木村祐一
特別インタビュー
木村祐一

Yuichi Kimura Interview


 お笑い界の誰もが認める奇才・木村祐一。特に構成作家としての評価は高く、芸人からの信頼も厚い。その木村祐一が今夏8月末、何の変哲もない風景を写真に収め、独自のシニカルなツッコミを入れながら面白く解説するイベント『写術』を東京・大阪の二カ所で開催する。
 「吉本興業唯一の随想家」と呼ばれる男は、日頃、何を見て、何に感じ入り、“お笑い”を作り上げていくのか。今回は特別に小誌で自身の“お笑い”への姿勢、ライフワーク『写術』への想いを語ってもらった。
 写真の顔が怖いのはどうぞお許しください!

(※「木村祐一SHOW〜写術〜」のイベント概要は、このページの一番下にあります! さらに抽選でペア1組様をご招待! どしどしご応募ください!)




──そもそも木村さんがお笑いの世界に入ったのは、その世界で生きていける確信みたいなものがあったからなんですか? 友達に誘われたのがきっかけと聞いてはいますが。

木村祐一(以下K) :なんにも考えてなかったですねえ。お笑いの世界との接点もなかったし、自分が“お笑い”を作っていくなんて想像もしませんでしたからね。逆に「俺は成功する!」なんて思いこんでいた連中は皆、もうおらへんようになったんやないかな。今、周りにいる仲間を眺めてみても、慎重ですもん。思いこみなんてなんの意味もない。無駄な考えとか一切排除やってきたように思います。ただ若い頃は“揚げ足取り”みたいなことはよく言われていて、それが僕が考える“お笑い”に繋がってきているんでしょうね。

──お笑いの前には染め物職人なんかもされていたと聞きましたが、ご自分でも数奇な人生を辿っているような感じですか?

K:出会いと時期とが不思議に作用したんでしょうね。ダウンタウンさんと大阪で一緒にやっていた時期も「天下を獲る」なんて発想はなかったですけど、とにかく「1時間後に生放送があるから、あそこどうしよ?」なんてことを、毎打席集中して打ち続けてきたってことでしょう。それをただずぅっとやってきただけのことですよ。

──“お笑い”の世界でやっていけると思ったのは、その集中していろいろやっていた頃ですか?

K:ん……「やっていける」なんて、そんなの今も思ってないです。いつ辞めてもいいとは思いませんけど、辞めなアカンようになったらどうしようかな、とは考えますね。たとえば、どうしても腹が立ったらどついてしまうやろうし、そうしたら続けられへんやろうし、その時はどうしたらええんかなぁって考えますね……(笑)。

──今のところはまだそれほど腹の立つこともなく無事だったわけですか。プロデューサーをどつくとか。

K:いや、プロデューサーはどつかないですけどね。その、一般人をね、腹立つから(笑)。いや、どつきませんけどね、どつかないですよ。ただ、よく昔から占いとかで、芸能人か犯罪者のどちらかになるって言われてたんですよ。芸能人みたいなもんにはすでに成ったわけで、だからといって犯罪者にならないかっていうと、可能性は100%ありますからね。犯罪者から芸能人にはなれないでしょうけど、芸能人 兼 犯罪者ってのは、十分あり得ますからね。気をつけないかんな、と(笑)。

──最初からお笑いに興味があったわけではないとおっしゃっていましたけど、“お笑い”はお好きなんですよね? よく「吉本唯一の随想家」と称されていますけど。

K:“お笑い”は好きなんでしょうね。でも、なんですかね、「随想家」って。誰が言ったのか知らないけど……。

──調べて来たんですよ。










木村祐一プロフィール
生年月日
1963/02/09
性別

出身地
京都市
身長
168cm
体重
63kg
血液型
AB型
星座
水瓶座
靴サイズ
26cm
趣味
写真撮影
ずいそう


K:ほぉ……。そういう意味ですかぁ……。随時とか随筆の「随」ですね。ふぅ〜ん。

──これを調べたときに、日常にある一点の染みみたいなものを独特のフィルターを通して捉えて、そこから物語を紡ぎ出していくような木村さんの“お笑い”スタイルが少し理解できたような気がしたんですが。

K:なっるほどねぇ……。ふぅ〜ん。

──木村さんが“お笑い”を考えていく過程がよく表れた言葉じゃないですか?

