ったんだ。
 今度の作品にも登場する予定です。


<最近見た映画>

○映画館で試写を見た2本
「昭和歌謡大全集」
 松田龍平、安藤政信、池内博之、村田充……っていう豪華キャストで、村上龍さんの原作の濃ーい面白さをフルに生かしきってるとこがすごいなーと思った。
 特に松田龍平が狂っていくラストと、安藤くんのキレ方、その後の危ない人とフツーの人の境界線上をふらついてるみたいな演技、マジにうまかった。
 安藤くん、大人っぽくなったよね! 以前のピュアな透明感プラスもっと暗さや翳りみたいなものを表現する、すごくいい役者さんになってマジうれしい。おススメめです。ちなみに小林俊くんは安藤くんをすっごく尊敬してるそうです。
 目指せ安藤。
「木更津キャッツアイ」
 肩が凝らないギャグのオンパレードの中に、死んでいくぶっさん(岡田准一くん)の気持ちがオーバーラップして、見終わった後なんとも不思議でちょっとせつない感じ。
 ちょうどお気に入り漫画を全巻だーっと一気読みした時の、あの感じかな。塚本高史くんとか、佐藤隆太くんとか酒井若菜ちゃんとかみんなハジけてた。
 内輪ノリの部分が今イチよくわかんなかったので、テレビでドラマを見てた人なら、もっと楽しめるかも。

○ビデオで見た作品
「まぼろし」
 フランソワ・オゾン監督。シャーロット・ランプリングっていうすごくステキな大人の女優さんが主役で、愛し合ってる夫が突然、休暇中の海辺で消えてしまった後の、妻の心の内側を追っていくっていうストーリー。
 彼女が別の男と付き合おうと思ってセックスするんだけど、やっぱり今イチ気がのらなくて……、その捨てセリフがよかった。日ごろは自分にウソをつけても、エッチのときって相手をほんとに好きかどうか正直な気持ちが出ちゃうんだよね。
 で、そのセリフをアミ流に解釈すると、「あんたのエッチは彼より体重が軽い分よくない!!あんたは軽い。生き方も人間も。だから愛せない」。そんな感じ。愛って何っていつもこの日記でも書いてるけど、彼女は夫の死がどうしても信じられずに、自分なりの答えを見つけていく。それがたとえ、社会には受け入れられない形であったとしても……。
 愛に死はないんだって、この映画を見て思った。

○ネットで見た岩井監督の映画
「花とアリス」
 これは第三章で終わり、来年、映画館で上映されるそうです。
 大先生の映画だから、すべてを吸収したくて真剣に見た!!
 仲良しの鈴木杏ちゃんと蒼井優ちゃんが、同じ先輩に恋してしまう。その仲良しならではのせつなさや甘酸っぱいときめき、そして仲良しだからこそ許せないっていうあの感じ……。
 お祭りとか駅とか電車とか、海辺での取っ組み合いのけんかとか、文化祭の舞台でで誰も見てないのにしゃべってるシーンとか、岩井監督がそういう光景を撮ると、いつもわあっ、懐かしいなーとおもっちゃう。
 自分が行ったことのない場所でも自分がしたことがないことでも、なんか記憶の奥底に埋まってた宝物を発掘したみたいな新鮮な驚きがある。
 きっと脚本も撮影も、岩井監督が自分の細胞の中から呼び起こした
 心の風景を映しているからなんだろうなと思う。
 みんなもぜひ見てください。




9月30日

 一足飛びに寒くなっちゃって、「えっ、あたしの夏はどこへ行ったの」っていう気分。このまま冬までノンストップで直行しそう。
 キャミソールが大好きで毎シーズン、買い集めて店開けるほどコレクションしてるのに、もう着られなくなっちゃう。悲しい。
 このサイトにもたくさんいる北海道の人、大地震大変だったね。
 生活がもとに戻るまでがんばって!!

 みんなショートムービーの感想ありがとう。技術がイメージに追いつかなくて、「あたしはまだまだ、監督なんて名乗れない」ってかなりへこんでたから、すっごくうれしかったし、励みになってる。これから暫くは出かけるとき、いつもビデオを持って歩いて、「ここだ」っていうものを見つけたらすかさず撮っておく「素材ストック」に励むつもり。
 みんなの中で、工事現場で建物を壊すための凄い爆発やるとことか知ってたら、ぜひ情報プリーズ!!(どんな映画だ?)
 最近、映画館へ行く時間があまりなかったので、立て続けに何本か見たいと思っていた映画を見た。でもフランソワ・オゾンの「まぼろし」とかイメージムービーにも出てきた「トーク・トゥ・ハー」とかフレンチ系のいい作品を超える、すごくぐっとくる映画がみつかなくてちょっとがっかり。「ガタカ」の脚本家、アンドリュー・二コルの新作「シモーヌ」が上映されたら、見に行ってみようかな。
 でももちろんあたしの本業は小説。
 今、これまで書いたことがないほど大スケールの、構想OO年のミステリアスな小説に没頭してます。みんなもこのBBSに戦争についてよく書いてるけど、ヒトが自分の置かれた立場のために、ヒトを殺したり破壊するって本当はどういうことなのか。それをまったく新しい視点から描いてみたい。
 かなり難しいテーマだけど、「これを書けたら死んでもいい!!」っていう作品にしたいと思う。


<亜美からお知らせ>

「Frozen Ecstacy Shake」が10月初め、単行本として講談社から発売されます!!
 ネット連載のときとはまたぐっと雰囲気が変わって、表紙も中身も物凄くステキな工夫を凝らされた、ページをめくるのがわくわくするデザインの本になりました。 おまけに、真中瞳ちゃんが撮影のときにきた服が、どこのお店のものなのかが分かる巻末付録つき。あっ、この服着てみたい、というヒトも要チェキです。
 今日は、この本の発売記念で講談社の「ビタミンF」に流す、瞳ちゃんとの対談をしてきた。もちろんテーマはFESについてなんだけど、なぜか「私語」の多い二人。話題はいつしかお互いのつけてるエクステへと寄り道してた。あたしは瞳ちゃんが真帆路をやったときの、三つ編みドレッド風エクステ。あれ、実はあたしの私物でした。そしてショートカットにばっさり切った瞳ちゃんは、ロングのメッシュエクステ。
「これね、中国で作った人毛製なんだ」って聞いて、超驚いた。エクステに人毛があるなんて、初めて知った!!(あたしだけ?)おまけにそのエクステは地毛に編みこんであって、シャンゃンプーも出来るんだって。うっそーって感じ。
 あたしのドレッド・エクステは人工毛。109で買ったんだけど、やたらに重くて頭が後ろにぐいって引っ張られてる感じ。
 でも時々エクステつけるとテンションがあがって、普段イマイチ抵抗があってできないファッションも、結構にあって見えたり……。
 あれ、何の話だったっけ。
 そうだ、そんなファッションやメイクのヒントもいっぱい詰まった「FES」、きっと気にいってもらえると思います。




9月14日

 ずうっと、来週こそ……といい続けてきた「MADE IN HEAVEN」のイメージ・ショートムービーがようやく完成した。
 9月20日、このサイトで公開します。

 15分の予告篇フィルム的なものなんだけど、何しろ映画制作の知識ゼロからのスタートだったから、こんなに大変なものだとは思わなかった。
 こんな無謀なあたしに、照明とかカメラの回し方とか基本的な映像作りの心構えを教えてくれた岩井俊二・大大大先生!! ほんとにありがとうございました。岩井さんのちょっとした一言で、ものすごく目からウロコだった。
 やっぱりその道を究めた人の言葉は、めっちゃ重みがある。

 そもそも映画ってマジにやろうとすると、二時間で最低でも何億っていうお金がかかるらしい。スタッフやキャストの数も多いし、拘束時間も長いし、人件費、機材や移動や宿泊に出て行くお金はハンパじゃない。
 でも考え方を変えれば、アメリカの「ブレアウィッチ」みたいに、お金をかけない作り方だってできる。
 インディーズ映画でも超おもしいのは沢山あるし……。
 だから自分なりに、インディーズのノリでイメージをうまく形にできないかなと思った。それがこのショートフィルムを作ったきっかけ。
 でもシナリオ・撮影・編集・音入れ・調整……。
 時間だけがどんどん経過していって、ゴールが全然見えない!!
 結局、メカに超詳しいここの管理人の小宮佳将さんが色々、知恵を出してくれて編集を手伝ってくれて……というより殆どやってくれたので、ここまでこれたみたいなもんです。多謝万来!(変な日本人の使う中国語)
 それから家でピアノを叩きながら、その場のノリで美しいテーマソングを作曲やしてくれたDJ・CHARIEにも感謝。彼はイントロからバスケシーンまでのテクノ・サウンドも提供してくれました。
 そのほか、協力していただいたすべての方々に謝々!!!!

