『ダイエット・パラダイス/私は美神(ミューズ)、ダイエットしてるの』
銀座、イイ女入門
ホステスは筋を通して王道を行く!
 銀座への架け橋はその姿を消しつつありますが、この地に一歩踏み入れた瞬間から、人々の意識は変わる。それは昔も今も同じようなのです。
 銀座の街自体だってすごく変わってきていると頻繁に言われます。
 でも、それは今に始まったことではないとも。
 銀座には明治の初めから最新の西洋文化を真っ先に受け入れるという、日本一の商店街としての役割が遺伝子のように深く受け継がれているのです。
 商業地であって、文化情報の発信地でもあるんですね。
 そしてどんなに新しいものが入ってこようと良いものだけが残されてゆく。
 目には見えない“銀座フィルター”なるものがあるのです。
 そうして古き良きものと新しくて良いものが織り混ざって、その時代を象徴する街となる。いつの時代もしこには“銀座らしさ”があるのです。
 そういう意味においては、クラブも同様。
 新しい時代の風を受けながら、ちゃんとその遺伝子を持つものだけが残されてゆく。
 そんなクラブはお客とホステス、スタッフが造り上げる特別な空間です。
 ホステスじゃない限り、女性はあまりクラブに出入りすることは少ないですよね?
 ホステスに多額のお金を貢いでしまうお客や、ドロドロの恋愛劇などがクローズアップされがちなことから、「ホステスは敵!」と主婦の方々には思われがちなのですが、それは銀座だから特別ではないように思います。
 逆に、銀座のホステスは男の中の男!
 銀座のクラブは実は男社会なのです。
 それはホステスはビジネスだから、とはお客の前では言えませんが、銀座のクラブはそもそも男が女を求める場所ではなくて接待の場なのです。
 まず、お客には係という担当のホステスがほとんど場合付いています。
 係は自分のお客について多くのことを知っている、ま、秘書のようなものでしょうか。
 会社、役職、取引先、交友関係、住んでいる場所、家族構成、お誕生日、血液型、食べ物の好き嫌い、趣味のほかにも経費の枠、請求書の出し方などなどが頭にインプットされている。
 それを知った上での接待はやはり完璧なものに近くなる。
 コイツがいるから楽! コイツがやってくれるから安心!
 人にはなかなか言えない悩みとか相談事にものるようになるわけで、ある意味、人生の伴侶なのです。
 そんなこと、妻や同僚に話せばいいじゃないのって思うかも知れませんが、あまり身近すぎると話せませんよ。なんだか、おっきなことになったらコワイしぃ。
 世の奥様や恋人達には非難ゴーゴーでしょうが、体ではなく、そんなちょっと情の深い付き合い方が出来るのが最も良いホステスの条件なのです。
 それにホステスだって体は一つなのです。
 売り上げのためにいちいちお客と寝るなんてことしてたら、身が持ちませんよ。
 それにもっと大切なことは、心も一つだということです。
 そんなことしなければ付いて来ないお客はどうせ長続きしません。
 だけど、ついつい苦し紛れにそんなことが頭を過ぎってしまうこともあります。
 ここでやってしまえば楽になれる、なんてね。
 ホステスでも、その人気に波はあるわけです。
 私も口説いていただいて?! 最初はうまく反らすものの、結局断るハメになったら(そこまで追い込むなよっ)、そのお客まったく来なくなったぁ〜なんて悩んだこといっぱいあります。
 ですが! そんな時ママは言ったのです。
「不調をどうやり過ごすかがプロなのよ」と。
 それには丁寧で真心のこもった人間としての付き合いをすることに尽きる!
 でも、もしもすごく素敵な、好みのお客が現れたら一石二鳥ですよね〜。そんなことが頭を過らないわけはありません。
 私はそんな日が訪れるのを祈っています。その日を夢見て頑張ってます。
 でもですね、クラブにふら〜っと知らない男性が訪れるってあんまないってゆーか、まったくないに近い。
 他のホステスの知り合いかその連れ、自分のお客の連れ、大体このパターンです。
 するとこれがまたややこしく面倒なのです。
 例えば、他の係のテーブルに付いた場合。
 ここでいただく名刺は必ずお店に一度上げなければいけません。
 それはお店の中で知り合った以上、そのお客はお店のお客であり、係のものなのです。
 そして返却されて初めて、誘客などの電話やお礼状を出して良いということになる。
 同伴のお食事となった場合は勿論周知のことだし、営業日外のデートなんかは勿論前もって報告しなければならない。うちのお店は休日にお付き合いするのは、よほどのことがない限り禁止されています。
 それは係が今まで良いお付き合いを重ねてきているのに、昨日今日知り合ったホステスと何かトラブルがあったりしたら大変! ということなのです。
 自分のお客の連れだったら、その人を差し置いてデートしようなんてデンジャラスなマネはやっぱやめとこっとなります。
 内緒でことを運んだ場合はバレたらお店にはいられないでしょう。
 男ってまたポロっと言ったりするんですよねぇ。言わなくてもなんか怪しい空気が漂ったりとか。
 でも、これって一般的にも大切なことですよね。
 内緒で色々されてたら、嫌なもんですよねぇ。
 ホステスは筋を通して、王道を行く〜。
 そんな人間関係に対するマナーをちゃんと心得ている、それは素晴らしいことなのではないか、とこの頃私は強く思うのです。
檀 れみ
檀れみ プロフィール
5月18日生まれ。B型。牡牛座。東京都出身。桐朋学園短期大学部文科卒業。1999年より女性誌、WEBサイト等でライター活動を開始。主にファッション、ビューティー、娯楽ページ等を手掛ける。嶋田ちあきメイクアップアカデミー第1期卒業に伴い、一般の女性を対象にしたメイクサロン「メィユール」を主宰。2004年8月より銀座のクラブ江川にてホステスを始め、今年7月に幻冬舍より初の単行本、『ダイエット・パラダイス/私は美神(ミューズ)、ダイエットしてるの』を刊行する。

檀 れみの、銀座日記
http://ameblo.jp/remiremi/