K:どうですかね。ネタは空気中になんとなく在るんですよ。それを雪だるまを作るように集めてきて、なんとなく形になったときに、これは自分でやる、これはテレビで……と分けておく……そういうことでしょうね。構成作家としてもタレントとしても仕事をしてますけど、自分でやりたくないことは演者にもやらせたくないとか、そういうことは考えますけど、そんなに熟考しているわけでもないし。知ろう! という行動じゃなくて、もともとでかいアンテナを持っているんだと思いますよ。それを全部使うか、一部使うかというだけじゃないですか。

──お客さん(視聴者)との距離感はどのようにとるんですか? 迎合するとか、突き放すとか、解らなければ解らないでいい、とか。いろいろスタイルがありそうなのですが。

K:いや、それはダメですよ。お客さんに「解れへん」なんて言わすのは絶対ダメです。それは失敗しとるんですよ。「俺の笑いが通用せぇへん」とかじゃなくて、それは初めから“笑い”じゃないんです。辞める時なんです、そういう奴は。自分らの世界だけで面白いと思うことを、伝われへんとか、悔しがるとか、それはあってはいけない話なんですよ。全ての人を笑かすのは無理ってことはまず分かった上でね、諦めたり、そいつらも絶対笑かそうとかはもう思わないですね。ある意味、そういう人も必要ですし、ランキング1位のラーメン食べて「まずい」言う人もいますからね。

──たとえば、自分の舞台や、自分のシナリオを他の演者がやった時に、笑いがとれなかったり、全然ダメだった……というときもあるんじゃないですか?

K:ん……ダメだった時はないですからね。それはないはずなんですよ。というか、そもそも「ダメだった」なんて言う奴が“お笑い”をやっていること自体がダメなんだと思いますよ。野球選手だったら、打率は低くても守備でなんとかできることもあるんでしょうけど、僕らは10割じゃないといけませんからね。それがプロです。もちろん、10割バッターだと思っていても、100人が100人、全員が同じところで同じように笑うことはないんですけど。

──そもそもネタを考えているときに、お客さんありきなのか、それとも自分ありきなのか、という点ではどうですか? 常にお客さんを意識しているものですか?

K:感覚的にはどちらのことも頭の中にはありますけどね。一種類の笑いではダメなので。作ってみたらお客さんも喜んでくれたっていうのが理想的ではあるんですけど。構成作家としての仕事の時は発注がありますから、視聴者の年齢層などのデータを確認したりはしますね。

──大阪と東京では、笑いに差がありますか?

K:大阪の人に向けた時は丁寧に作ってますね。大阪人は「自分らは笑いをよく解ってる」っていう意識があるから。東京はボケるだけで笑いがとれるんですけど、大阪はね、ツッコミがあって初めて笑いが成立するようなところがあるんです。ボケても笑わないで、ツッコミを待ちよるんですよ。「それは○○やないか!」というツッコミが、ボケの、つまりは笑いの意味を解説するんですけど、ある意味、大阪の笑いは自由じゃないかもしれないです。東京では言いっ放しでもいいんですけど、大阪では「あれ? なんや言葉が足りへんかったかな?」ということがありますね。で、わざわざ言わんでもええようなツッコミを言うと、初めて笑いが起きる。だから、大阪と東京でライブをする時は、大阪で先にやった方がいいですね。これは後輩にも言うことなんですが。

──では、木村さんが8月下旬に行うライブ『写術』についてお聞きしたいのですが、この日頃撮りためた写真に物語をつけていくステージというのは、どういう発想で始まったんですか?