「MADE IN HEAVEN」の中のさりげない日常のシーンを切り取って、風道、樹里、ワタル3人それぞれの相手に言えなかったせつない恋心を描く、っていうのがこのムービーのモチーフ。原作にはないオリジナルの場面も出てくる。
 二冊を読んでくれた人には、それぞれの樹里や風道やワタルのイメージがきっとあるからそれを壊すことになったら嫌だなと思ったけど、このムービーは「亜美の中にあるひとつのイメージ」って感じです。
 もちろん技術的にはど素人だし、自分でもあーあれもこれも、まだまだダメじゃんってて思う。
 だから「映画」っていうより、亜美のビジュアル・イメージ・ノート的に見てください(ちょっと言い訳くさい?)。

 予告編があるのに、本編はあるのか……? ってみんな思うよね。いつか本編も、作れればいいなあ(遠い目……)。身寄りがない大富豪の親戚でも死なないかなあ。で、「遺産の十億円はあなたに贈られました。好きに使ってください」とか……(そんな親戚、いないって)。

 キャストのうち真央ちゃんと俊くんは、映画出演経験があるけど、セリフが入るのは初体験。
 俊君はいちばんっていうぐらいラブシーンが大得意だけど、真央ちゃんはやっぱりテレちゃって抱き合うシーンはかなり大変だった。これは年の差? それとも……。
 何しろ俊君は、「MADE IN HEAVEN」の表紙に始まって、FESでも、キスシーンを見事に演じてくれたし、ああいうときのせつなくてちょっと危険な表情はピカイチ!!
 ワタル役の瀬川健くんはモデルをやってたイケメンだけど、演技レッスンも受けててすっごくセンスがいい。反町に似てるとか、B'zの稲葉クンに似てるとかいう説もあり。煙草吸ってる時のちょっとワルそうでビターな眼が超いいです。
 亜美的には俊くんと健くんって、静と動、影と陽、透明感とクールな渋さっていう感じに、ちょうど補色関係で、二人一緒に画面に出るとすごくバランスがいいと思う。
 真央ちゃんは高1だけど24歳の樹里役だから、働くオトナの女っぽく見せるようにメイクや服でかなりカバーした。
 今の真央ちゃって素顔はあどけないんだけど、ちょっとメイクしただけですごーく雰囲気が色っぽく変わるのに驚き。特に眼。彼女の眼はミステリアスでひきこまれるようなパワーがあるよね。
 バスケのシーンに出てくるチームは、ROCKERSっていう3ON3では有名な本物のストリート・チーム。
 色んな国籍のメンバーが集まってて、プレーもすごく迫力がある。
 特に、色々おしえてくれたSTANにスペシャル・サンキューです。STANは黒ヒョウみたいな美しいボディで、一番、上手なポイントゲッター。
 獣みたいな肉体の躍動感とか美しさとかを失っていく風道の悲しみを、彼らのプレーと対比させて表現してみたかった。
 ってゆーか、説明はこのぐらいでいいよね(笑)


 亜美的『「MADE IN HEAVEN」イメージ予告編』に興味を持った方は、9月20日以降、もう一度このページを見に来てください!!
 無料で約15分のショートフィルムが見られます。


 とりあえず今回のムービーはネットの小さい画面用に作ってあって、大きなテレビ画面で見ると、かなり粒子が荒れた状態になっちゃうので、パソコン画面以外の鑑賞はおすすめできません。
 でも、もしそれでもいいからDVDがほしいという方がいたら、送料+DVD代+諸経費でお送りできる予定です。<編集部注:9月20日のムービー公開の時、このページで申し込み用のアドレスをお伝えします>




8月30日

 もうすぐショートムービーアップするって告知してからもう一ヶ月。
 一応、映像は殆ど出来ているので、今日はその予告編として写真を見せちゃう。
 出演は俊くん、真央ちゃん、ワタル役の健くん、チームRockersのみんな……それから幻冬舎の篠原くんも眼だけ出演してます。
 風道の樹里への思いや葛藤、ワタルの風道への秘めた思い、をモチーフにした……つもりだけど、うまく表現できてるのかなー。
 でも人生初の体験ですっごく楽しい。しかも自分の大好きな作品だから、ビジュアルイメージはどんどん沸いてくるし。ご予算少々でも眠る時間がほとんどなくなっても、やっぱりやってよかったと思う。
「やらないで後悔するより、やって後悔しろ」っていうのが、亜美的ポリシー。
 あともう少し、がんばろうっと。

 よくこのBBSでも「死」について色んな形で、カキコされてる。
 過去には「死にたい」っていう人もずいぶんいたし、その度に、みんなも色んなことを考えてくれたと思う。
 そういうあたしも、死にたくて仕方ない時期があった。
 この世界に生きる理由が、生まれた時は50あったとしたら、それがどんどん減っていってその時はマイナス50になってた。
 ほんとは、生きることに理由なんていらない。ただ花が咲くように、魚が水面で跳ねるように、自然に命のきらめきを楽しめばいいんだよね。
 でも、その時はどうしてもそう思えなかった。
 世界は風が吹き荒れる岩と砂だらけの荒涼とした月面みたいな場所であたしがそこに住むことを許してくれない……そんな感じ。
 何かを生き生きと感じる心もなくなってて、いつも自分の内側の暗い空洞を見つめてる。見つめたら辛くなるだけなのに、眼をそらすことができなかった。
 その時、死はとても優しいほっとするものに思えた。
 今、この世界はすごく豊かで美しいものだと分かる。風や光や夏の大好きな草の香り、雲の不思議な形、愛や希望を求める瞳の煌き…点。そういうものに心から感動できるから。荒れ果てた「砂漠」は、本当は自分の心だったのかもしれない。
 マイナス50がプラスに変わるのに必要だったもの。
 砂漠に湖ができ、緑の木々が生い茂って、命の花が咲くのに必要だったもの。
 それは一体、なんだったんだろう。
 心を探ってみた軌跡を小説にしてみたのが、講談社の「群像」に書いた「卒業旅行」です。生きることに何の希望をもてない17歳の主人公チェルシーは、3人の自殺志願者と一緒に、最後の卒業旅行、樹海に旅立つ。そこで出会った、未知の感情が彼女の心にかすかな変化を呼び起こして……。そんなお話。
 チェルシーはやっぱりあたしの分身です。

 この間、樹海を二時間近く歩き回ってみた。
 自殺のイメージが強いけど、怖くなんか全然ない。大きな木の根が絡み合い土はすべて深い緑の苔に覆われて、木漏れ日が重なり合った梢から零れ落ちる、とても美しくて神秘的な場所だった。
 ちょっとヘンかもしれないけど、苔むした深い森の中で一番、心に残ったのは、陽射しを反射してきらきら輝く枝に巡らされた銀色の蜘蛛の糸。
 ずっと醜くておぞましいと思っていたものが、ほんの一瞬でこのうえなくピュアな美に変わる。
 きっと生きることって、その繰り返し。
 見えないものが見えるようになる、小さな奇跡を大切にしなくちゃ。
 そんな風に思いながら、永遠を待っているかのようにじっと動かない蜘蛛を見つめてた。




8月1日

 最近、犬バカ日記になりつつあるけど、子犬があまりにキュートなので、四匹の中から成長したバンビとサーシャの写真をアップしちゃう!! なんかゴマちゃんを超ミニミニ化させたみたいで、這ってる姿も赤ちゃんアザラシみたい。
 撮影でうちにきた日野っちと幻冬舎の新人の篠原クン、それに真央ちゃんは、みんなメロメロになってた。

 それにしてもどうして人はカワイイものキレイなものに弱いんだろう。
 愛くるしい子犬や子猫のまん丸なオメメとか柔らかいピンクの肉球とか、ほれぼれするような美人の横顔とか、思わず無条件で「かわいー!!」とか「きれいー!!」って感動してる。そういう時って、何も考えられない。カワイかったら心がぎゅっとなって「抱きしめてほっぺをすりすりしたい!!」だし、キレイ、カッコイイだったら「いつまでも顔を見てたい」っていう憧れの感情に突き動かされる。そして、そういうものは無条件に「善」「いいもの」っていう存在として、受け入れちゃう。
 例えば『ミラクル』の宝生聖良みたいに。
 よく思う。どんな愛くるしい美女でも中身はそれぞれ人間くさくて個性的で、劣等感だって欠点だってたくさんあるはずなのに、人はそういう風には見ない。どこかで外側のイメージに拘束されてて、そのイメージを汚すようなことは考えられなくなる。特に異性ならなおさらだよね。
 でもそれってもしかしたら不幸なことかもしれない。だって外側の「美」はその人の衣装みたいなもので、その人自身の求めているものや個性とは、何の関係もないから。
 だからすごく美人な子に限って、「全然、いい人に出会えない」っていう。外側だけにひかれてくる相手はやっぱり、物足りなかったり、自分の暗い部分まで丸ごと受け止めてもらえる感じがなかったり……。
『ミラクル』のイブキみたいに、衣装の中の暗い孤独まで愛してくれる人と巡り会えるチャンスは、ほんとに奇跡みたいものだし。
 それに気さくな女トモダチにもなりにくいから、結構、誇り高く淋しい道を歩いちゃったりする。あっ、もちろん幸せになる人もいるけどね。
 なのに、女の子たちはたとえ整形してでも、誰もがうらやむ美貌を手に入れたがる。美はパワーだから、パワーを手に入れたいっていう気持ちにもすごく共感するけ
ど。
 でもみんなが、もしこんな質問をされたらどうする?
「もう一度生まれ変わって、最高の美人(ハンサム)になって人生をやり直せるとしたら、今のあなたの人生とどっちを選ぶ?」
 あたしなら、夢のような美人の人生もすっごく魅力あるけど、やっぱり今の自分。だって超美人になったら、それはそれで刺激的なことがいっぱいあるかもしれないけど、それはやっぱり外見に左右されることの多い人生だと思う。
 今までの体験で生まれた感性や価値観を失ったら、何だかもったいない気がするから、「少しでも美に近づけるようせっせと努力する」人生の方がいい……かな。うーん。ビミョー。でも眼をもうちょっと大きくするとか、顔の輪郭を変えるぐらいなら、かなりやってみたいかも!!(笑)。
 ちなみに『ミラクル』には聖良にはモデルがいる。琥珀色の可憐な瞳の妖精みたいで、女のあたしもドキドキするほどキレイなひと。
 とゆーわけで、今回は美について考えてみました。

