特別著者インタビュー
ジュディ・オング

Judy Ongg Interview


いつまでも美しさを保ちつづけているジュディ・オングさん。女優として、歌手として、また版画家として、世界を舞台に活躍する彼女が、まったく新しい薬膳レシピ本『ジュディバランス』を刊行しました。幼いころから薬膳と自然に親しんできたからこそできた、誰にでもわかる、誰でも簡単に作れるレシピの生まれた背景と、美しく年齢を重ねるジュディさんの若さと美しさの秘訣に迫ります。

――5月に出版された『ジュディバランス 体がよろこぶ、私の薬膳レシピ』が今、あちこちで話題になっていますが、ジュディさんと薬膳とのおつき合いはどんなふうに始まったのでしょう。

 みなさん御存じのように、私は台湾で生まれ、3歳のときに日本に来たのですが、両親ともに中国人ですから、家での食事は中国料理が当たり前で、ずっとそれで育ったきたんです。中国の家庭料理というのは、夕食だったら一汁四菜、五菜が普通で、食卓の上にずらりと料理が並ぶんですが、小さいころ、私が何かに箸をのばそうとすると、必ず祖母や母が「あっ、それは食べちゃだめ」とか、「その料理はたくさん食べていいのよ」なんて、いちいち口を出すんですね。当時はもちろん、なぜ食べていいものといけないものがあるのか、私にはわからなかったんですが、長ずるにつれて、それは私の持って生まれた体質、あるいは折々の体調に合わせて、体にいいものだけを食べさせようとしていたのだ、ということが自然とわかってきたんです。そしてそれが、中国古来の食事の摂り方、薬膳にのっとっているのだということも。つまり祖母や母は、一日三度の食事を通して、箸の持ち方を教えるのと同じように、薬膳の知恵を私に教えていたわけです。それが、私と薬膳のおつき合いの始まりなんです。


――そうすると、ジュディさんの場合、薬膳という考え方は無意識のうちに身についていたというわけですね。

 そうですね。そのことではほんとうに祖母や母に感謝しています。もちろん私だって、風邪もひきますし、熱が出ることもありますが、よほどひどくならない限りは、医者や薬に頼らずに、食事で対処できます。熱があるときは、熱を冷ます効果のある料理を、体が冷えてしまったときは、体をあたためてくれる料理を、といったふうに。


――それはすばらしいですね。でも薬膳と聞くと、私たち日本人はどうも、難しそう、薬くさくておいしくなさそう、というイメージを持ってしまうのですが……。

 そうそう、私もこれまで何人の方からそう言われたことか(笑)。でもね、だからこそ本を書かなくちゃ、と思ったんです。本を読んでいただくとよくわかると思うんですが、薬膳料理って、けっして特別な料理でもなんでもないんです。ごく普通の家庭料理。それも、中国料理とはかぎらない、と私は思っています。というのも、私は仕事がら、年に何回かは海外に出ますが、行く先々で、それぞれ、その国の風土に合った体にいい食事の摂り方があることをつくづく感じるんですね。たまたま薬膳には古い歴史があり、漢方医学という背景があるために、難しい、薬くさいと思われてしまうんじゃないかしら。


――では、ジュディさんのおっしゃる薬膳とはどんなものなのでしょう。
 
 大切なのは、バランスなんです。食物はすべてそれぞれに「熱」「温」「平」「涼」「寒」という性質、薬膳でいう「五性」をもっています。そして人間の体もまた、同じように五性をもっているんですね。そして薬膳では、食物と、それをとる人間の、それぞれの五性がバランスよくあることが健康の源であると考えるわけです。こういうと、やっぱり難しい、と思われるかもしれませんが、これを私流に言い換えると、自分のそのときの体調に合った食物を選び、おいしく料理して、楽しく食べましょう、ということ。それが私が提案する、バランスのいい食事の摂り方なんです。ほら、こう考えるとちっとも難しくないでしょう。


――なるほど。「ジュディバランス」というタイトルは、そこから生まれたんですね。

 そうなんです。このタイトルに落ち着くまでにはいろいろな案があったのですが、多くの人が抱いているこれまでの薬膳のイメージを払拭するには、このタイトルがベストだろうということになって……。ついでに、といっては語弊がありますが、さっきお話しした五性についても、どなたもが理解しやすいように、シンプルに「温」「平」「寒」の3ワードにまとめました。そして、それぞれのアイコンを作って、紹介したレシピ全部につけるようにしたんです。だから、アイコンさえ見れば、その料理がどんな性質をもっているのか、一目瞭然というわけです。


――これまでのお話で、薬膳、つまり「ジュディバランス」は決して難しくはない、ということはわかったのですが、薬膳を自分のものにするためには、まず何から始めたらいいでしょう。

 そうですね。まずは私たちがよく口にする食物の性質を知ることから始めてみてはどうでしょう。『ジュディバランス』にある、性質別の食物図鑑を繰り返しながめてみてください。きっとすぐに覚えられますよ。そして、そうなったら、三度の食事がもっともっと楽しくなると思うんです。レストランでオーダーした料理を見て、「あっ、この料理は温ね」とか、「オードブルは寒の料理で、メインは温。だから平均すると今夜の食事は平ね」と、食事を見て判断できるようになると、体も元気に変わっていくと思います。


――ほんとうにそうですね。ジュディさんの若々しさ、美しさが日々の食事のスタイルから生まれたことがよくわかりましたが、最後に、ジュディさんが食事以外に気をつけていらっしゃることを教えていただきたいのですが。

 私、スポーツが大好きなんです。ゴルフ、テニス、乗馬、なんでもしますよ。でもまとまった時間がなかなか取れませんから、そんなときは、もっぱらウォーキング。早朝、1時間弱ぐらいかしら、ノンストップで息を吸って吐いて、と気功を意識しながら歩くんです。一応目的地を決めておいて、そこまで行ったらストレッチをして、休まずに戻ってきます。精一杯大きく足を前に出して、手も大きく振って。そうすると、歩くことで内臓も一緒に運動していることになるんです。寒い日でも歩いているうちに、どんどん暖かくなって、ウォーキングハイという感じの状態になって、気持ちがいいですよ。それから、休みの日は、絶対に楽しいことしかしません。そうそう、ご飯を食べているときも、嫌な話や仕事の話は絶対にしない。ご飯を食べる時間って、長くても1時間ぐらいのものでしょう? その時間は食べることに集中して、ああ、おいしいと思いながら、ゆっくり楽しみます。食物もバランスが大切だけれど、精神のバランスもとっても大切だと思うんですよ。

――ジュディさんのいつも前向きで明るい生き方の秘密がわかったような気がします。どうもありがとうございました。(構成/鶴谷千衣)



ジュディオングさんのホームページでも
「ジュディバランス」を紹介しています。













ジュディ・オング 著
ジュディバランス』