晴美さんのアレルギー、相当ひどそうですね。
 本場の漢方薬、ぜひ試してみてください。
 前回にも書いた通り、ぼくは漢方薬を飲んで気管支炎がすっかり治りました。抗生物質などあらゆるものを試しても完全には治らず、4年間ぼくを悩ませ続けた気管支炎が、ですよ! ほんと、魔法のようでした。
 質問にお答えしますと、漢方薬は中国ならどこにでも売っています。
 中国では医者にかかるよりもまず薬局に行く、というのが普通なので、薬局は町の至るところにあります。そして、どの薬局も漢方薬の品揃えは豊富で、今でも中国の医療の中心を担っているといった印象を受けます。
 大きい薬局に行けばプロの薬剤師がいて、症状を言えばそれに合わせて調合してくれます。都会なら英語も通じるし、英語が駄目でも漢字を書いて「筆談」すればかなり通じます。
 値段は「めちゃ安」です!
 ぼくは2つの既製品を服用したんですが、3日分で、それぞれ14元(210円)と18元(270円)。
 中国旅行に行ったついでにお土産に漢方薬を買う、と考えれば、経済的満足度もかなり高いですよ!

 さて、旅の話に移りましょう。
 このところ少し堅苦しい話(?)が続いていたので、今回は気楽な気分でシルクロードの見どころを紹介します。
 まずはトルファン。ここは大陸のほぼ真ん中に位置するにもかかわらず、海抜以下の盆地になっています。近郊にある湖、「アイティン湖」の海抜が-154m。ちなみにこれは-400mの死海に次いで世界第2位の低さです。
 この町の周辺には遺跡や古墳などが散在し、シルクロード観光のハイライトの一つとなっています。各見どころは町から少し離れているため、観光はバスツアーに参加するのが一般的。ツアーだとほとんど全ての見どころを一日でぐるっと見て回れるようです。
 町に着いて、ホテルのドミトリー(大部屋)で荷物を整理していると、同室のイギリス人4人グループが入ってきました。ツアーから帰ってきたようです。みんな疲れた顔をしています。
「ツアーどうだった?」と訊くと、4人とも顔を見合わせ、一人がちょっと困ったような顔をして「うーん、なんていうか、とりあえず見た、って感じだけだな」と言いました。それからも出会った旅人に同じ質問をしてみましたが、みんな同じような反応でした。トルファンの観光には期待していただけに、これでは全く拍子抜けです。その程度のものならわざわざ出かけて見に行く必要はないかな……などと思い始めたところで「おいおい、そんなことじゃいかんだろ」と自分を叱咤しました。他人の感じ方などあてにならないのです。何でも自分の目で見て、そこの空気を肌から吸い込まなければ意味がありません。その姿勢がなければ極端な話、こんな旅に出ずに日本でTVの『世界遺産』や、『ナショナルジオグラフィック』の写真を見ていればいいわけですから。
 そういうわけで、ある日、見どころの一つ、「交河故城」に自転車で出かけることにしました。ツアーに参加して見どころを全部制覇するよりは、一ヶ所だけを自分の思うがままに歩いてゆっくり見ようと思ったのです。ツアーを批判するつもりはありませんが、あえて一つだけ言うなら、あの「見せられている」という受身の感覚がおもしろさの大半を奪うような気がしてならないのです。この旅でも何度か観光ツアーに参加しましたが(やっぱ楽ですからねえ)、そうやって見たところは後になってから決まって印象が薄くなっているんですよね。