 ショートムービーは着々と進んでます……といいたいとこだけど、かなり難航してます。あーっ、誰か編集なんかアサメシ前っていう人に、サクっとやってもらいたい!!(本音)




7月14日

 前回は作家<<<主人公って書いた。
 でも、作家桜井亜美の考え方や感じ方は、このサイトでしっかりみんなに発信していこうと思ってる。
 だって小説って感性や考え方が複雑に織られたタペストリーみたいなものだから、亜美的にはその感覚が「いい!!」と思ったものを知ってもらうことって、かなり大切なことなんだ。
 実は、「ワンダフル・ライフ」や「ピンポン」ですっかりARATAファンになったあたしは、この前、彼がデザイナーを勤めるブランド「RIVORVER」のサイトを検索してみて、「めっちゃセンスいいじゃん!!」って感動した。なんていうか、「俺たちがカッコいいと思ってるものを、カッコよく肩の力を抜いて紹介しちゃう」って感じ。
 そこで彼らに影響されたあたしも、亜美的好きなもの気にいってるもの気になってるものを、肩の力を抜いて写真で紹介しちゃう。
 1、2はあたしが飼っているトイプー、シャインがなんと四匹も赤ちゃんを生んだので、四兄弟の一番ちびを撮った。まだ眼も開いてないし、名無し。でもやっぱり出産って、犬でもウサギでもほんとに大変だにゃー。徹夜で見てるこっちがお腹痛くなりそう。
 この前、渋谷のBOOK1に行って、何と30冊以上、一気に本や写真集を買った。
 どれもかなり「あたり!!」。以前から読もうかどうしようか迷ってた話題作「上海ベイビー」(3)は文体とか感受性とかにシンパシーを感じるし、中国の変化がリアルに感じられるのでマル。
 最近、ショートムービーの素材として珍しい花を探してる。4は名前も分からないけど、何か不思議な質感と色合いが超気に入った。
 そして5は6で表紙を紹介している「マリオ・テスティーノ」の写真集「ALIVE!」のワンシーン
 この写真集はほんとに素晴らしいです。
 マリオはイタリアの有名な広告カメラマンなんだけど、彼が撮った女優や俳優や海やお祭りは、そのタイトル通り「生きてる!!」。言葉で表現するのはすごく難しいけど、あたしたちはいつも、自分が心も魂も生きてると思ってる。でも彼の写真を見ると、「ほんとに生きてたのかなー?ただ、生存してただけなんじゃないかなー?」って疑いたくなってくる。
 たとえば次の出番を待つ、幕間のバレリーナたちがたてる衣擦れの音と、照明に深く陰影を刻まれるシフォンのチュチュが描き出す美しい襞模様。緊張して真剣な表情の中にきらめく、野心とはにかみと、夢を実現する陶酔と重く過酷なプレッシャー。
 ベッドで横たわる恋人たちのラブシーンには、お互いの肉体に感じている強い磁力と神秘性、優しく暖かいいたわりの感情と恋する男女の純粋なときめきがすべて一枚の写真に撮られてる。
 悲しみや歓喜、カーニバルの興奮……地上のめくるめく人間模様と、空の抜ける青さや強い陽射し、流れていく雲が作るもう一つの宇宙……。一瞬の空気を豊かな深い感受性で切り取ると、世界は美しい詩になる。運命も偶然も神様の意志も、きちんとシナリオ通り、あるべきところにあるっていう充足感。
 じっとみつめているうちに、人間の深い深い部分にまで注がれる彼の視線が、こっちに乗り移って、「あっ、そうか。生きるってこういうことだったんだ!!」って、新鮮に気持ちで姿勢を正したくなる。
 大型写真集だし、決して安くはないけど、亜美的には値段より遥かにたくさんのものをもらった気がした。
 7は癒されたいときに眺める。海辺のステキでクールな家の写真集。ブルーと白が眼に爽やかで、さりげない素朴なインテリアがloveです。
 8は「エイリアン」のデザインをした有名なギガーのデザイン・ブック。
 とにかく豊穣なイメージの爆発には圧倒される。まさに天才って言う言葉がふさわしい人。彼の自筆のスケッチも見逃せないよ。
 9は天才SF作家ディックの未読の短編集と、南米の天才作家&詩人、ボルヘスの詩集。この二人も鮮烈なイマジネーションが津波のように湧き出てくる活字の魔法使い。続けざまに天才ばっかりだけど、ほんとに天才だから仕方ないって感じ。
 そして10。なぜかトウィーティ。何の気なしに入った自由が丘のアンティークのキャラクターグッズショップで、頭の三本の毛が気に入って、何の気なしに買ったけど、よくよく見るとしみじみかわいい子。最近はやってるひよこキャラの元祖でぇい!!
 ここに額に入った『Miracle』の表紙も入れようと思ったけど、きっと日野っちがのっけてくれるはず。発売までもう少し。目印は青紫の紫陽花と、ハナエちゃんの血のように鮮かな紅色の唇です。




6月30日

 美味しくて雰囲気もよくてお気に入りだった某カフェにある日、「この店が○○というテレビ番組で紹介されました」というデッカイ張り紙がしてあった。
 なんだか、それを見た途端に、ちょっとだけがっかりした。
 その店は知る人ぞ知るっていう感じで、ブームとか旬とかを追っかけない、ずうっと変わらない感じが好きだったんだけど。
 あと、ケーキ大好き人間のあたしは、いっつも美味しいケーキの店を探してる。美味しいと思うかどうかは、あたしの舌次第だから、雑誌とかテレビの情報は、実は余りあてにならないんだ。
 そんな時、よく聞くのは、「この店は、あの有名な○○シェフの店だから」って言うコトバ。でもあたしが知りたいのは、シェフが有名かどうかじゃなくて、その店のケーキが好みに合う、四つでも五つでも食べられる味かどうかってことだけ。

 音楽も同じ。
 ある日突然、夏の海で耳に飛び込んできた曲が心に響いて忘れられなくなる。一生懸命、タイトルを調べてCDショップへ走る。繰り返し、繰り返し聞いているうちに、そのミュージシャンが大好きになって、他のアルバムも集めはじめる。
 もっと好きになったらライブにも行く。
 その時にはもう、そのミュージシャンの音楽性を深くリスペクトしてるから、どんな方向性のものも、「LOVE」になってるんだ
 それがあたしのミュージシャンの好きになり方。

 そして本ももちろんそう。
 子供の頃からむさぼるように本を読んで、お気に入りになると、ページの色が変わるぐらい毎日、毎日、読み返した。
 何百回も読んで、全ページ、殆ど暗記状態だった本もいっぱいある。
 でもそんな時、作者についてはまったく関心がなかった。
 もちろん名前は知ってて、その作者の本は全部揃えたりしたけど、その人がどういう人かってことにはまったく興味がなかったんだ。
 つまり「お気に入りの本を書いた人=作者」。
 好きな小説はあたしの中ですっごくリアルに「生きて」いて、登場人物や彼らの住んでいる場所は、現実より鮮明にあたしの記憶に刻まれた。
 そう、今気付いたけど、亜美的には主人公>>>>>>>>作者。
 主人公にシンクロできれば、作者なんかどーでもいいって感じ。
 だからあたしが本を書くときもそういう風に読まれたかった。
 主人公たちを直ぐ隣りで生きているように、すごく身近に感じてもらいたい。
 現実よりも鮮明で意識に深く入り込んでくる世界を描きたい。
 書いているのは日本人でもベトナム人でも中国人でも、男でも女でも、ダンボールハウスに住んでいようと豪邸に住んでいようと関係ない。そんなことは小説の世界には何も関係ないんだよね。

 あたしがプロフィールを公開しない理由を、ここでちゃんと宣言しちゃう。
 あたしの中から生まれでて、この世界に息づいている主人公たちは、皆、独立した命と人格を持ってる。彼らの悲しみや喜びを誕生させる手助けはできても、読んでくれる皆の心の中で生命力を持って歩きはじめたとき、もうあたしの手は離れてるん
だと思う。
 @桜井亜美ではあっても、憧子、嵐、風道、樹里、璃星・・・・>>>>>桜井亜美なんだよ。
 だからあたしはいつも、主人公たちの影の存在でいたい。
 ここで発信するのは、あたしの中のアユミやヒトミや樹里や憧子が皆に伝えたいメッセージ。

