第1回

前編

幻冬舎もツイッターもUSTもクソ!

クソみたいな大人たちへの挑戦状!!〜
「LIKTEN」編集長・小田明志(18歳)インタビュー(前編)

構成・文/田島太陽 撮影/市村岬

題字/masi. 企画編集/アライユキコ

「LIKTEN」編集長・小田明志「LIKTEN」を初めて手に取った時、迫力と意気込みが溢れ出た文章に圧倒された。しかも書いたのは現役高校生だ。その時僕は、どうして18歳の高校生が雑誌なんか作ろうと思ったのかまるで想像できなかった。身の回りでどんなことが起こり、どんなことを考えて雑誌を創刊するに至ったのかをいつか必ず聞きたいと思っていた。だから今回の連載が決まった時、まっさきにインタビュー候補者として彼の名前を挙げた。彼とならギリギリ同世代として色々な話題について深く語り合えると思っていたから。「LIKTEN」を創刊した理由、そして出版・メディアのこれからとは。当日は、大井正太郎(たろちん)、加藤レイズナ、梶本竜太(リョタ)も駆けつけ、連載メンバー全員で小田明志を囲んだ。



1.「LIKTEN」について


PROFILE


小田明志

小田明志(おだ・あかし)

1991年6月生まれ。生まれた頃から絵を描いて育つ。中学生時代にDJプレイをスタートし、17歳でイギリスを代表するクラブ「fabric」にゲストDJとして出演。大人たちへの怒りを原動力に昨年5月「LIKTEN MAGAZINE」を編集長として制作・創刊し大きな反響を呼ぶ。現在は大学浪人生である傍らイラストレーターとして活躍し、suzu cafe銀座の店内アートディレクションも手がける。「LIKTEN MAGAZINE」は6月発売予定の2号目を絶賛製作中。

blog「ダイアリアカシ」:http://yaplog.jp/akac/

twitter:http://twitter.com/akashioda



田島太陽(たじま・たいよう)

1984年生まれ。出版社勤務を経てフリーライターに。表現活動をする同世代の考え方に興味を持ち、様々なジャンルの20代クリエイターにインタビューをするwebマガジン「creatalk」を個人で運営。当企画では特定のジャンルに焦点を絞り、深く掘り下げていく予定。

20代クリエイター限定週刊インタビューマガジン「creatalk」 http://creatalk.blog9.fc2.com/

http://twitter.com/t_taiyo




2010.4.19取材直前までの田島太陽(t_taiyo)及び田島太陽あてのツイートより

t_taiyo   t_taiyo

t_taiyo 起きた。
posted at 09:51:24

t_taiyo すごい眠りが浅くて7度寝くらいした。緊張かもしれん。
posted at 09:53:12

t_taiyo でもゆうべ寝る前にiphoneでパワプロやったら、33-1で勝った。こんなに点取ったの初めてで、なんか壊れたのかと思うくらい打った。今日はいい一日になるはず。
posted at 09:58:12

t_taiyo おはよー!こちらこそよろしくです。がんばります!RT @kato_reizuna @t_taiyo おはようございます! 俺もドキドキです! 今日はよろしくお願いします!
posted at 10:08:24

t_taiyo とりあえず布団干してご飯食べに来た。グリーンカレー!
posted at 10:36:05

2tarot @t_taiyo 開かれたカードはLOVERS&STRENGTH。ハリネズミと化学反応。情熱の出会い、ジレンマとテンポ、互いに必要とする接点を見つけ、対抗を超えた対話の先に対峙を超えた談話を生みだす。
posted at 10:48:31