K:ヒマなときに、本屋で立ち読みしてたんですよ。そこで目に付いたのが、鯛が針にかかってグワァッと悶えている迫力満点の表紙。その隣にはマラソンランナー向けの雑誌があってね。なんや、こんないろんな趣味の世界があるんやなぁ、と。さらに手に取ってみると、投げ釣りの分解写真やら、なんやらいろんな情報が載っていて、その時に「自分が興味のないことってこんなにもバカバカしいもんなんやな」と思って。これを、お客さんと一緒に劇場でツッコミ入れて笑ったら面白いんちゃうかな、というのが最初の発想でしたね。普段、自分がネタを考えるところ以外の部分に笑いを発見した気分でした。それで、デジタルカメラを持って街を歩くようになったわけです。

──デジカメは常にお持ちなんですか?

K:いやいや、いつもは持たないですね。ネタを探しに行くときだけ持っていきます。1回のライブのために、1〜2時間くらい歩くのを20回くらいかな。

──探していると必ず見つかるもんですか。

K:まあ、「今日はあまりなかったな」という日もありますけどね。漁師みたいなもんですよ。

──視点が人とは違うということでしょうか。たとえば、ボクシングをテレビで観てても、試合より、後ろに映るおじさんが気になるとか。

K:それはまずあるんでしょうね。でも、もともとが見ただけで気付いたり解らないものを、勝手に解説つけて笑いにしたってことなんです。もちろん、パッと見でお客さんにも解るようなものを織り交ぜたりもしますけど。だから『写術』とは自分でつけたタイトルですけど、写真とか話術とか、オペ(手術)なんていう意味も込めているんです。よく「写楽(しゃらく)」って間違えられますけど。

──ライブの意義と意味についてはどのように考えますか?

K:多くの人は会社や事務所にね、ライブをやるって聞かされて「あぁ、ネタを作らなあかん」とか言いながら(仕事に)追われてしまうんですよね。しかしね、それはちがうんですよ。やりたいことが先にあって、それを実現する場としてのライブなんですよね。達成感が得られる。これが僕にとってのライブの意味。意義としては、舞台を2時間くらいやった後で、一つ一つのネタに対する笑いの大きさなんかを知って、現在のリアルなお客さんの笑いどころを知ること。現実との接点というかね。同じネタをやっても、時間が経てばお客さんの反応もずいぶん変わりますから。現在の市場の状態を知ったうえで新商品を開発して、自分も成長しなくてはいけないし、笑いの種類も増やしていかなくてはいけないと思っています。生活臭のある発想がないと、多くの人を笑わすことができないと思います。

──木村さん自身はライブは楽しみですか。

K:楽しみですね。衣装も自分で探して買うたし(笑)。

──では、最後に今回の「写術」のここを見てくれっていうのがありましたら教えてください。

K:今回はハイソな場所で撮った写真を題材にしたものがあるので、それは新しいかもしれませんね。憧れの街みたいな場所にもバカバカしい面白さがあるんですよ。「なんでこんなことで成立してんねん」っていうようなことなんですが、劇場に足を運んでもらえれば、「何をやってもええんや」という、そんな楽な気分になってもらえるんちゃうかな、と思います。

──ありがとうございました。



写術 ペア1組2名様をご招待!
 芸人・木村祐一のライフワークとして5年前からスタート。ありふれた日常の風景を写真にきりとり、"何故そうなったか"を語ることにより殺風景な写真がいきなりおもしろ写真へと変身する。
「マンション反対を訴える家の両隣が高層マンション」
「外車に囲まれ、一番隅に追いやられた国産車が停まる駐車場」
「"アオキカメラ"だと思ったら"アキオカメラ"だった」など……。
 人の心の淵にある"おこげ"のようなおいしい部分を存分に楽しめるこのライブ!
 暑くて悶々としているあなたにうってつけ!! 笑って猛暑を吹き飛ばそう!!

8/25(日) 木村祐一SHOW〜写術〜
場所
大阪・baseよしもと
時間
OPEN18:30/START19:00
価格
前売り3,000円/当日3500円
問い合わせ
baseよしもと 06-6646-0365
チケット
ローソンチケット チケットぴあ

8/31(土) 木村祐一「写術」
場所
東京・ルミネtheよしもと
時間
OPEN18:30
START19:00
価格
前売り3500円/当日4000円
問い合わせ
ルミネtheよしもと 03-5339-1112
チケット
チケットぴあ ローソンチケット
CNプレイガイド ルミネtheよしもと
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