 七月に出る次の単行本、「MIRACLE」の主人公、宝生聖良も、やっぱりあたしの一部分から生まれでた主人公。あたしは彼女みたいに、光り輝く美貌なんか持ってないけど、ダークな心の物語から抜けられないで葛藤する時もあるよ。
 悲しくて孤独で恋には不器用ほどビュアなのに、暖かさを求める自分を裏切ってしまう、ナイフのように鋭い心もやっぱり自分自身。
 そんな主人公の心の叫びが、みんなに届くことを祈って……。
 下田で撮った実花っちのぞくっとするほど神秘的な表紙写真は題して「紫陽花に埋もれた少女」ハナエちゃんほど、紫陽花の花が似合う女の子は、世界中にいないと思う。
 今、あたしの部屋に額に入れて飾ってある大傑作です。


<追伸>

「FES」ついに完結しました。
 これは今年、ステキな本になる予定なので、お楽しみに。
 それから「エル・ジャポン」で実花っちとコラボーレーションしました。とっても楽しい仕事でした。
 興味のある人は見てみて。たぶん、来月ぐらい? ……かな。




6月13日

 なんか今月は、すごくラッキーな月……っていうか、やりたいこと、会いたいひと、書きたいことをが時速200キロでどんどん実現していってる感じです。なんかヘンな表現だけど、自分がいままでためてたイメージが気がついたら次々にカタチになっていって、眼の前に現れてくる感じ。これってすっごくシアワセなことだよね。

 まず月曜は熱海方面に、『MIRACLE』の表紙撮影にGO!! もちろん撮影隊リーダーは実花っち。モデルの俊くんや今回が初お目見えの韓英恵ちゃん、ヘアメイクさん、スタイリストさん……総勢10人以上の大軍団です。あー、今から楽しみでわくわくする!! 韓さんは鈴木清順監督の「ピストルオペラ」に出演した女優さん。実花っちが撮影した彼女の写真、ぞくっときました。どんな表紙になるか期待しててね。

 先週の月曜、『MADE IN HEAVEN』文庫の解説向けに、このBBSにもファンの多い、みんなが大好きな映画をたくさん撮ってる岩井俊二監督と対談した。
『MADE IN HEAVEN』のことはもちろん、小説や映画作り、SF、「スワロウテイル」や「リリイ」まで、すっごく濃ゆいお話を聞けたので、ステキなあとがきになりそう!!
 今、この文庫を買ってくれた人だけがアクセスできる、ミニムービーを撮ろうと考えてるんだけど、な、な、なんとプロデュースは岩井監督!!!主演は俊くん。
 これは絶対、見てもらいたいです。

 6月から始まる携帯写真小説のために、真央ちゃんをハイビジョンビデオで撮影した。髪が肩まで伸びて、かなり色っぽくなった真央ちゃんにばっちりメイクしてヴィヴィアンの服を着てもらったら、可愛くてセクシーで、周囲から賛嘆の嵐。
 高校一年になった真央ちゃんの神秘的な美は、あとで自分で見ても、
「あたしもカメラマンになれるかも?」と一瞬思っちゃった。

 なんだか色んなことやって走り回ってる毎日。
 でも、どんなに忙しくても、睡眠時間がなくなっても、必ず小説は書き進めてる。
 写真もムービーも大好き。
 でも、やっぱり小説を書いてる時がいちばん、自分の帰っていく世界っていう気がする。
 言葉はイメージのみなもとだし、人と人の心を繋ぐいちばん大切な絆。
 どんな優れた映像も最初は言葉から始まるし、どんな揺るぎない愛も、土台を築くのは言葉だよね。
 だからあたしはコトバを紡ぐこの仕事を、とても誇りに思ってる。


<追伸>

 今度、集英社の「すばる」っていう文芸誌で、「ribido」っていう小説を、
不定期に連載します。一章独立形式で何回かに分けて発表するんだけど。
 また詳しいことが決まったら、ここに書きます。

 幻冬舎の夏の文庫キャンペーンのモデルに、ななななななんと(しつこいって!!)俊くんが選ばれました。かの窪塚くんもモデルになったあのキャンペーン(集英社文庫のこと)。これはやっはり俊君のミライを予言してるのかな?




5月30日

 近所にお引越しをした。
 今も家の中はダンボールの山・山・山。
 必死に片付けてたら、自分でもびっくりするような古い写真とか、トモダチや元カレやたくさんの読者の人たちにもらった手紙とかが次々に出てきた。「あーなつかしー」とか「このひと、今どーしてるかなー」とか思って眺めてると、なかなかはかどらない。
 で、今も家はダンボールだらけ。

 あたしはひとからもらった手紙って、絶対に捨てられないひと。
 もちろんメールとかも大切なんだけど、手紙はそのひとの書いた文字があるから、なんか匂いとか温度とかがリアルに伝わってきて、もっとナマっぽいっていうか……。
 それに手紙を書くときって、そのひとの人生のターニング・ポイントとか、自分とそのひとの関係で何か大切なことがある時が多いから、なおさらそういう一字一字、心をこめて書いてくれたものって「ずっととっとかなくちゃ」って思っちゃう。
 でも読んでるうちに、あたし自身は「心をこめる手紙」って、長いこと書いてないな、と気付いた。子供の頃は書いてたのに高校ぐらいから全然書かなくなったんだ。なぜかっていうと、たとえば好きな人に気持ちを伝えるとか、大切なトモダチに感情をぶつけるとかっていう重いことは、なるべく軽くさらっと伝えたいっていう主義だったから。
 重い気持ちを手紙みたいにあとに残るものに書くと、受け取ったひとにとっては、その気持ちがずっと捨てられない。だから負担になったらヤダなって思っちゃう。恋愛も友達関係も、ダメなものはダメ、うまくいくものはうまくいく。
 それは最初から何となく決まってて、いくら訴えても変わらないんじゃないかって言う諦めもあったから。
 それはメールも同じ。あんまり感情が出ないようにって、いつもすごくクールな内容になっちゃう。感情をぶつけて、あとで傷つくことが怖いのかもしれない。特に相手が自分の好きな人ほど、そうなるみたい。
 やっぱりあたしの中には樹里がいる……のかな。
 みんなはどう?
 でもひとからもらった手紙やメールで、すごく感情がこもったのを読むと、やっぱり感動するし、心を動かされるんだよね。
 その時は、その気持ちに答えられなかったとしても、少しずつ心に浸透していって、何かの行動に結びつくこともあるし。だから、「心をこめる」ことが、ムダなんてことは絶対あり得ないんだと思う。ひとって、誰かの心がつまった言葉を受け止められないほど、薄っぺらでも悲しい生き物でもないんだって、手紙を読みながら実感しちゃった。
 考えてみるとちっちゃい頃から自分のナマの感情って、何となく恥ずかしい醜いもので、人にさらけだしちゃいけないんだって思ってた気がする。だから溜まってた分、小説で一気に表現できたのかもしれないけど。
 人間ってナマものだから(笑)感情がナマなのは当たり前。
 重かったり、めんどくさかったり、ひねくれてたり、痛かったり……でも、「心をこめて」伝えられたメッセージは、どんな言葉でもやっぱり真実の輝きがある。それは伝える価値のあるものなんだと思う。
 心をこめた手紙やメール、誰かに書いてみたくなった日でした。
 あっ、この日記ももちろん「心をこめて」書いてるよ!!


<新作情報>

 7月に幻冬舎から『Miracle!!』という単行本を出す予定です。
 これはあたし的にはすごくノリまくって、イケイケで書いた新境地の作品。
 主人公は天使のように完璧な美貌を持ったナース。男も女もだれもがその魅力に狂わずにはいられない彼女の心には、重大な秘密が。決して巡りあうことはないと思っていた「生まれる前は一人だった片割れ」に出会ってしまった奇跡が、彼女の人生を予定外の道に向かわせる……。
 そんな章を追うごとに謎が深まる、ミステリアスでせつないストーリーです。




5月14日

 最近、渋谷に行くのがちょっと新鮮。
 夜になるとハチ公前にたむろしてるストリートパフォーマーや、路上商売のバックパッカーや、なんか書道みたいなの書いてる人とか、いろんな人たちが目まぐるしく変わってて、「今日はどんなのがいるかなー」と楽しみにだから。
 たまに妖しげなキノコ売ってたりするしね。ワゴン覗いてみると、なんかシイタケとかマイタケとか売ってても、区別がつかないような気がするけど(嘘)。あのスクランブル交差点に立って、周りのビルのスクリーンで流れてるミュージック・ビデオやCM見るのも好き。
 あと円山町ずらーっとの壁に落書きしてあるとこも、「これ、うまいじゃん」とか「おしゃれっぽいー」とかけっこう一つ一つちゃんとみちゃうし、ラブホとかカフェも新しくてセンスよさげな物件はすぐチェックするし(見るだけ????)
 あたしはほんとに街を歩くのが好き。色んな光景見てると、頭の中で物語が勝手に走り出す。でも、すごく疲れてたり、自分の中にこもってる時は、景色や人の顔がちゃんと見えなくなる。眼は空を向いてるのに、見えてるのは自分のほの暗い心の中だけだったりして……。
 そんな時って、自分や人の気持ちもよく見えてない。
 いつも何かに囚われていて、自分の本当に望んでいることがよく分からなくなっちゃったり、大好きな人たちの表情の変化にちゃんと反応することもできなかったり……。