Ayusa86 @t_taiyo 大井さんが起きないんですがそろそろ起こさないとまずいですよね?
posted at 11:17:18

t_taiyo オシッコしたい。頻尿はデメリットしかない。
posted at 12:55:44

t_taiyo 自由ヶ丘のキオスクに浜崎あゆみのCDが売ってた。浜崎あゆみだけ。自由ヶ丘すげー
posted at 12:52:23

t_taiyo 等々力ついた。http://twitpic.com/1gqn2l
posted at 12:57:49

t_taiyo カフェでのんびり。五分前なのにおまんま隊は誰も現れず!
posted at 13:56:48

t_taiyo リョタくんと加藤くん登場。たろちんはどこに。
posted at 14:03:56




《長いものはぶった切る 出る杭は打ち返す 芸術で訴える そんな力を10代から大人達へ そんな力を日本から世界へ 力点になろう。》編集長である小田明志くん直筆のこの言葉から誌面が始まる自称「健康優良的不良少年少女雑誌」。反骨精神溢れる小田くんのメッセージに加えて、スタッフが当時全員現役高校生だったこと、テーマが高校生とはかけ離れた「政治」だったことなどが話題を呼び1000部を完売。藤原ヒロシやVERBAL(m-flo)らも絶賛した。現在は「平和」をテーマにした2号目を6月発売に向けて製作中。315円。


──僕は「LIKTEN」を初めて見た時の、どうしてこんなすごいものを高校生が作れたんだろうっていう驚きがずっと忘れられなくて今回は明志くんにインタビューをお願いしました。そもそも「LIKTEN」を作った最初のきっかけは何だったんですか?

小田 特にきっかけはないんですよね、本当に。作るべくして作ったというか。

──作るべくして?

小田 本当に自然な流れですね。強いて言うとすれば韓国で牛肉輸入の時にあった反米デモを見たってことですかね。あのデモは中高生がネットで呼びかけてあれだけの数が集まったって言うのを聞いて。これからはどんどん国境が関係ない時代になって行くから、同年代の韓国人は僕たちのライバルなんですよ。そこですごく燃えたというか、負けてられないなって

──日本の政治に対して言いたいことが湧いてきたっていう感じ?

小田 いやそれは全くなかったです。別に政治のことは全く興味なかったので。

──ということは、雑誌を作りたいという思いのほうが先にあったんですか?

小田 さっき自然な流れって言ったのは、僕の祖父が本オタクだったんですよ。本で埋まって暮らしているような人で。母親はそれを見て育ったから大学に入った時に岩波書店の田村義也さんっていう元編集者の人がやってるゼミに入ったらしいんですね。その繋がりで僕も田村家にピアノを習いに行ってたんです。田村さんの部屋を見てたし、そこに並んでいるたくさんの本を見てたから。それで雑誌というか、出版物になったのかもしれないですね。そういうものをいつか作らなきゃいけないっていう思いはあったのかもしれないです。

──いつか雑誌や本を作りたいって思っていた?

小田 そこまではっきりとは思ってなかったんですよ。潜在意識の中にはあったかもしれないですけど。

──じゃあ、どうしてフリーペーパーではなくて値段を付けて販売することにしたんですか?

小田 フリーペーパーは考えなかったですね。何で僕の本をフリーであげなきゃいけないんだって思うし(笑)。あとは広告も入れたくなかったんですよ。広告入れるのは癪に触るんで。

──強気だなぁ。それで実際に「LIKTEN」を発売してみて手応えは感じました?

小田 うーん、多少の手応えや反応があるのは予想済みでしたかね。

──プロモーションや宣伝は一切してなかったんですよね。

小田 してないですね。というのも、大人相手に作った雑誌ではなくて同世代に向けて作った雑誌だったから、テレビに出たり雑誌に載せてもらったりっていうのは意味がないと思ってたんです。でも結局はあまり売れなくて部数が厳しくなって、大人にも売ってかなきゃダメかなと。そこで藤原ヒロシさんとかm-floのVERBALさんとかがピックアップしてくれて。それがいちばんのプロモーションになりましたよね。1号目を出したことによって色んな大人と知り合えたんで、2号目はもっと上手くやれると思いますね。

──制作期間はどれくらいで仕上げたんですか?

小田 全部ひとりでやってたから半年くらいかかっちゃいましたね。一応仲間はたくさんいましたけど、文章書いてもらってもやっぱり違うなって思って。

──書いてはもらったんですね。

小田 みんな書きたいんですよやっぱり。でも……何て言うんだろうな、僕の周りにいるのはみんな頭がいい人ばっかりで。僕は今浪人生なんですけど、みんなは慶応とか早稲田に現役で入ったようなやつらばっかりなんです。でも僕が読んでもらいたかったのはバカなやつらだったんで。

──バカなやつらっていうと?

