前回、じーっと見てると色々わかってきますよ、と
漠然と言ったのは、淹れていくうちに
自分で発見する楽しみがあるからなんです。
ふとした時に、あれ? と変化に気付くもので……。
まぁ、普通はそこまで気にしなくてもよいのですが。

「物を作る人」というのは、例えば
料理人であったら食材、
農家の人であったら土や作物、
家具職人であったら木材に対し、
どうやったらその素材を活かせるかと
ずーっと向き合っている中で
いつでもその対象物が、答えを教えてくれる
ということに気付くのです。
珈琲に関しても同じ事。
ペーパードリップでの淹れ方自体は、
すごーく簡単な作業ですが、その中でも
ちゃんと珈琲豆はサインを出し続けています。
そのサインをキャッチしながら、
珈琲と会話するように淹れていくと
おいしく出来上がるんですね。
コーヒーメーカーなどの機械まかせでは
そんな会話も出来ないですから、
手で淹れていくおいしさにはかなわないハズです。
やっぱり、出来るだけアナログの道具の方が良いと思いますよ。
<むらしの時のふくらみ方>

お湯の注ぎ方や温度が「ちょうどいい」と
静かにぶわ〜〜っとふくらみます。
温度が高すぎると、
ぶわ〜っとふくらむけど、ボコッと一部破裂したりします。
また、低すぎるとよくふくらみません。
ただし、これは挽きたての粉を使う時の話。
あらかじめ粉で買ってきたものを使う時は、
全体的にふくらみが弱いですが、
ちゃんとエキスは出ますのでご安心を。
でも市販のものや、あまり良くない豆の中には
むらしで十分にふくらまない物が多いです。
そのため、エキスが良く出ず、水っぽい味になったりします。
あと、深煎りの豆の方が、よく焼けてガスが抜けている分、
中煎りなどに比べふくらみは弱いです。
ジャーッとお湯を一気に注いでしまうと、
苦い味だけの珈琲になるので注意しましょう。
<泡のたち方と終わりの合図>

エスプレッソでは表面をおおう泡「クレマ」が
びっしり厚くできると、出来が良いとされています。
「クレマ」というと格好良いですけど、
ペーパーで淹れるのと同じ、あの泡は「アク」ですね(笑)
でもエスプレッソも普通の珈琲も同様に、
泡のたち方はひとつの目安です。
おいしくはいってる時というのは、
ドリップの最中ずーっと、表面は泡でおおわれてます。
これは珈琲が気持ち良く呼吸して、
「いっぱいエキスを出してるよー」という証拠。
最初は大きめの泡で色も茶色ですが、
お湯を注ぐごとに色はうすくベージュ色になり
きめのこまかい泡になっていきます。
この時、エキスのよく出ない珈琲は、泡切れが早く、
早々に水面が見えるような感じになります。
最後の方で、お湯を注いだ時に
表面をおおうきめこまかい泡がパッと切れて
水面が見えるようになると、
「エキス出し終わったよー」という終わりの合図になります。
<淹れ終えたあと>

フィルター内に残った粉が平らで、
その上全体にフワフワと泡がのっているようだと
お湯をちょうどよく注ぐことが出来て、
均一にエキスが抽出され、おいしくはいったよという証拠。
店で淹れていると、そのフワフワした泡が(アクですが……)
ライトに照らされて、キラキラとキレイなんです。
それを見る度に、粉の上に王冠がのってるようで
ひとりニンマリします。
逆に真ん中がヘコんでいたり、泡がかたよっていたりというのは、
決しておいしくないという事ではないのですが、
お湯の注ぎ方があまり良くなかったりして
均一にエキスが抽出されていない、という事になります。


文章で書いてみるとちょっと長くなりますが、
実際に淹れて、
何十回と同じ事を繰り返す中で
珈琲豆からのこういったサインに気がつくようになります。
今まで無意識でやってたことに、ちょっと目を向けるだけです。
私は観察するのが好きだったので
発見はおもしろかったです。
ちなみに、下のサーバーに落っこちる珈琲の液体にも
注目してみて下さい。
ポタッと落ちた水滴が氷の上をスーッとスベっていくように、
まるい粒が水面をころころーっと転がってゆく様も、
「良い珈琲」の証拠です。
おいしく飲めていれば、それでOKなんですが
いちおう良い珈琲にみられる特徴を簡単に。

1、珈琲の色ににごりがなく透明感がある
2、味がクリアである
3、香りが良い

これは自分で淹れた珈琲に限らず、
外で飲む珈琲にもいえます。
1は、カップに入って出てきた状態で
液体の中にスプーンをちょっと入れてみて、
スプーンに光が反射する具合で透明感がわかります。
2は、エグ味やくどさによるひっかかりがなく、
すうっと飲める状態であること。
3の香りというのは、
お店の良し悪しの判断から、豆や粉にした状態、
淹れている時と淹れた珈琲の液体、
さらには飲み終えたカップに残るところまで
一貫して「目安」になります。
慣れてくると、鼻がきいてきますが(笑)、
珈琲の良い香りというのは
コゲっぽさやキツさがなく、香ばしくて、
ずーっとかいでいたいような感じがするものです。
じつは液体よりも、豆の状態や挽いている時の方が
抜群に良い香りがします。
その香りをかいだだけで、一杯飲んだ気分になれたりと。

さらに、飲み終えたカップなんて
わざわざ香りをかいだ事ないかもしれませんが、
良い珈琲はエキスが良く出ているので、
そのエキスがカップ内に張りついている状態になり、
甘い香りが残っていたりするんですよ。

こういう事というのは、
普通においしく珈琲が飲めていれば
別にどうでもいい事だとは思います(笑)
でも、たかが珈琲、されど珈琲でして。
私自身も「おいしく飲めれば」から
「珈琲の奥の深さ」を知った今、
すっかり作る側にまわっております。
そんな中から、こんな発見が! という体験を
お話させてもらってます。
みなさんの日常の中にも、欠かせないものとして
身近にある珈琲。
これからも「ふぅ〜ん」とか「へぇ〜」と気軽に
お付き合い下さるとうれしいです。
たかが珈琲、の時間が楽しいものになりますように。