 皆なら、そーいう時、どうする?
 あたしは「視力アップ」する。
 旅に出て新しい景色を見たり、写真集買ったりギャラリーを見たりして、自分の中に「ちゃんと見る」心を呼び戻すアミ的再生方法。
 とゆーわけで最近、写真集を一気に三冊買った。
 パルコのブックセンターの写真集売り場のお得意さんで、一年に20冊ぐらい買ってるんじゃないかな(だから割引して・笑)
 今のお気に入りはJordi Bernadoっていうフォトグラファーの『BAD NEWS』。
 人間の眼ってすごく面倒くさがり屋にできてて、毎日見慣れた街や駅やレストランの光景って見ないうちに見た気になってる。
 記憶の中のイメージが勝手に再生されて、「あ、これはこーいうとこだよね」とか、「この中はこういう感じなんだよね」って、ひとりでに脳にインプットされてる感じ。だから実は街を歩いてても殆どちゃんと人や街角の光景を見ていない。携帯かけながら歩いてたり、時間を気にして超早足で前ばっかり見てたりすると、殆ど回りの世界は消えてるよね。
 でも、この『BAD NEWS』を見てると、「いつも見てるつもり」だった駐車場とかショールームとか、壁の落書きとかが、突然、「すごーく意味のある不思議なもの」に思えてくる。シンメトリーに撮るとか、フラットに撮るとか、色んなテクニックのせいだと思うけど、ちょうど初めて地球に来た宇宙人の子供が「これ、なーに? あれ、なーに?」ってお母さんに聞きまくりながら見つめてるみたいな、そんな視線。
 そんなわくわくするような世界を見る視線を持ち続けないと、心もさび付いちゃうよって言われてるような気がした。
「視線力」が強くなると、心が素直に色んなものを受け入れるようになるから、きっと恋のきっかけも増えるし、トモダチともうまくいくようになるかも!!
 って密かに期待大。


<新作情報>

 7月に幻冬舎から『Miracle!!』という単行本を出す予定です。
 これはあたし的にはすごくノリまくって、イケイケで書いた新境地の作品。
 主人公は天使のように完璧な美貌を持ったナース。男も女もだれもがその魅力に狂わずにはいられない彼女の心には、重大な秘密が。決して巡りあうことはないと思っていた「生まれる前は一人だった片割れ」に出会ってしまった奇跡が、彼女の人生を予定外の道に向かわせる……。
 そんな章を追うごとに謎が深まる、ミステリアスでせつないストーリーです。




4月30日

『クロム・ハート』のみんなの感想を読んで、すごく沢山のパワーをもらってる。ありがとう!!
 なかなかレスできないけど、いつもちゃんと全部、読んでるよ。


<亜美的宝物について>

 この前、新しい実花っちの事務所に行ったんだけど、めちゃめちゃ可愛いグッズがショップみたいに溢れてて、見てるだけで楽しかった。撮影で使った造花やキラキラのティアラや人形やぬいぐるみや……大きな虎のリアルな人形が三匹もいるし、トイレまでショッピング・ピンクのお花畑みたいに豪華絢爛。
 外から見ると、いつもお店に間違えられるんだって。
 あたしもキャラクターグッズとかレトロなおもちゃとか大好きなんだど、気がついてみると部屋はいつも、二匹のトイプードルの遊び場になってて、カワイイ演出とは程遠い状態……。
 しかも今度は「猫が飼いたい。ロシアンブルーかノルウェージャンフォレストキャットの子が欲しい!!」とか思っちゃってるし。
 ノルウェージャン〜っていうのは、毛がふさふさで尻尾が太くて、なんかおと
ぎ話に出てくるみたいなかわいい猫。まだ実物は見たことないんだけど、ペット屋さんで子猫みちゃったら、衝動的に抱いて帰りそうでコワイ!!
 もう犬とうさぎと熱帯魚がいるんだから、これ以上増えたらやばいよね。
『French Kiss』でも、キティちゃんやミッフィーちゃんの詩を書いたけど、やっぱりカワイイものって、どうしても抵抗できない。パワーパフガールズとかロビーとかも大好きだし。きっと小さいとき、カワイイものに囲まれて遊んでたから、女の子はみんなお気に入りの人形イコール仲間や幼馴染みって感じがして、大人になっても敏感に反応するんだと思う。
大人には二種類いる。自分が子供の頃の気持ちをよく覚えてるひとと、殆ど忘れちゃってる人。あたしはけっこう覚えてるほうだと思う。四歳とか五歳の時、どんな風に誰と、どんな遊びをやってたのかも。その時感じてた、大きな恐怖とか不安とかものすごい歓びとか、跡形もなくなくなっちゃったものも、あまり変わらないで残ってるものもある。
 大人にとってはすごくささやかで、どうでもよく思えることが、幼い子供には命がかかってるみたいに大切なこともあるよね。ちょっとした自分だけの眠る前の儀式とか、神様との約束事とか……その感覚、あたしは今も大事にとってある。
 自分を輪切りにしたら、きっと最初にだいたヌイグルミから始まって、ヒミツの約束、お祈り、宝物、一人遊び……そういう小さなもの全部が「あたし」っていう人間をレゴのお城みたいに創ってきたんだと思うから。
 幼い頃からあたしの真ん中にあるものは、少しも変ってない。貝殻をはめ込んで作ったヒミツの宝箱に入れる「たからもの」をいつも探してる。
 一番下には、小さい時に集めてた玉虫色のキレイな石だったり、孵化しないで巣から落ちた野鳥の卵だったり、ステキなガラスの指輪が入ってて……。そしてその上には、心に優しいメロディーをかき鳴らすような美しい言葉や、大切な人との思い出や、好きな歌や映画や詩にオリジナルの感動が、色んな不思議な色の光を放ちながら並んでる。
 自分だけの宝物の記憶がどんどん増えていくと、それだけでシアワセになれる。他の人の眼から見たらなーんだっていうことだって、あたしには何より大切。だってそれだけは、どんなにお金を積んでも絶対、買えない「一点もの」だから。


<「FES」、頬月篇へ>

「FES」もいよいよ真帆路篇が終り、最後の頬月篇に突入。
 レトロな金髪のウェーブヘアにロマンチックなメイク、背中に蝶の羽根をつけた瞳ちゃんは激カワイイ。アギトの正体も頬月との関係の中で明かされていき、すべてが一つに繋がる感動的な美しいラストが待っている……。
 自分で自分をシアワセにしていく力を持った頬月は、あたしにとって一つの理想っていうか、いつもこういう風だったらいいなと思ってた女の子像なんだ。なかなか、そうなれないから「理想」なんだけど(笑)。でも、きっと1歩ずつ近づいていけてると信じてる。
 きっとこの四人のヒロインは、女の子の心にちょっとずつ存在してるんだと思う。みんなは四人の中で誰が一番好き?




4月14日

 いよいよ『クロム・ハート』発売です!!
 こういう時っていつもどきどき緊張する。
 特に今回は1年ぶりの文庫だし……。
 亜美通信の詩も久しぶりに書いて、やっぱり本と一緒にこういうメッセージを送れるのっていいなーと実感。
 主人公の憧子は自分に素直になれなくて、心の棘を隠して、いつも頭の中で自意識がカラ回りしながら生きてる女の子。
 それでも、いつか心の中の思いが水の流れみたいに、自分の外に自然に溢れてくれば、きっと生まれ変われるのにと強く願ってる。
 恋愛がその最高のチャンスだと分かっていても、なかなかカラ回りから抜け出せない彼女のキモチが、最後にどうなるのか、キャッチしてもらえたらいいなと思ってます。
 あたしもなかなか素直になれないで、一人で勝手に意地を張っちゃうヒトだから、余計、感情移入しちゃうのかも。
 すごく醜くておぞましいと信じ込んで、コンプレックスでいっぱいだった心も、外に流れ出してみたらいつか、ヒトとヒトの関係の大きな流れに溶け込んでしまうもの。意識して身構える必要なんかないんだって気付く瞬間、きっと誰にでもあると思う。
 心に沸きだす感情の深い川が、いつも広い世界に向かって静かに優しく導かれていくよう、扉を開け放っていたい。そんな願いをこめて……。


<亜美的大切な言葉>

 最近、すっごく尊敬してる人たちに色んな大切なものをもらってる。
 ……それは心に響く言葉。
 このBBSにもたくさんファンがいるけど、この前、お話した岩井俊二監督のこんな言葉が、いつまでも胸に残ってる。
「ぼくはヒトにほめられた言葉は、うれしいと感じても自分の中で一応否定することにしてる。ヒトが自分の作品についていいと思う部分と、自分でいいと思ってることは違うし、他人の評価に頼ってばかりいると本当の実力がついていかないから。だからここまで歩いてこられたのかもしれない」(記憶の中から再生したから、細かいところは正確じゃないかもしれないけど)
 やっぱり自分をちゃんと信じてあげることが、新しく何かを作るのにいちばん必要なことなんだ。そう思えた。
 岩井監督は絵が好きで、高校まで絵で生きていこうと思ってたんだけど、途中で映像を志したのも、そういうことがきっかけの一つになったらしい。
 でも、絵が得意だったっていうの、すごく納得。だからこそ、「リリイ・シュシュのすべて」みたいな、美しい映像詩を感じさせる映画が創れるんだと思った。
「この世界に普遍的に存在する美の陰影」への感受性って、絵でも映像でも詩でも、すべて底に流れてるものは同じだから。
 たとえ人間たちがどんなにエゴを剥き出しにしてぶつかりあおうと、この世界は変らずに美しく、それを感じる感性さえあれば、あたしたちは映像や歌や絵や言葉っていう橋を渡って、見えないものが見える世界へ行ける。
「リリイ〜」を見ると、そんなキモチになれるのです。

 岡崎京子さんの漫画「ヘルタースケルター」が、ようやくコミックスになって出たので、即買ってよんだけど、この漫画にも心に響く言葉がいっぱい見つかった。
 岡崎さんはほんとに感性が鋭い。たくさんのものをちゃんと深く見て、深い痛さと、深い救いを発見できるヒト。いつも作品を読む度にそう感じる。
 痛さを見てみぬふりをして、通り過ごしてしまうこともできる。陽のあたる明るい場所だけを見て、歩くこともできるかもしれない。でもきっとそれは半分の人生なんだよね。
 光も影もしっかり見て、乗り越えていく強さを持ちなさい。そんな岡崎さんのメッセージが聞こえてくるような気がした。

 ありがとう、あたしを支えてくれてるコトバたち!!