小田 それは僕自身だし僕の仲間だし、僕の学校の友達とか。だから完全に僕目線っていうか、僕みたいなバカな人にも分かるようにっていう思いがあって。政治のことを知りたいっていう気持ちは誰にでもあると思うんですけど、何から手をつけたらいいか全然分からないんですよね。僕も「LIKTEN」を作るから資料を探そうと思って本屋行ったけど政治の本って死ぬほどたくさんありますし、何をチョイスしていいか分からなかったんです。じゃあ最初にチョイスすべきものを作ればいいんじゃんって。

──でも「政治のことは全く興味ない」って最初に言ってましたよね。それでどうしてテーマとして政治を選んだんですか?

小田 高校生が政治をテーマに雑誌作れば、それだけでヒーローになれるんじゃないかって。みんな確実に食いつくって思ったんですよね。単純に外れるわけがないって。

──あー!! そういう感覚だったんですか。その辺はすごく計算的に狙ってたんですね。

小田 狙いましたね。

──うわぁ……そうだったのか。それでみんな食いついたと。

小田 だって高校生がファッション誌作ったって音楽誌作ったって面白くないじゃないですか。選挙権がないけど政治の雑誌を作るっていう点がすごく有利なことだと思ってたから、そこをピンポイントで突けばプロモーションなんて何もしなくても大丈夫だろうと。

──日本の政治を何とかしたいっていう思いがあったのかなって思ってたんですけどね……。

小田 いや全くないですよ。

──そうなんだ……。そこまで考えてたのか。

小田 働いて汗流すことで精一杯になるのは仕方ないと思うんだけど、問題から目を背けてしまう大人って多いじゃないですか。風呂入ってビール飲んだらそれでどうでもよくなっちゃうっていう。そんなやつらにアピールしたいんです。僕たちはこういうことできるけどお前らは何できるの? って。

──書店には何店舗くらい置かれたんですか?

小田 3店舗か4店舗かな。全部都内でしたけど。

──本屋で置いてもらった時っていうのは、直接本屋に営業に行ったんですよね?

小田 そうです。女の子に制服着せて。

──その部分が「サイゾー」のインタビューで出てたじゃないですか。「制服着せた女子高生に営業に行かせたら簡単に置いてもらえるようになった。大人なんてチョロいですよ」って。それがすごく印象的で。

小田 あー、みんなそう言いますね。挑発的な感じにしてくださいって言ったら予想以上に挑発的になっちゃって(笑)。

──本当にこんなこと言ったのかなぁとは思ってたんだけど(笑)。

小田 2ちゃんですごい叩かれたんですよ! 「お前の本を売ってくれてるのは大人だぞ」とか書いてあって、それは本当にもっともだから申し訳ないわーって。置いてもらってるのに「チョロいですよ」なんて言わないですよ。

──やっぱりそうなんだ。

小田 でも実際チョロかったですけどね(笑)。

──おー! 言ってるじゃん(笑)。

小田 みんな可愛いんですよ。可愛い子に制服っていう威力は凄まじいですね。なんて簡単なんだろうって思って。その子らに制服着せて色んなところ行きましたもん。

──ちなみに普通の出版物だと出版社から取次を介して本屋に並ぶ、っていうシステム自体は知ってました?

小田 それは知ってましたよ。だから最初はそういう流通のシステムに乗らなきゃいけないと思ってて、直接やっていいなんていうことのほうが知らなかった。でも取次入れると4割くらい取られるんですよね。印刷費集めるのですごい苦労したのに、何で配るだけのやつらに4割も取られなきゃいけないんだと思って、だったらこっちから願い下げだと。でも直接本屋に行ったら「取次ってところがあってね」って言われちゃって(笑)。

──高校生相手だしね。

小田 しかもこれが1号目だから、どういう男が作ってるのかも分からないんですよ。だから僕が行った時はほとんどダメだった。でも制服着た女子高生が行って「置いて下さいよぉー」って言うと見る見るうちに置いてくれるようになったんですよ!