 一応、この「交河故城」のことを少し説明しておきましょう。6世紀初頭からシルクロードの要衝として栄えた都市の遺跡──以上(行く前にガイドブックで調べた)。

 入場ゲートをくぐって坂を上りつめると、想像とはまったく異なる景観が広がっていました。
 ぼくはポカンとしてしまいました。「……すごいやん」。
 そこは2つの川に挟まれた巨大な中州で、全体が小高い丘になっており、そして丘全体が廃墟で埋め尽くされているのです。建築物は風化が激しく、ほとんど土柱のようになっています。一つの都市が長い年月を経て大地へと溶けていく。その様が生々しく窺えます。同時に途方もない時の長さが肌に伝わってきて、妙に厳かな思いに包まれました。こういう情感に浸れるのは、一つに観光客が少ないからでしょう。ツアーは遺跡の最初の部分だけをサッと見て次の場所に向かうらしく、遺跡の奥の方ではほとんど誰にも会うことがありません。廃墟の群れの中を一人静かにさまよっていると、まるで深い森の中にいるような気分がします。土器の破片が辺り一面に転がっています。ここでは確かにたくさんの人々が暮らしていたのです。往来では人々が行き交い、市場ではものが売られ、辺りは喧騒に満ちていたことでしょう。そういった当時の様子を思い描きながら歩いていると、「ああ、シルクロードを旅しているなあ」という、ある意味、最も求めていた感慨を得ることができたのでした。

 さて、そこから東へ885km、自転車で10日走ったところにはあの敦煌(トンコウ)があります。ここの見どころはなんといっても「莫高窟」。4〜14世紀にわたって造営された石窟群で、石窟の数はなんと500近く。窟の中は壁画や塑像など、仏教美術の宝庫となっています。ところがここでも見に行く前から期待をくじくような意見ばかり聞きました。中でも決定的だったのは宿で同室になった韓国人の話。
「我々や日本人はああいうもの(仏教美術)は見慣れているからつまんないよ」
 それはひどく説得力のある意見に聞こえました。入場料の高さ(80元、約1200円、敦煌名物鳥スープラーメン40杯分)を考えるとますます二の足を踏んでしまいます。しかしトルファンの例があります。とにかく自分の目で見なければ。そして実際行ってみると……。「おおおーっ!」
 岩山に蜂の巣状にくりぬかれた石窟、その中で静かに瞑想する仏像の群れ、壁一面をおおっている緻密な壁画……いい。実にいい。薄暗い石窟の中に充満する幽玄な雰囲気がたまらない。中には高さ34,5mという大仏があって、そんな巨大なものまでもが石窟の中で鎮座しており、そのスケールの大きさにはただただ唖然とするばかり。閉門まで2時間あったのですが、それでは到底足りませんでした。


 旅をしているとよく思います。見る前の期待と実際見た後の感動は見事に反比例するな、と。この旅で印象に残っているのはさほど期待していなかったところがほとんど。反対に、期待が大きければ大きいほど、その分ガッカリというパターンは数えきれません(ぼくの思い込みが激しすぎる、という原因もあるでしょうが)。そういう意味ではトルファンも敦煌も最初にマイナス意見ばかりを聞いていてよかったのかも。

 そう、だから、晴美さん、もしこれを読んでシルクロードに行きたくなったとしたら、先に断わっておきます。ぼくはよくみんなから感動過剰だと言われます。トルファンも敦煌も本当はやっぱりつまんないかも。あまり期待しないように……。















交河故城。亡霊たちもそのまま住みついているようだ。


交河故城は2つの川に挟まれた島にあり、その島のへりはこのように切り立った崖になっている。自然の堅固な要塞都市、というわけである。


交河故城にある仏塔跡。


トルファンのホテルにある天気予報。気温に注目。


火焔山。『西遊記』で孫悟空がバショウセンというでっかいうちわ(?)で「火の山」の火を消すという話があるが、その山のモデルになったと言われている。







自転車くんの今までの旅をふりかえる「自転車くんの長い旅」。
熱帯の国、グアテマラにはジャングルもたくさんある。緑深い森の中で、自転車くんを襲ったトラブルとは……?! グアテマラ紀行文第2弾!!

