1月15日
今日、なんといっても第一に報告したいのは、今月の25日頃に出る新刊単行本のこと。タイトルは今までのあたしの本とかなり違う変化球で、『ツギハギ姫と波乗り王子』です。
最初から、自分で何かの形で映像化したいと考えながら書いた初めての小説。
物語の寄せ集めの世界でしか生きられない「ツギハギ姫」こと杏と、波の世界でしか生きられないサーファー「波乗り王子」のリクが出会って、混じり合えないはずの2人が恋をする。
でも、もともと違う世界の住人だった2人が、一緒に住み始め生活を共にするにつれて、お互いの心の世界を理解する難しさを痛いほど学ぶ。傷つきながらももっと深く求め合う日々。
でも決して消せない記憶から「ツギハギ姫」を演じるようになった杏は、そのカラが壊れ、リクに依存しないと生きられなくなったことに大きな不安を感じていた……。
杏は本やマンガの虫だった頃のあたしが、濃く反映されてる。
今でも覚えてるけど、中学の頃、学校も家もいやなことだらけだった時、「このリアル世界のストーリー考えた作者、才能ない! だってこんな愛も夢もない廃墟みたいな場所に、物語なんか生まれっこない」って思った。
廃墟だって思ったのは、尖ってたその頃の心に生身の人間がエゴイスティックで怖く思えて好きじゃなかったから。現実は物語と違って、無意味としか思えないたくさんの苦しみや悩みばかり。本当はすべてに意味があって、今の、前進する大きなパワーに繋がってるけど、その当時は、とてもそうは思えなかった。
きっとみんなもそうだよね。この世界に生きることで自分自身の物語を紡きだすなんて、あり得ないぐらい遠くて不可能なことに思えた。
この世界はただ果てしなく広くて荒涼としていて、分厚いカラで心を守らなければ、たちまち人の心に住む恐ろしい魔物の餌食になる。そんな風に感じていた。
杏はそんな女の子。そして恋愛の相手にもどこかで自分を守っていて、心をさらけだせないから、エッチの「いく」っていう感覚ももてたことがない。だけど、リクをたまらなく好き。
出会って、恋をして、共に暮らしたいと望み、ケンカしたり傷つけあいながらも、やっぱり離れられない、いとおしいから同じ部屋に帰る……。
誰もが体験する恋愛の歴史。でも、まったくちがう人生を歩いてきた2人が、心のカラを破ってすべてを共有しあうことって、ほんとはものすごいエネルギーと愛の力と勇気がいる。
カラをかぶったままでも一緒の生活はできる。でもそんな2人には孤独な隙間に悩む瞬間がきっとつきまとう。相手の過去も傷も痛みも受け止めることは、生易しいことじゃないし、すごく強い覚悟がいること。
でも人間って、けっこう強い。
両足を踏ん張れば、女の子だって男の人をおんぶしたり肩で体重を支えたりもできる。人間の心って、そんな風に、ほんとに愛した人の重さを抱えても、自分の夢を持ち続けられるぐらいでっかくてすごいもの……。
でもそれに気づくまで、きっとたくさんの失敗や別れを繰り返す。
杏とリクは、手を繋いでそこにたどり着ける?
そんなストーリーです。
好きな人と一緒に住むっていうこと。同棲でも結婚でも、ただの恋人関係とちがって、お互いのいい所も悪い所も見えるし大変なこと。
最近、英語で最高のパートナーを「ベターハーフ」っていうことの意味を、よく考える。「あなたはわたしの半分。わたしはあなたの半分。2人合わせて一人前になるんじゃなくて、完全じゃなかった魂の形が、相手と一緒になることによって、完全な形になる。
そして2人ともその魂の輝きで、自分を遥かに越えた大きな強い自分になれる。
そんな最高の相手っていう意味なんだと思う。
そして今回の表紙モデルは……なんと以前表紙のモデル・オーディションをした時に惜しくも次点だった一之瀬まゆちゃん。彼女は今、可愛いコスプレ関係の衣装のモデルさんをやってるんだけど、今回の物語の世界観にぴったり、ということでモデルになってもらいました。
おなじみの蜷川実花さんが、今回は思わず鳥肌がたつような、幽玄美に溢れる写真を撮ってくれました。光と影、色彩の陰影、まゆちゃんの表情……これこそ物語。
あたしはこの写真を見ると、谷崎潤一郎の『痴人の愛』を思い出す。
本屋さんへ行ったら、この美しい表紙を見つけて!!
そして……実花さん初監督の映画「さくらん」、試写で見ました!
衣装、セットから人生観、恋愛観まで、どこをどう切っても丸ごと実花ワールド炸裂っていう感じで、圧倒されます。実花ファンは絶対必見!!
みんな一つずつ夢を実現しながら、前へ前へと歩いて行く。そのことにも感動した。燃えてる星みたいに強烈な夢実現エネルギー、あたしも死ぬまで持っていたいな。すべてを焼き尽くしても、その中から新しい星の命が生まれてくるように。
映画「人魚姫と王子」が、来月、某映画祭でも上映されことになった。
これについてはまだ情報公開できないので、もう少し待っててね。
「……姫と……王子」っていうタイトルは、映画のタイトルとして絶対、やりたかったから、意識的に続けました。誰もが本物の恋をすると、2人の世界の中で王子さまとお姫さまになるんだと思う。お互い以上に大切なものなんて、この世界には何もないから。
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