──へー! 女子高生すげー!

小田 僕もびっくりでしたよ! こんなに上手く行くもんなんだって思って。

──そりゃ大人はチョロイって思うよね。

小田 思いましたよ! 「君たち高校生なのに偉いね」とか言われてて。僕が行った時はそんなこと一回も言われなかったのに!

──では「LIKTEN」を作ってちょうど1年くらいが経ちましたが、今振り返ってみて何か反省点はありますか?

小田 反省点は……特にないですかね?

──おお! 完璧ってこと?

小田 いや完璧っていうわけではないですけど。やっぱり制限はあったから、その中ではベストだったなって。

──制限っていうのは?

小田 例えばこれは1500部刷って印刷代が20万円くらいだったんですけど、それは仲間内から必死で集めたんですよ。だから20万円を超えるものを作らなきゃいけなかったけど、そのハードルは超えられたと思います。でもハードルは高くなって行くので、次は例えば25万円集まったとしたらそれを超えるものを作らないといけない。そうやって高くなって行く壁は超え続けなきゃいけないと思ってるけど、1号目に関してはそれは超えてると。

──では実際に「LIKTEN」を出す前と出した後で、自分の意識や周りの対応とかはかなり変わりました?

小田 さっき言ったみたいに大人への反抗心から始めた部分もあったけど、実際にやってみたら色んな大人たちが応援してくれて、それはすごく意外でしたね。もっと僕たち子供世代、10代のやつらだけでやって行こうと思ってたのに、ちゃんと応援してくれてる大人もいるんだなって思うようになりました。

──ちなみにご両親には「LIKTEN」は見せました?

小田 見せましたけど、特に何も言ってなかったかな。雑誌作るって話をした時は「大学生になってからにしなよ」って言われたんですけど、でも僕は高校生だからやれることだって思ってたから。

──何されてる方なんですか?

小田 母親は今は服を売ってて、父親はデザイナーとかライターとか。

──じゃあお父さんのそういう仕事を昔から見ていたりとかもしていた?

小田 いや仕事は全然見てないです。でも家にデザイン系の本とかはたくさんあったからそういうのは見てましたね。あとは漫画の影響も少しあるかもしれないですね。というのも僕の名前は漫画の『AKIRA』の明と、松本人志の志で明志になってんですよ。別に松本人志が好きだからとかじゃなくて、名前を考えてた時に松本人志がテレビに映ってたからっていう。

──すごい組み合わせだね(笑)。

小田 本当ですよ。信じられない親ですよね(笑)。



2. 取次と雑誌の話/幻冬舎はバカ


「LIKTEN」で使用した女子高生の証明写真。この企画のコンセプトは同じ女の子の「良い子の面」と「悪い子の面」を並べて見せるということだったという。



──普段雑誌はよく読むんですか?

小田 立ち読みはしますね。

──どんなの読みます?

小田 「サッカーダイジェスト」。

──サッカーやってたんだもんね。他には?

小田 あとは「BRUTUS」、「ICECREAM」、「WARP」とかかなぁ。でも毎号欠かさず読むっていうのはあまりないですね。その時々で面白そうな特集やってるのがあればって感じで。早く電子化すればいいのにって思ってるんですけどね。

──あ、やっぱりそう思うんですね。

小田 何で未だに紙でやってるんだろうってビックリしちゃいますよ。だって僕ネットで読めたら全然読みますもん。

──モノはなくてもいい?

小田 いいです。全然いらないです。

──でも自分で作ったものは紙だったでしょ?

小田 いや、僕は紙を売ってるんじゃないんですよ。僕は「LIKTEN」じゃなくて、「LIKTEN」の思想を売ってるつもりなんです。だからこれは別に無料で配信したっていいんですよ。ipadとかで見れたら最高に面白いと思いますしね、便利だし。でも雑誌だったから読んでる姿までデザインできるんです。買うっていう行為そのものも作れる。「LIKTEN」を買うという行動が300円なんですよ。これを捨てても残るものが300円。だから別に紙をやってるんじゃないって考えですね。

──じゃあ「LIKTEN」をやろうと思った時にデジタルで雑誌が売れる状況が整っていたとしても、デジタルは選ばなかった?