“ジャングルの奥地。道はひどい状態だった。散々な目にあいながら、しかし、苦痛の向こうに奇妙な感覚があった”石田裕輔






 来年中国へ行く! 決めた! 漢方薬を探し求めてお買い物に行く! 中国語を話せる友人を誘って行こう。折角だから完璧に処方して頂きたいしね。治ることを石田君も祈っててくださいね。

 あるある!!!
 あんまりよくないよ〜って言われていたのに、行ってみたら自分にとってはよかったっていうこと。自分が何を求めているかってことだったりしませんか? モダンとレトロ、どっちが好きかっていうこととか、ヨーロッパが好きかアメリカが好きか、ブランド物が好きか古着が好きか……。何が一番いいって決まっていないわけだから、その人それぞれの感じ方でしょ? 私はまず人の意見を聞くほうだけど、あまり左右はされないほうかな。
 Londonでも週末のフリーマーケットが大好きだったのでよく行ったけれど、本当に歴史を感じさせるものがたくさんあって楽しかった。私たちって物をすぐに捨てるじゃない? 私はいろいろと捨てられないから、物が増えすぎて、いいのか悪いのか分からなくなるときもあるけど。
 新しいものに買い換えるのって普通のことだけど、でもなんかねぇ〜。なんて言ったらいいのかな。それも価値観の問題なんでしょうけど。
 数年前、母がどんな着物を持っているのか気になって、箪笥を開けてみたことがある。中には母が若い頃着ていたという着物が、数点残っていた。広げてみると、デザインがすごくいい。母が若い頃、こんなデザインが流行っていたんだ〜って。70年代のコートやスーツも出てきた!!!! しかし……タイトなデザインだったので肩幅がある私は、まったく試着不可能だった。本当に悔しかった〜。でも母にとっては思い出深いものでなかなか捨てられないでいたらしく、私が母の物を欲しいと言ったときは喜んでいた。ただ箪笥で眠っているのもかわいそうだと。

 20歳前半まで私はブランド物が好きだった。でも変わった。なんでだろう……。それまでジーンズを穿いたことがなかった。スニーカーも確か持っていなかった気がする……多分。
 しかし今は毎日ジーンズ。穿いていて味が出てくるのが好きだな。仕事できっちりとした服を着るから、普段くらい楽な格好でいたいだけなのかもしれない。自分の中でいいと思うものがやっぱり変化しているんだよね。
 中華街に行ったらいつもチャイハネに立ち寄ってどっとまとめ買いをしてしまう。そんなに値段も高くないしデザインも好きだし生地もいいしね。

 そして住む場所。
 だいたい仕事場に近い場所や遊ぶのに便利な場所、あとは友人が近くに住んでいるからといった理由で決めるじゃない? 私の場合は以前は人気の東横線沿いに住みたくて、実際住んだこともある。でも今は緑が多く静かな場所を選び、都会を避けている。
 何故かと言えば〜。夜遊びをしなくなった(卒業した)から、犬の環境を考え散歩しやすい場所がいいと思ったんだよね。仕事の場所まで1時間2時間かかろうが、都会から脱出したかった。そして家賃も安い(笑)。さらに、誰にも邪魔されず一人の時間を満喫できる。友人に言わせると、落ち着くにはまだ早いんじゃない? って。でも体がそれを望んでいたんだ。本当は鎌倉に住みたかったんだけど、いろんな問題が出てきてしまったので諦めた。まあ次はきっと鎌倉方面へ行くことになるだろう〜。うひひひ。