3月31日

 夜の桜並木がすごくキレイ。
 闇の中でぼうっと浮かび上がる亡霊みたいに白い花びらは、美と死と夢幻の世界への入り口。
 昼間の桜は暖かな春への使者だけど、夜の桜はこの現実とは違う、もう一つの世界へあたしたちを呼んでいるような気がする。
 眼に見えないけど、ほんとうはいつでもそこにある、乳白色の深い川の流れように時を横切っていく夢の国。
 時々、眠りに落ちる瞬間、向こう側の世界へ行ってしまったら、二度と帰ってこられないかもしれない、と感じることがある。
 夜の桜を見ているときも、同じ狂気の眩暈を感じるんだ。
 身を任せてしまいたい誘惑と、まだこっち側にいたいっていう抵抗の気持ちがぶつかりあって、そしてあたしは二つの世界の狭間に立っていることを知る。

 戦争は思った通り、泥沼化しつつある。
 長引けば長引くほど、両サイドの被害者が出れば出るほど、米国内の戦争を始めたことへの後悔が大きくなるけど、手を引くこともできず、ますますぬかるみにハマっていって……。
 なんだか、過去の不毛な戦争の記録映画を再生しているみたいな、イヤーな感じ。
 攻撃されたくさんの被害者を出す方の限りない悲しみはもちろん、爆撃や銃撃で人を殺したり傷つけるほうも、実は神経を深く病んで社会適応できなくなる人が沢山出てくることが、過去の戦争で分かっている。
 だって、「人が人を殺す」っていうのは、それがたった一人でもすごく異常な事態なのに、それが日常になってしまったら、やっぱり何か根本的な感情の部分が狂ってしまうよね。
 人間は何回、マチガイを繰り返せば、戦争を卒業できるんだろう。
 人が人を説得したりやり方を変えさせるには、色んな優れた知恵や方法があるのに、アメリカだけが銃に頼る昔の方法から進化してないように見える。
 開戦前に世界中で起こった反戦運動に感動した。
 世界中の海を渡っていく、とても美しい共感のウェーブ。
「人間は戦争や殺し合いから卒業せよ」っていうごく自然な意思表示だと思うんだ。 アカデミー賞授賞式で反戦を訴えた二コール・キッドマンやマイケル・ムーアのスピーチへの拍手に、アメリカ人もそう思っている人が少なくないと思った。
「生まれ故郷は?」と聞かれて、誰もが「地球という、宝石のように青く美しい星」と答えるようになったら、その時はじめて、戦争が完全になくなるのかもしれない。

 なんだかブルーな話題から始まっちゃったけど、いよいよもうすぐ文庫新作『クロム・ハート』が出ます。
 恋愛や友人関係や家庭で体験する、傷つけたり傷つけられたり、胸を抉られたり抉ったりっていう、どうしようもない心の痛み。なぜ悪意もないのに、人が人を傷つけ、死にたくなるほど追い詰めてしまうんだろう? それぞれの欲望とそれぞれの傷がぶつかり合う中で、素直な心で生きていくこと、人の心を受け止めることはとても難しい。
 それでもきっと誰もがそれを願ってる。
 それが今回の作品のテーマです。
 本心を隠し「いい人」として振舞うことを心のシェルターにして、自分を守ってきた真行寺憧子は、激しい感情を秘めた素顔を見せられない自分に嫌悪感を抱いている。
 片思いの相手、宙が年上の女性と情熱的な不倫関係に陥ったことで、少しずつ心のバランスを崩していく彼女は……。
 タイトルは自分に嘘をつかず自分を誤魔化さず、そして他人の心の痛みを自分の中で感じる優しさを持つために必要なのは、クロムハート、つまりいつまでも錆つかない、陽の光や星の輝きに反射する心、という意味をこめてつけた。
 そんな心があたしの目標でもあるから。みんなはどうかな?


<FES情報>

 ネットで連載してる「Frozen Ecstasy Shake」(FES)は、いよいよ第3話の真帆路篇に突入。ペンタクルで自分の未来を占い、人付き合いを好まない暗い性格から「魔女」と呼ばれる彼女は、アギトとであったことから運命の進路が急変していく……。
 神秘的な美女に扮した瞳ちゃんと、ますますカッコイイ俊君のアギトの、絶対他では見られない熱演ぶりが見もの。ファッションや安野モヨコさんのステキな事務所も要チェキ!


<雑誌情報>

「FES」の撮影メイキング秘話「女優の鏡が割れる時」を、4月6日発売の月刊誌「ダ・ヴィンチ」に書きました。知られざる(?)真中瞳ちゃんの意外な素顔、一本の映画を撮影するみたいに汗と涙を流したあたしやスタッフの奮闘ぶりや、瞳ちゃんと俊くんの「えーっ、嘘???」っていうヒミツの出来事(!)も満載です。
 これを読んだら「FES」が百倍面白く見られるよ!!





3月14日

 もう春はすぐそこ。
 あっという間に季節は巡り、天まで舞い上がったりどん底に落ち込む日々が、電車の窓から見える景色みたいに流れすぎていく。
 成長してるのか、退化してるのか、何も変わってないのかも分からない。ただ一生懸命、自分が風に吹き飛ばされたり、土砂降りに流されたり、寒さに凍り付いてしまわないよう、必死で生きてる日々っていう気がする。
 いつか暖かな丘の上の日溜まりの中で、ぼうっと春の温もりに包まれながら、自分の歩いてきた遠い深い森や海辺の街を眺めてみたい。悲しみや胸の痛みは風に散らして、優しい旅の想い出を振り返るような穏やかな気持ちで。
 そうしたら、きっと雪が降り積もる闇夜、身を寄せる宿さえなく、カラダの芯まで冷え切ったことも、陽の差さない深い森で何週間も迷い歩き道に倒れたことも、茨の茂みの中で体中に傷を作り、血を滴らせながら痛みをこらえて歩いたことも、全部、美しい絵の具で一枚の絵に塗り替えてしまえるから。
 足の傷はもうカサブタになっている。
 霜焼けのできた手は、もうはれあがってはいない。
 見知らぬ人々のよそよそしい視線にも、もう慣れた。
 いのまにか少しだけ、強くなったんだよね。
 涙が枯れるほど泣いても、次の朝にはまた歩き出せるようになったし、真夜中、死にたくなって崖から下を見下ろしても、自分の道にまた戻っていける。
 幾つ旅を重ねれば、あたしは夢に見たeverywhereに辿りつけるんだろう。すべてが光に満ちていて、すべての感情が星の雫に変わる美と共鳴の世界。
 そんな場所が本当はただの幻だったとしても、それでもいい。
 あたしはやっぱりそこを目指さすにはいられないから。
 きっとこの星空の下、同じ場所を目指して旅している人がいると信じて。

 いつか、きっと会おう。
 孤独な旅は、約束の地に辿り着くまでの神が与えた試練。
 あなたの優しさを夢見れば、あたしはきっと今よりずっと強くなれる。

 今年は心の闇の部分を描いた作品が多くなりそう。
 どんな風にみんなに受け止められるか不安でもあるけど、闇がなければ光もない。今はとにかく振り返らず、前に進むだけ。

 真夜中の満月から零れ落ちる夢幻の冷たい妖気や恐怖も、遠くの山肌を掠める鬼火の危うさも、凍った桜の花びらに埋もれる狂気も、すべて言霊という最高の方法で表現したいから。
『クロム・ハート』発売までもう少し待ってて。


<編集部からのお知らせ>

 アミとミカのコラボレーション『frajile』の世界が卓上カレンダーになりました。しかも、あなた自身が編集長になって好きな写真を選べるというシステム。お気に入りのショットを厳選して、自分だけのカレンダーを作ろう!
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2月28日