小田 これをデジタルとかウェブマガジンとかでやってたとしたら、こんなに話題になってなかったと思うんですよ。

──あえて雑誌だって、っていうこと?

小田 そうです。そういう試みだったんです。

──では今雑誌や本が売れない現状はどういう部分に原因があると思いますか?

小田 やっぱりシステムが悪いですよね。だって雑誌を作る人と売る人がいればいいはずなのに、あいつらが4割も取っちゃうわけですからね。値下げもできないし。さっさと電子化すればいいと思いますよ。何で未だに紙にこだわってやってるのか僕は全然理解できない。

──雑誌自体がつまらなくなったとは思わない?

小田 読んでますしね今でも。だから雑誌自体はこのままでもいいと思いますよ、内容が面白くないわけじゃないから。ただ広告を入れなきゃいけないからこういうことをやってみたいな感じになって、それが雑誌全体のコンセプトを揺るがしちゃってるんですよね。電子化すれば全部解決ですよ。どうしていまだに「電子書籍どうする?」とか言ってるのか全然分かんないんです。ソッコーでやればいいじゃん! って思ってて。今からやってももう遅いくらいですよ。もうすぐipadが出るんだから、今はもうリリースしてないと。

──出版社内では電子書籍部を作るだけでお金がかかっちゃって、それだけで大変だっていう状況らしいですよ。

小田 ほんとバカなんですよね。そういえばこの企画って幻冬舎のウェブマガジンでしたっけ?

──そうです。

小田 あれクソダサいですよね。

──おおおお! 言っちゃった!

小田 あの古くさいやつ見てちょっと迷いましたもん、この企画受けるかどうか。

──そうやって言われちゃうんじゃないかってちょっと思ってたんですよね……。確かに古い感じですもんね。デザイナーさんは変えたいってずっと言ってるらしいんですけど。

小田 変えようと思えば一日で変えられるのになぁ。



3. 好きな雑誌の話/サッカーの話


明志くんの自室にて。部屋の壁には受験生らしく英単語の書かれた紙がびっしりと。しかし単語の意味を日本語ではなくイラストで書いているのが明志くんの個性。



──じゃぁ今日は明志くんのルーツを探るためにも、好きな雑誌を3冊持って来てもらったのでさっそく見せて頂きたいんですが。まずこれは?

小田 これ「アウフォト(OUT OF PHOTOGRAPHERS)」って言って、米原康正さんの雑誌で。

──米原さんってチェキで撮ってる人だよね。アウフォトって名前は知ってたけど、これがそうなんだ。

小田 そうです。米原康正さんには非常に仲良くして頂いてて。僕はもともと米原さんの写真がすごく好きで、それで彼の作品の上に絵を描いたり落書きしたのをネットによく上げてたんです。そうしたらそれを見つけて直接コンタクトして来てくれて。この「アウフォト」は素人の写真を単純に集めて作ってるんですけど、雑誌ってこういうのもアリなんだって知りましたよね。すごく手作り感、ハンドメイド感があって。これでいいんだったら僕も雑誌くらいやれるかなって思ったきっかけでもあるかもしれないです。

──これ買ったのはいつくらいですか?

小田 それは古本屋で買ったんですけど、3年くらい前ですかね? 高校入ってすぐくらいかな。

──高1でこれを読んでたっていうのはやっぱりちょっとすごいなぁ。では次のこれは?

小田 これは「MONOCLE」(モノクル)っていうイギリスの雑誌ですね。タイラー・ブリュレっていう人が作った雑誌で。イラストと写真との配置とか非常に面白いなって考えて。

──確かにこういうレイアウトってあまり日本の雑誌ではないかも。

小田 そうですよね。どっか1ページ切り取ってもアート作品になるような感じで。

──これは何雑誌なんですかね?

小田 カルチャー誌だと思いますね。それは日本特集のやつで、VERBALさんとかも出てるんですけど。あ、「LIKTEN」に英語訳を付けたのはそれ見たのがきっかけだったかも。別に英語は読めなくていいんですよね、付いてるっていう心構えというか。

──これは英語を読めなくて内容は分からないけど、こういうディレクションとかデザイン的な部分にすごく惹かれたってことだよね?