 数年前仕事で香港へ行ったときの話。いくつかびっくりしたことがあった。
 なんと、電線の数が多すぎて空が見えなかったこと。
 それから、ブランドShop前に、週末家にいることができないお手伝いさんたちがたむろし、地べたに座ってLunchをつまみながら情報交換のための集会を開いていたこと。私たちはその人たちの間をピョンピョンを飛んで店に入った。店のドアにはガードマンがちゃんといるにもかかわらず、彼らはなにも言わない。日本だったらありえないことでしょう? 営業妨害だとかなんとかって文句言うじゃない?
 そんな感じであんまり印象のよくない場所として心に刻まれてしまった。仕事では行ってもいいけどプライベートの旅行では行かないだろうなって。
 しかし友人はそんな香港が好きらしい。分からない……。
 確かにご飯は100%満足しました。それ以外何がいいのか聞かれても、あまりにもゴチャゴチャしていて私はだめだった。香港好きの友人はそのゴチャゴチャ感が最高にいいと言う。でもそのゴチャゴチャ感も、アジアとヨーロッパとアメリカとでそれぞれ違うわけで。
 この間も友人と旅行談義になったとき、自分の興味のないお店には入らず外で待っているって言う人とかいるよね〜って。偶然目に止まったお店に入りたいと言ったら、外で待っているから、と言われたことがあったらしい。友人もそんなこと言われると気が引けてしまって、ゆっくり店内を見て回ることができなかったそうだ。
 まあその子にとっては外で待つということは、なんでもないことなのかもしれないけど。でも興味がなくても新しい所へ行けば、新しい発見をするだろうにね。
 映画だってそう。タイタニックを素晴らしい映画だと言う人とそうでない人がいるでしょ? 私は素晴らしい作品だと心から思いました。何度観ても泣いちゃうし……。
 私は基本的にはラブロマンスが大好きでアクション系はちょっと苦手かな。というのも人が死んでしまうのが怖いからという単純な理由なんですけど。

 今まで行ってみて深く記憶に残っている場所と言えば……。
 幻冬舎から出版した『Live』の撮影で行ったLondonのBeachですね。場所を明確にしていいのか分からないけれど、写真を見ると砂漠? ってみんな言う場所があって、実は、そこがそのBeachだったのだ。でも突風が激しく、いやというほど砂に打たれました。
 しかし篠山さんもこの過酷な状況下で、それまでで一番長く撮影時間を費やし、たくさんFilmを使って撮っくださったそうで、みんなが本当に満足しました。
 写真集のロケ場所がLondonっていうのは、あんまりありえないんだよね。天気が変わりやすく、太陽が出た〜っと思ったらすぐに雲に入ってしまうし。それでもどうしてもLondonで撮影がしたいという私のリクエストが通っての撮影だった。
 仕事で行く場所って、観光では行かないような場所に行けることがなにより嬉しかったりもしてね。
 London以外でもオーストラリアへCMの撮影に行ったとき、ほぼ無人島みたいな場所へ行ったことがある。車が一台もない島だった。Hotelも確か1つしかなかった気がする。海が本当に綺麗だったぁ〜。Beachも白い砂で。
 香港からマカオへ日帰りで行ったときも、夕焼けがあまりにも美しくて、その風景を見ているうちに、みんな最終ボートの時刻をすっかり忘れてしまい、船着場まで荷物を持ち合ってダッシュするハメに。でもあのときは本当に笑った。私たちが乗った瞬間ボートが出発したんだもん。きっと、私達全員がマジ顔で船着場へ走ってくるのが見えたんだと思う(笑)。
 今回挙げた場所にはもう一度プライベートで行ってみたいって思うな。あの頃とまた違った印象を感じるだろうし、自分も少なからず成長し感覚も変わっているはずだから。

 石田君はやっぱり今でもアフリカが、一番印象に残っているのかな?

P.S
 もうすぐ会えますね。
 石田君って人はいったいどんな人なんだろう……って最近考えているんだ、私。










メキシコの大学に行ってみた。校舎には大きくペイントされていて、とても美しかった。


メキシコのミュージアムにて。昔のカレンダーだそうで、写真ではわかりにくいでしょうけれど、とても大きな石でできています。


道ばたでダンスをしている人たち。


靴磨きの風景。スーツ姿のビジネスマンは数少ないけれど、たくさんの移動靴磨きの店が至る所にある。