とらやとらや
第16回
みなさんはブラック派ですか?
それとも、お砂糖とミルクを入れますか?
よく「通はブラックで飲むんでしょ?」と言われたりしますが
珈琲は嗜好品ですから、「お好きな飲み方でどうぞ」なんです。
ブラックで飲むべし、と強要はしません。
でも、おいしい珈琲だったら、本来お砂糖もミルクも要らないはず。
珈琲そのものの味を楽しむには、かえって邪魔になると思うのです。
しかも、その方が飲み終えた口の中はさっぱりしますしね。

店で珈琲をお出ししていると、口をつける前から
無意識にお砂糖やミルクに手を伸ばす方を見かけます。
せっかく専門店に入ったのですから、
せめてひとくち飲んでみてからにすればいいのに……と思うのですが。
そうじゃないと、もったいなぁって。
みすみす、おいしい珈琲との出会いを逃すことになるんですよ。
それに、ブラックだと淹れたてのあつい時と冷めてきた時とで
変化する味を楽しむことが出来ます。
その後で、お砂糖やミルクを加えて飲んでも遅くはないでしょ?
……と、これは私の勝手な思いかもしれませんけどね。

お砂糖にも色々と種類がありますが、
それは、精製方法や精製の度合いの違いによるものです。
お菓子を作ったりする方は、
甘みの質の違いをよくご存知でしょう。
珈琲との相性を考えると、グラニュー糖がいいですね。
さっぱりした甘さで、溶けも良いです。
専用のコーヒーシュガーというのは、
グラニュー糖をカラメル色素で着色したもの。
粒が大きく溶けにくいですけど、
スプーンでぐるぐるかき回すのも、
珈琲を飲んでる時間を味わううちかと。
コーヒーシュガーって、そのまま食べてもおいしいんですよね。
何となく、子供の頃にこっそりかじった氷砂糖を思い出します。


ミルクに関しては、ふつうの牛乳がいいです。
コーヒー用クリームや生クリームなど、
脂肪分が高いものは、まったりし過ぎるかなと。
濃厚な珈琲の時にはかえって合うかもしれませんが。
以前ウィーンへ行った時、
通りがかりに入ったパン屋でいただいた牛乳が
すごくおいしかった印象があります。
真っ白の牛乳と違い乳白色をしていて、
エバミルクに似ているけど、ドロッとはしていない。
それでいて、コクがあったように思います。
女の子の柄のパッケージが可愛くて、
日本に持って帰ろうと思ったくらいなので覚えてます。
この時一緒だった‘乳製品大好き’友人は、その牛乳を持ち帰り、
ホットケーキを作ってみたらすごくおいしかった、
と言っていました。
また、フランスでは日本でいうところの
‘すごくおいしい牛乳’クラスが
普通にどこでも出てくる、とも……。
向こうで飲むカフェオレのおいしさは、
もしかしたら牛乳によるところが大きいんじゃないでしょうか?
パンもバターもおいしいのは同じ理由じゃないかと。
牛乳は、お気に入りを探してみるのも良いかもしれませんね。
ちなみに、色々とある珈琲の銘柄の中でも、
「モカ」に牛乳を入れて飲むと、すごく甘みを感じておいしいです。
モカは独特のおいしさがあり、混ぜるのはもったいないですけど
これが意外といけるんです。
お砂糖やミルクは、珈琲の味をごまかすためではなく、
「新たなる味のハーモニー」の発見を楽しむことに
使いたいものですね。


カフェオレ、カフェラテ、カプチーノにエスプレッソ。
最近では、カフェなどで当然のごとくメニューに載ってますが、
みなさん、違いをわかって注文していますか?
さらにエスプレッソを専門的に扱う店にいたっては、
ソロ、ルンゴ、リストレットなどと、もうチンプンカンプン。
そこで今回はミルクのお話ついでに少し、
フランス語とイタリア語のお勉強もしてみましょう。

