前回は、豆の保管方法についてお話しました
今回はそれに関連して、
いつまでに飲みきったらいいの?
賞味期限ってあるの? という事についてのお話です。
【珈琲豆の賞味期限って?】
珈琲に関する本や雑誌の記事を読むと、
粉の場合は1週間、豆の場合は2週間を目安に
飲みきりましょう、とあります。
粉の場合は例外なくそうだと思います。
豆の場合は一般的にはその位を目安とし、あとは
購入の際にお店で直接聞いてみるのもよいと思います。
それぞれのお店によっては、
「うちの豆はこの位がベスト」というのもあるでしょう。
また、最近では「珈琲は生鮮食品です」として
きちんとした保管をすることや、早めに飲みきることを
すすめていたりします。
一方で、市販品のパッケージを見てみると……。
賞味期限が「一年」もあったりします。
色んな事を知った今では、考えられない表示だ……と
思うのですが、何も知らなかった時は、
その表示をそのまま信じていました。
おかげで、賞味期限ギリギリの珈琲を淹れて飲んで
お腹をこわした事があります。
あん時はつらかった……。
珈琲豆は乾燥しているもので、いたむものじゃないから
という勝手な思い込みが災いしました。
まぁ私のような思いをしない為にも、まだ「生鮮食品である」
と思っておいたほうが安全かもしれません。

市販品を除いて、
珈琲専門店や自家焙煎の店で売っている豆は
二つに分けられます。
ひとつは「ふつうの豆」
2週間を目安に飲みきった方がいいと言われる訳は、
実際に試してみると、なるほど納得できます。
焙煎してから時間が経った豆は、
お湯を注いだ時の膨らみが悪く、泡切れも早いです。
(5回目に話した、エキスを出してるよーという
サインが弱いことからも)
味の方は酸っぱかったり苦かったり、
水っぽかったりという事があります。
ですから、
おいしく飲んでもらう目安というのが2週間であり、
飲みきる量をその都度買うのがベストなんですね。

もうひとつ、
この連載でお話してきたような「おいしい豆」の場合。
こちらは2週間経ってもふつうに膨らむし、
泡の立ち方も変わりはないです。
また不思議なことに、味の方はかえって苦味のカドがとれ、
やわらかみのある味になります。
さらに、一ヶ月経っても二ヶ月経っても
(さすがにあまり膨らまなくなりますが)
プクプクと泡立ち、味もおいしく頂けます。
豆の銘柄によっては、三ヶ月以上経っても
おいしく頂けたりするのですよ。
このくらいになってくると、
つくづく豆の持つ力というものを感じます。
(ちなみに、浅煎りや深煎りの豆はねかせるのに向きません)
ワインなんかでも、何十年のヴィンテージ物がありますね。
作りたての旨さと、熟成された旨さの違いってあるでしょう?
そしておそらく、どのワインも全部が全部
ねかせたところで美味しくはならないと思います。
余談ですが、飲み比べをしてみました。
1、焙煎して1週間の「おいしい豆」
2、冷蔵庫で保存し一ヵ月半経った「ふつうの豆」
3、常温で保存し二ヶ月以上経った「おいしい豆」
みなさんは、どれが一番おいしいと思います?
1は、やはり香りもよくおいしい。
2は、飲めないことはないのですが、
エキスが出てないなという感じ。
3は、やわらかみがあり、
舌の上に何のイヤミも残らないおいしさ。
1と3を比べると、1は多少キツさを感じます。
人間と同じで、時間の経過と共にカドがとれ
まるみが出るのですね、笑。
確かに「珈琲豆は生鮮食品」という部分もあるでしょう。
でも前回お話したように、
豆は焙煎という作業により、炭に近い状態にあります。
良く熱加工された珈琲豆というのは、
十分に豆の水分が飛ばされ、豆が持つエキスになる成分が
しっかりと熱変化している状態をいいます。
(3回目でちょっとふれた「ふっくらしたお豆」のお話)
ですから、ちょっとやそっとの周りの環境では、
変化がそれほど進みません。
ちゃんと熱加工されていれば、野菜等の生ものではないので、
1〜2週間でいたんでくるとは考えにくいですよね?
逆にうまく熱加工されていないと、周りの影響を受けやすく、
いたみやすい商品に出来上がってしまいます。

一番最初にお話した、「おいしい豆と出会う」ことの良さは
おいしく珈琲を飲めるに留まらず、
実は色んな面で良い事づくめだったりするんですよ!
【市販品の賞味期限】
以上のような、珈琲豆の出来、不出来の話ではありません。
公正取引協議会が、缶入りコーヒー等の表示規定の中で
賞味期限を12ヶ月〜18ヶ月としています。
豆の状態も粉の状態も同じ期限の設定です。
これだけで分かると思いますが……。
私がかつて、お腹をこわしたのも無理ないですよね。
【じゃあ逆に、
焙煎したてがおいしいの?】
と、単純に思われそうですが……。
これは、お店によって考え方の違いもあるので
あくまで私の経験からのお話です。
接客していると「今日焙煎した豆をください」と
言われる方がいらっしゃいます。
煎りたてがウマイ、と何かの知識で思っているのでしょう。
確かに焼きたてのパンなら、ホカホカとおいしいです。
でも珈琲豆に関して言えば、焼きたての状態は
香りはバツグンに良いのですが、
苦味のカドがたって味が落ち着いてません。
少し空気に触れることで味が練れてきます。
実際には、2〜3日経った以降が飲み頃です。
こういった事は、実際に作ってる人にしか分からなくて
当たり前かもしれませんが……。
洋菓子でも和菓子でも、焼き菓子や蒸し菓子などは
作りたてより一日経ったものの方が、しっとり感が出て
味が馴染んだりします。
一晩置いたおでんも味が染みて美味しいでしょ?
「煎りたてがウマイ」と思い込んで、実際の味より
「頭」で飲んでしまうと、本当の美味しさを楽しめません。
ちなみに最近では、その場で注文した豆を焙煎してくれる
オンデマンド方式の店もチラホラ見かけます。
すごくおいしそうな雰囲気がするのですが、
お味の方は、飲んでみると分かりますよ!

【おまけ 賞味期限の切れたお味】

賞味期限は結局、美味しく飲めるか飲めないかで
ラインが引かれますね。
淹れてる時、最初お湯を注いだ時に粉が膨らまず、
その後も泡が出ないようだと、あれれ? と気づくと思います。
飲む前のひとつの目安になります。
味の方もやけにスッパさを感じたり、
逆に水っぽさを伴うニガーイ味だったりしていれば
もう終わりかなぁという感じになります。
まぁ、そこまでにならずとも、
美味しく飲みきる量をその都度買うようにしましょうね。