小田 そうですね。それにタイラー・ブリュレって人はすごい編集者だと言われていて有名な人なんです。僕は雑誌の編集者で知ってる人なんて全然いなかったけど、そういう風になれる人もいるんだなって知って。それも面白いなって思ったかもしれないです。

──で、最後は「ICECREAM」。これは僕も知ってるけど、どんな部分が面白い?

小田 好きな人が載ってるから。

──分かりやすいなぁ。でも雑誌買うのって結局はそういうことだよね。

小田 NIGOさんとかも好きなんですよね、全部見せない感じが。

──あぁなるほどね。あとはどんな人の特集だったら買います?

小田 NIIGOさん、藤原ヒロシさん、米原康正さん、shing02さん、VERBALさん、……んー、あと誰だろうな。中田英寿とか、本田圭佑。

──サッカーなんだね。高校までやってたんでしたっけ?

小田 幼稚園から高校までですね。高校は部活入ってすぐに先輩がムカついて辞めちゃったけど。せっかく坊主にしたのに(笑)。

──先輩とケンカしてそうだもんなぁ(笑)。ちなみに全然関係ない話だけど、ワールドカップは勝てると思う?

小田 結構いいところまで行くんじゃないですかね。

──え、そうなんだ!

小田 だってジーコの時って本番直前までちょっと良かったけど、本番は全然だめだったじゃん。それの逆パターンだよね。こんなにメチャクチャになったらもうあとは良くなるしかないじゃないですか。

──じゃあ予選は通過する?

小田 行けると思いますよ。メンバーは悪くないですもん。中村俊輔は嫌いですけどね。顔がなんか細っこくて。

──顔かぁー(笑)。

小田 あれが日本のエースかと思うとちょっと……って感じはしますね(笑)。



4. shig02とVERBAL/同世代のクリエイター


自室で見せてもらった明志くんのイラスト。人物の周りには「LET'S 核廃棄」などの文字がぎっしり書き込まれている。



──最近共感する人や尊敬する人は誰かいますか?

小田 尊敬する人……ラッパーのshing02さんかな。

──どういうところを尊敬してます?

小田 彼は社会派っていうか、政治とか社会に非常に興味を持っている人ですけど、それをヒップホップに落とし込んでるんですよね。政治って四角くってカチカチなものじゃないですか。僕みたいなバカにはそんな堅いものは飲み込めないんですよ。でもshing02さんはそれを噛み砕いて柔らかくして、僕たちでも飲めるようにしてくれてる。しかも飲んだ後に心の中でまた固まるというか。だからそのやり方っていうのは「LIKTEN」に込めた部分なんですよね。政治というテーマを、イラストを入れて原色ベースでデザインしてグニョグニョにして飲ませると。そういうやり方は彼から学びましたし、「LIKTEN」のテイストの80%は彼の影響ですね。

──うーん、分かりやすい表現ですなぁ(笑)。

小田 あ、ありがとうございます(笑)。あとはやっぱりVERBALさんもそうですよね。色んなきっかけを与えてくれたし、ヒップホップとは何かってのは彼から教わりましたから。

──やっぱりミュージシャンなんですかね尊敬するのは。

小田 そうですね。いやでもshing02さんはミュージシャンとは思ってなくて。ミュージシャンというかラッパーなんですよ。ミュージシャンとラッパーは僕はちょっと区別してるんで。shing02さんのCDを買うときは音楽を買うのではなくて、彼の思想、考えてることを買う感じ。

──彼の言葉を?

小田 そうですね。だから「LIKTEN」の思想が300円、っていう考え方も彼の影響です。

──では同世代で影響を受けたり気になっているクリエイターはいますか?