 あたしは世界にただ一つだけのものが好き。
部屋のインテリアも、着る服も、海がきれいに見えるお気に入りの場所も……。
 だから最近は、服を買うと大抵、自己流にアレンジしちゃう! ゴールドのジーンズスカートをミニ丈にバッサリ切って、裾の糸を出してフリンジにしたり、Tシャツをわざと穴開きにしちゃったり……。この前は大好きなD&GのTシャツに、「もう一工夫」とか思って、ざくざく穴開けちゃった。デザイナーの人に心の中で「ごめんなさい」と言ってました。だってその方が、パンクで着ると気持ちいい!
 でも失敗して、絶対着れない服になっちゃうことも結構あるけどね(笑)。
 真夜中、発作的に部屋の模様替えをしたくなって、テーブルやキャビネットを赤や白やピンクのペンキで塗り替えたこともある。映画「ベティブルー」で、主人公のカップルが家をペンキ塗りするシーンを思い出して、すっごくいい気分だった。
 小説を書くための仕事場も、目指すは「タイの王女様の部屋」。
 タイの仏像を飾って、ピンクのサテンの布をソファにかけて、孔雀の羽根やトロピカルフラワーや熱帯樹を飾って……。まだまだ満足してないけど、なんか旅行気分になれるお気に入りの場所だよ。
「Frozen Ecstasy Shake」の撮影で、漫画家の安野モヨコさんのすっごくすてきな仕事場を見せてもらって、かなり影響されたのもあるけど(笑)
 ステキなものをもっと自分っぽくリメイクする喜びって、きっと何にでも当てはまることだと思う。
 あたしの場合、一番はやっぱり言葉や文章や心の表現。砂に埋もれた宝石の原石を見つけ出して、よーく磨いたら、自分だけの輝きと色を持つ珠玉の言葉に変身してくれた時って、心の底からぞくぞくするほどうれしい。
 それから自分がずっと抱き続けてるのに、うまく言葉にならなかった感情が文章やストーリーで表現できた時は、世界が手に入った気分になる。

 恋人や友達がかけがえなく大切なのは、一緒に作り上げた色んな思い出が、二人の関係を「世界で一つだけのもの」にしてくれるから。
 どの国に住んでるどんな人たちにもそれは同じ。だから、そういう絆や思い出を破壊してまうのではなく、エゴを主張しあうのではなく、その「大切さ」の重みをお互いに受け止めあってあげられるような世界ならいいと思う。
 だから亜美は「NO MORE WARS!!」。
 北風と太陽の寓話、知ってるよね?
 北風と太陽が、どっちが旅人のコートを脱がせられるか張り合うんだけど、北風が幾らびゅんびゅん吹いても、旅人はますます「コートを脱ぐもんか」って意地になるだけ。でも太陽が明るく輝きだすと旅人はその暖かさに誘われてコートを脱いじゃう。
 ニンゲンとニンゲンの間も同じじゃないかな。

 ちょっと話しが寄り道したけど、毎日の日常生活で出会う色んな出来事や、沢山の人、それに自分と関わりを持つモノたち。
 最初からある色に自分の色が加わって、もっと不思議でキレイな色彩になったら最高。
 あたしにとって書いた本は全部、そういう「世界でただ一つの輝きを放て」と祈ってる大切な大切な宝石たちです。

 今日はうれしいお知らせが沢山あるよ。

☆四月に出る文庫のタイトルはこれまでクロムハーツと言ってたけど、正式に『Chrome Heart(クロム・ハート)』と決まりました。
 表紙、この前は先走って女の子って書いちゃったけど、今回は実花さんが撮った俊くんの超ステキな写真でいくことに決定! 優しくて夢見がちな少年のポートレート……です。

☆『fragail』の時の、実花さんが撮った俊くんの美しい写真たちがオンデマンドカレンダーになります。毎日見たらシアワセな気持ちになれそう。3月14日頃、発売だそうです。詳しく決まったらまた、カキコするね。

☆「persons」という雑誌の書評ページに『First Love』についてのあたしのインタビューが出てます。興味のある人は見てね。

<バレンタイン・プレゼントの締めきり>
 前回書いた、亜美『First Love』サイン本+バレンタイン・プレゼントの締め切りは3月8日とします。今ならまだ間に合う!
 急いではがきを出そう! 謎のミステリー・プレゼントって何かって?
 それはね……ひ・み・つ。とにかくみんなに喜んでもらえるものは何かって、ない頭を絞りました。

<俊くんファンクラブ情報>
 俊くんが3月3日から6日まで、深夜12時45分からテレビ朝日でやる深夜ドラマ「ラブ・コレクション」に出演するよ!!俊くんファンは要チェキです。あと「ポパイ」とか「メンノン」にも出てくるよ。
 詳しくはブルーミング・エージェンシーのサイトで見てね。

<真央ちゃん情報>
 四月から高校生のMAOちゃんは、3月2日まで銀座の博品館劇場でやってる「東京Mets」というガールズミュージカルで活躍してます。ぐっと大人っぽく成長したMAOちゃんを応援してあげて。

 なんか今回は、お知らせがやけに多かった!!





2月14日

 昨日はバレンタイン・デー。
 うちの近くにある某有名シェフのケーキ屋には、マダムやOLが沢山列を作ってた。
そこは一粒500円とかすごく高いから、やっぱりそこで買うチョコは大本命にあげるんだろうけど、それにしてもすごい気迫。バレンタインは何もしない派のあたしは、ただ「すごい!!」って感心してた。
 でも、ほんとに好きなら一年365日、バレンタイン。いつでもどこでも、告白ぐらいできる。チョコがなくても、代わりに甘いキスを贈っちゃえ!! キスから始まる恋もあるさ・・・・。
 最初は軽いフレンチキス。相手が乗ってきて「ここだ!!」と思ったら濃厚なディープ・キス。たとえ刹那のラブ・アフェアに終っても、優しい思い出にできる強さがあれば、告白なんか怖くない!!
「強さ」っていうのは、依存するほどメロメロにラブしてても、その結果がたとえバツでも、最終的に自分の価値はそこに左右されないっていう、精神的なビッチ(スラングではしたたかな女とかいう意味だけど、亜美的には自立してるっていう意味)精神みたいなもののこと。
「あなた(君)がいなくちゃ生きられない」って言葉では言ったとしても、ほんとは生きられるんだよね。フラれたって、拒絶されたって、そんなことでは自分の価値は否定されたりしない。告白して傷つくのが怖いとか、恥ずかしいとか、そんなのぜーんぜんっ平気。
 だから告白に一番いいトレーニングは、自分っていう唯一無二の個性に存在に自信を持つことかも。

 さて、大切なお知らせ。
 今年、今、4月に出す文庫「クロムハーツ」を作っている真っ最中なんだけど、これはあたしにとって原点に立ち戻ったとても大切な作品です。
 主人公、真行寺憧子はあたしの中に住む分身の一人で、きっと皆の中にもそう感じてくれる人がたくさんいると思う。
 あたしたちは自分の醜さ、嫉妬、破壊願望、エゴ・・・・そういうダークな部分といつも隣り合わせ。他人には押し隠していても、自分だけは欺けない。時にはそんなダークな力に支配され、振り回されてしまうあたしたちが、悩みながら「クロムハーツ(錆びない心)」を持ち続けるのはとても難しい。
 高校で偽りの善人になることや、大人の背伸びした恋を楽しむフリをすることに疲れた17歳の憧子が、最後に辿り着く場所はどこ? 
 亜美的にはこの「クロムハーツ」をシリーズ化したいと思ってる。憧子の心の光と影を、一緒に味わって欲しい。そして表紙はおなじみ女の子の星、蜷川実花さんの、ミステリアスで美しい少女の神秘的なポートレート。かなりぐぐぐっときます。

 女の子に潜むダークな心とセックスの感じ方との強い繋がりを、俊くん演じる謎の男アギトが暴露する「Flozen Ecstacy Shake」も、ますますテンションが上がってます。
 真中瞳ちゃんの凛花と沙夜はまるで別人。コレクションでも活躍するヒロさんが2時間かけてヘアメイクし、コスチュームもスタイリストの長さんが考え抜いて選んだものだけあって、更井真理さんの写真は光ってる!!
 真理ちゃんはアメリカでカメラマンとして活動してから帰国して、「ミニ」「H」「GQ」などで幅広く写真を撮ってる元気なポジティブおねーさん。作品は日本人離れした躍動感や陰影に満ちたドラマ性が魅力的だよ。



(( 必見!!! ))
亜美からバレンタイン・プレゼント
のお知らせ


 バレンタインに贈り損ねた人、もらい損ねた人のために、亜美的バレンタイン・プレゼントを贈ることに決定!!
 12月に出した「First Love」のサイン本に亜美パーソナルプレゼントをつけてなんと20人にどーんとプレゼントしちゃいます。
 何をプレゼントにしたら皆が喜んでくれるか、頭をひねった結果、あたしのお気に入り愛聴CDとコスメグッズを大放出することに決定することに決定。CDは新品同様まったく無傷のもの、コスメグッズは新品です。

1 RIZEのアルバム「NATURAL VIBES」
2 アラニス・モリセットのアルバム「サポーズド・フォーマー・インファチュエイション」
3 「ジャスティン・ケース」 イギリス期待の大型新人、出たばっかりのアルバム。ちょっとオアシスっぽいボーカルグループ。
4 亜美的お気に入りコスメグッズまたはマニキュア アナスイあたりか?
5 ミステリー・プレゼント 着くまで謎。期待度大????