「ドリップした珈琲と温めた牛乳を半々に入れたもの」を
カフェオレ(cafe au lait)と言い、これはフランス語。
イタリアではエスプレッソのことをcaffeと呼び、
latteは牛乳を意味します。
「エスプレッソと牛乳」を合わせたカフェラテ(caffe latte)は
フランスのカフェオレと似たような存在でしょう。
そのカフェオレは、フランスのモーニングコーヒーの定番。
日本ではあまり馴染みがないのですが、
専用の「カフェオレボウル」というのがあり、
フランスでも、田舎に行けば行くほど大きくなるらしいです。
実は、フランスの寒い朝、大きいボウルを両手で持つことで
「暖がとれる」ともいわれており、
たっぷりのカフェオレをいただくのが本来だそうです。
そんな背景を知っていただくのと、そうでないのとでは
何となく味わい方も違ってくる気がしますよね。
エスプレッソ(espresso)はイタリア語で
急行列車、速達郵便などの意味も持っています。
「速い」という意味を持つ名の通り、
専用のマシンを使い、20〜30秒で一気に抽出する飲み物。
んー、イタリアの人はせっかちなんでしょうか?
エスプレッソに関しては、私も今までよく知らなかったので
この機会に少し勉強してみました。
ソロ(solo)というと普通のエスプレッソを指し、
約8gの豆を使った1杯分が20〜30mlで、これが基準になります。
ソロと同量の豆を使い、半量(15〜20ml)のエキスを抽出するのが
濃縮という意味を持つリストレット(ristretto)
また、ソロと同量の豆で約倍量(40〜50ml)を抽出すると
ルンゴ(lungo)になるようです。
こう見ると、ソロは珈琲の中濃、リストレットは特濃、
ルンゴはエスプレッソ版アメリカンといった感じですね。



さて、この「エスプレッソに泡立てた牛乳を加えたもの」が
カプチーノ(cappuccino)になります。
見た目が、カプチン派の修道僧が被る帽子(カプッチョ)の色と
似ているところから名前が付いたみたいですよ。
色々見ていくと、マシーンで淹れる今となっては、
カフェオレやカフェラテ、カプチーノの明確な差は
あまりないのが実情のようです。
お店によっては、使用するエスプレッソや牛乳の量
上に乗っかるフォーム(泡)の違いなどあるみたいですけどね。
ちなみにイタリアでも、エスプレッソは昼間に、
朝はカフェラテやカプチーノを飲むことが多いそうです。


おウチでおいしいカフェオレを作るコツは
深煎りの豆を使うこと。
キリッとした苦みの珈琲を使う方が、
牛乳をたっぷり加えても、珈琲の味が効いておいしいです。
珈琲自体は、豆の量も挽き方も普段と同じように作ってもらい、
あとは小さい鍋で牛乳を温め、1:1の割合で混ぜるだけ。
珈琲と牛乳の割合は、お好みで変えていいですよ。



カフェオレと同じく深煎りの豆を使いましょう。
暑い日には、不思議とキリッとした苦みの珈琲が
おいしく感じられるもの。
普段飲んでる、温かいブレンドを冷やして飲んでみても
あまりおいしく感じないんです。
アイス珈琲というと、下に氷を入れたグラスを置いて
その上にドリッパーを直接置く方法があります。
でも、こうすると水っぽい珈琲になってしまうので、
普通に淹れた熱い珈琲を、
ポットごと氷水に入れて冷やす方がいいです。
ついでに、ガムシロップも作ってみましょう。
市販のものがいくらでも売ってますが、
グラニュー糖と同量の水を、透明になるまで火にかけるだけ。
簡単で、しかも冷蔵庫で保存できますよ。

実は、カフェオレにしてもアイス珈琲にしても
ネルを使って淹れた珈琲を使うと、抜群においしくなります。
まとめて作っておいて、冷蔵庫で冷やしておけばいいのですから
一度試してみてはいかがでしょうか?



これからの季節には、アイス珈琲がおいしく感じられるでしょう。
でも、暑いからと冷たい物ばかり飲んでいては
体が冷えてしまうらしいので、
たまには温かい珈琲も飲んであげてください(笑)
本来、珈琲は温かい飲み物。
アイス珈琲や缶コーヒーなんてあるのは日本ぐらいなんですよ。