小田 それはいないですね。でもみんな仲はいいですよ。今はネットがあるから面白いやつがいたらすぐコンタクトできてすぐ会えるじゃないですか。だから今東京でイベントとか出たりしてるやつはほとんど仲間だし、そういう意味では影響を受けてない仲間なんていなくて、みんなから影響は受けてます。けど、影響を与えたり受けたりする仲ではないとも思うんですよ。もう共同体みたいなものだと思ってるから、僕たちのクリエイターっていうのは。



5. DJの話


明志くんの言葉に圧倒されっ放しだったインタビュアーの田島は「すごいな……」を連発。



──ブログにあるプロフィールによるとDJやイラストもやってるってことなんですが、それらいつからやってるんですか?

小田 DJは中2ですね。絵を描くのは生まれた時からです。

──「LIKTEN」の表紙に載ってるのが明志くんの絵ですよね?

小田 そうですね。

──本当に小さい頃から絵を描いて遊んだりしてたんですか?

小田 気が付いたら描いてたから、多分そうなんだと思います。

──DJを中学2年で始めたのはどうして?

小田 機材を買ったのが中学2年だったんです。みんながバンドやってて、でもギターとかやるの嫌だったから。

──(笑)。DJやったほうがいいや、って?

小田 そうそう。今となっては好きなバンドとかいますけど、当時は格好いいと思えるバンドなんていなかったんですよ。だからバンドはやりたくないなーって。

──でも普通の中学生ってDJの存在自体をあまり知らないですよね? DJのプレイとかも見てたんですか?

小田 いや、当時は生のDJプレイなんて見たことなかったですよ。

──えー! そうなんだ!

小田 小学校の頃にm-floのアルバムを聴いて、こういう音楽があるんだってことに驚いて。それまではロックみたいなものしか聴いてなかったから。昔はウルフルズとかスーパーカーが好きだったんです。そういうのばっかり聴いてたからターンテーブルって存在をm-floで初めて知って、すげぇなって思ったんですよ。それをきっかけにしてテイトウワさんとか小西康陽さんとか色んな音楽を聴くようになって。それである日出会ったのがさっきも話したshing02ってラッパーだったんです。

──でも僕は中学生当時にDJやろうなんて一回も思ったことなかったなぁ。

小田 普通そうだろうと思いますけどね(笑)。

──じゃぁどうして自分もやってみようって思ったんですかね?

小田 とりあえず持ちたかったんですよ、機材を。だからDJが何をやるのかっていうのは分かってなかった。

──えー(笑)。

小田 とりあえずこれ買っとけばいいのかなって思って。

──そんな軽いノリかぁ。その後イギリスに行ったみたいですが、それは何歳くらいだったんですか?

小田 それは高校の時ですね。高校2年かな。

──DJとして呼ばれて行ったんですか?

小田 いや、とりあえず行ってみたらやれたっていうか。そもそも僕は美大志望だったんで予備校に行ってたんですけど、そこの先生に「君は日本の文化は似合わないから、世界も見てみれば」って言われて。そんなに言うならちょっと見てみようかなって感じで。ただ行くのもつまんないから、何かできないかなって思って色んな人に声かけてたんです。それで僕は当時自分でミックスした音源をネットにアップしてたんですけど、コンタクトを取った人がその音源を聞いてくれて、良かったらDJしなよって誘ってくれたんです。

──それで予備校に行って、美大をずっと目指してたの?

小田 いや、予備校がつまんなくて。美大入ればオレもアーティストだろ? みたいな野郎ばっかりで。教授もアーティスト気取りみたいのが多かったし。美大のオープンキャンパスも行ってみたんだけど、外見ばっか派手で中身スッカスカのヤツらしかいなくて、発泡スチロールかと思って。だから美大行くの辞めたんです。

──発泡スチロール(笑)!!

小田 発泡スチロールばっかりでしたよ美大なんて。



次号予告


取材場所から明志くんの自宅に向かう道中にて。小さい頃から遊んでいた近所の公園なども案内してくれた。



日本の政治や平和観、twitterやUSTREAMなどの最新メディアについて聞いたインタビュー後編は5月15日アップ予定。前編よりもさらに過激で強烈です。


連載の打ち合わせなどは、ツイッター上でも積極的に行なっていきます。ご意見のあるかたは、ハッシュタグ #omanma_kuitai を自由につかってください。@もどんどん飛ばしてくださいね。


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