 サイン本プラスプレゼントが欲しい人は葉書の裏に〒、住所、電話、名前、年令、欲しいプレゼントの番号を書き、下記のあて先へ送ってください。

〒104-8011
東京都中央区築地5-3-2
朝日新聞東京本社出版局
文芸編集部 矢坂美紀子




PS 最近見た映画で超アタリが2本あったから紹介するね。
 最初はマイケル・ムーア「ボウリング・フォー・コロンバイン」。コロンバイン高校の生徒乱射事件を体当たり取材しながら、アメリカから暴力や銃が決して消えない矛盾を追及する爆笑問題作。結果的にイラク攻撃がなぜマチガイなのかも、自然に分かるようになってて、笑いながら頭がワンランクアップするクレバーな作品。絶対のおすすめ。
 それから黒沢清監督の「アカルイミライ」。オダギリジョーと浅野忠信、藤竜也プラスクラゲが、すごくよかった。あとあとまでいろんなことを考えさせる作品。
 いい映画は、時間がたつほどイメージが鮮明になる。そんな小説を書きたい。





1月30日

 ようやくインフルエンザも全治したみたいで、普通に外に出歩けるようになった。
 みんなはカゼ、大丈夫?
 あたしの周りの人たちもみーんなひいてて、挨拶代わりっていう感じ。気をつけてね。

 寝込んでる間、普段読めない本を読んだり、ビデオを見たり、考え事をしたり……。
 古い名作をたくさん見直した。「ナチュラル・ボーン・キラーズ」、「時計仕掛けのオレンジ」、ミュージカルの古典「雨に唄えば」、最近のでは松田龍平くんの「青い春」。みんな面白かった!!
 それから音楽も聴きまくった。
 シュトラウスのワルツやワーグナーの「ワルキューレ」、クラプトン、「バッドリー・ドローン・ボーイ」……。

 動けないときに一番、よく考えたのは、「自分の本当の望みはなんだろう?」っていうこと。いつもは日常の忙しさに流されて、いつのまにか自分が傷つかないズルイ言い訳を考えて、「こんなの自分らしくない」とかかっこつけて、本当の望みを見て見ぬふりをしてる。そんな縮こまってる自分に気付いた。
 でもプライドの盾で怠惰な心を守って、傲慢な言葉を心に並べてみても、虚しさの繰り返し。

 本当に欲しいものを追いかければ、きっと自分が傷つく。
 胸を抉る傷口の痛みから、赤い血が滴り落ちる。
 だから逃げたい。顔を背けたい。そんなもの、なくても平気っていう顔をしていたい。
 でもそんなの嘘。
 いつか自分を欺いた報いがくる。
 人生の最後に悔いたくなければ、傷つくことを覚悟して前に進まなくちゃならない時もあるんだと思う。

『First Love』の璃星に出会う前の桜澤みたいに、自分に叶わない望みを最初から捨てて、クールに淡々と生きているのは、一見かっこいい。
 追いつけない夢に苦しむこと、叶わない望みに傷つくこと。
 あがくのはかっこ悪いかもしれない。でもそれを捨てたらきっと心は平坦なマシンのようになってしまう。
 人生にはきっとぼろぼろになっても、それでも切り捨てられない願いがある。

 それを忘れていた自分にすごく嫌悪した。
 大人になることは、傷つかないようにうまく生きることじゃない。
 傷つくことを恐れず、流れる血から新しい花を咲かせることができることなんだよね、きっと。

 好きな人に愛されたいという望みは、きっと人が持つ中で一番強いもの。だからこそ叶わなかった時に、傷も大きくなる。
 でも本当は「叶わない愛」なんてない。
 以前、あるトモダチに大切な彼氏のことを、どんな風に思ってるか聞いたことがある。
 彼女はこう言った。
「彼が生きていてくれるだけで、それだけでありがたいと思う」って。
 その気持ち、その時は分からなかった。
 もっともっとどろどろした独占欲や、「自分だけをちゃんと見てよ」っていうエゴでいっぱいなのに、と思った。
 今は少し分かるかもしれない。
「その人が生きている。そのことであたしがもらう、とても沢山の歓び」
「心の一番深いところから溢れ出てくる、清冽な湧き水みたいな美しい感情を発見する驚き」
 それを教えてくれてありがとうっていうキモチ。
 そう、見えないけれど、愛は心にちゃんと美しい虹をかけてくれている。
 空に七色の虹があるだけで、希望や優しさの光が生まれてくる。
 たとえ手を伸ばして掴めなくても、そこにある輝きは変わらない。
 幻かもしれないけど、人の心を照らすもの。
 あたしの本当の望みは、虹の存在をいつも忘れずにいること。

 ……そう健気に思っていても、
 毎日が三歩前進二歩後退の繰り返し(笑)。
 激しいエゴに引きずられたり、思うようにならない世の中にイライラしたり、もう何もかもどうでもいいやになったり、生きてたって仕方ないじゃんっていう気分に落ち込んだり……。
 でもいつも苛立って「あれができない、これもない」ってないものねだりしてるのは辛い。
 ぴりぴりするより、幸せな気持ちでいたいよ。
 みんなも少しだけ春の色に染まってきた空に、自分だけの虹を見つけて!!





1月14日

 HAPPY HAPPY GROOVY YEAR!!
 2003年最初の日記更新です。
 みんな、今年もよろしく!!

 去年は「LOVE」をテーマに突っ走った感じで、自分なりに人を愛するってことが体感として分かったような気がする。『The 2nd Lovers』の亜沙美も、『神曲』の嵐も、『fragile』の燃美も、『First Love』の璃星も、『Frozen Ecstasy Shake』の凛花も、みんな切り離せないあたしの一部。
 矛盾してるけど、ある時はすっごくピュアに愛を求めすぎて壊れてしまう璃星だったり、あるときは冷たいエゴイストの凛花だったり、人の心っていつも渦を巻いてる「カオス」なんだよね。
 でも、誰もが色んな形でせつないぐらいに愛を求め続け、それが自分の回りや人生を様々な色や形に変えていく。これこそがこの青い星の輝きの秘密なんじゃないかな。みんなにそれが伝わってくれてれば、すごくうれしい!!

 さて、今年はあたしにとって「edge」な年にするつもりです。
 つまり感性を尖らせて、色んな周波数の感覚をちゃんとキャッチして、人間の心の奥底にある悪魔も妖精も、恐ろしい蠍も美しい蝶も、リアルに作品に反映させていきたいっていうこと。
 そのためには心の声にちゃんと耳を澄まし、眼をよく見開いていなくちゃね。

 人はよく、社会に生きて自分の望むものを手に入れるには「こういう風に生きていかなくちゃ」とか「こういう部分は捨てなくちゃ」とか思い込んで、自分から狭い道を選んでいく。
 確かにある意味それは正解かもしれないけど、同時に自分の中の矛盾した部分を殺すことにもなる。
 だから多くを捨てて目標に到達すると、「これは本当の自分なのか?」って疑問を感じたり、虚しくなったりすることもあるんじゃないかな。
「じゃあ、どうすればいいの? 自分の中のすべてを抱えたまま、歩き続けていくなんて不可能だよ」って思うよね。だって望むものを手に入れるには努力や試練が必要だし、そのために削り落とされるものが必ずあるから。
 たとえば学校や職場でみんなとうまくやっていくとか、親に心配かけないっていうささやかな事でさえ、ありのままの自分でいることを許されないこともある。
 あたし自身も集団生活に馴染むのが苦手だったりするし、一つのものにのめりこんじゃうタイプだから、バランスよくうまく生きていくことなんか不可能に近い。他人には受け入れられがたい、ネガティブな暗い闇を覗いてしまう部分、耐え切れないほどの自己嫌悪やコンプレックスという弱さ、破壊への願望……。
 そういうものはある日、突然、「大人になったから、消えた」なんてことは絶対にない。きっと死ぬまでつきまとうんだと思う。だけどそれを無理に抑えつければ、きっと別のところから噴き出してくる。力づくで殺してしまったら、自分らしさも何割かはなくなっちゃう。じゃあ、どーすればいい?

 アミ的にはそういうものを、親しい友だちとして生きていくことが、本当の大人になることなんじゃないかなと思う。支配されることも殺すこともなく、存在をいつも意識して彼らの言葉にちゃんと耳を澄ます。良心や愛を求め続けていても、時には洗練された悪をたまらなく美しいと思い、プライドを大切にしていても、時には自己嫌悪のナイフで心臓を抉りたくなる。そんな矛盾があるからこそニンゲン。
 そしてその矛盾にいつも葛藤し続ける人だけが、本物の輝きを失わない。
 今年はそんな「心の闇と光」がテーマです。
 第1弾として4月に文庫『Chrome Hearts』(仮)を出すので、期待しててね。

 追伸
 今度、日刊ゲンダイという夕刊紙で、「Solstice Girl」(ソリュスティス・ガール)という短期連載をやります。
 撮影現場で出会ったAV女優とカリスマAV男優のお互いへの気持ちの変化が、撮影に予想外の結果をもたらして……っていうショート・ラブストーリー。みんなは夕刊紙はあんまり見ないかもだけど、お父さんが家に持って帰ってきたのとか、手にとることがあったら、チェキよろしく!!







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