『ダイエット・パラダイス/私は美神(ミューズ)、ダイエットしてるの』
銀座、イイ女入門
ホステスの贈り物
 いよいよ秋も深まってまいりました。
 先月、銀座の年中行事でもある秋の紅葉祭りを終えたということもあって、ホステスは皆ほっと胸を撫でおろしていることでしょう。
 とは言っても、来月はもう十二月なんだわ! と当たり前のことに気が付く私。いつもより早い時間にお店に顔を出したら、ホステス達が頭をくっ付け合って円を作り、なにやらヒソヒソやっている。ナニナニ? 内緒話かと思い、仲間に入ろうと、その円にねじり入って行ってみた。
 すると、真ん中のテーブルに各デパートのお歳暮カタログが山積みになっているではないか。
 OH! NO! もうそんな季節になったか。お中元を出したのはついこの前のような気がするというのに。
 いや、私は知っていたはず。だって今日は新しい着物を仕立てるために銀座に早く出たんだった。それは来年のお正月用のものなのだ。去年ので誤魔化そうかとだいぶ頭を過ぎったけれども、新年は皆揃って新日本髪を結い、稲穂と鳩の飾りをくっつけて記念写真を撮ったりする。皆、去年の写真と見比べるに決まっている。少なくとも私はそうだ。
 まずは、自分は去年よりも老けたかをチェックすることだろう。あまい視線で。
 その次に皆の老け具合もついでにしっかり見てやったりする。きびしい視線で。
 そんなことしているうちに、あることにハッと気づくんじゃないか。
 コイツは去年と同じ着物をきているじゃねぇか! ということに。
 私はいてもたってもいられない心境で呉服屋に出掛けた。自信なくして出掛けたせいか、気づくとまんまと呉服屋のトークにのめり込まれてしまっている私。後にも引けず、思わず奮発してしまったではないか。避けては通れないお歳暮のことなどすっかり忘れて。
「ねぇ、ねぇ、皆なに贈るのぉ?」っつーか、一人アタマいくらくらい?(本音)。
「そうねぇ。○○さんにはカルピスにしようかなぁ」
「カルピス?」
「だってね、あの人いつもエッチな話するからきっとウケるんじゃないかと思って。わかってくれるかな?」
 そうか。ウケ狙いってのもあるか。
「あ、見てみて。このシャネルのソープとコロンのセット、三千円だよ。可愛いのに安くない?」
 安い! 見た目もブランドもイケてる。男性向きじゃないけど奥サマはきっと喜ぶよ。そう。お客サマへの贈り物はその家庭、奥サマや子供が喜ぶものが一番良いとされている。だから会社ではなく自宅の住所をしっかり聞いておいてお家に送るのが王道。ナマモノだったらすぐに持って帰らなくちゃならないし。
 また、クラブのホステスってその関係が疑われることもあるから、そのほうが奥サマは安心したりもするのです。
 私もお客さんの奥サマからお礼状いただいたり、そのうち家族ぐるみで歌舞伎やお相撲に行ったり、ご家族のバースディを銀座のクラブでお祝いしたりという好機に恵まれることがある。そういうお付き合いが出来る関係ってとっても素敵だったりするわけです。
 自分のご主人がどこのクラブに出入りしているか、何ていうコが係なのか、というのは把握してもらっているほうが良い。
 それに、銀座のクラブは会社になっていたりする。だから有限会社○○とか、○○企画と、一見クラブとはわからないのです。送り主<○○企画 檀 れみ>みたいに。
 すると、ホステスの個人名だけ変わっているだけで、○○企画から何個も何個も届いちゃったりする現象が。会社だって自宅だって、ちゃんとしておかないと、
「○○企画からまた来た! なんなのこの○○企画ってゆー会社は?!」
 なんて言われるハメになりかねません。
 贈り物をする場合は家族構成や贈る場所、そして近いうちなにか届きそうだ、という予告も大切なのです。会社だって、家庭だって、出張や旅行などで品物がそのまま置き去りになっちゃたりする場合があるからね。金額じゃなくそんな気配りがあって、初めて真心のこもった贈り物となるのであります。
檀 れみ
檀れみ プロフィール
5月18日生まれ。B型。牡牛座。東京都出身。桐朋学園短期大学部文科卒業。1999年より女性誌、WEBサイト等でライター活動を開始。主にファッション、ビューティー、娯楽ページ等を手掛ける。嶋田ちあきメイクアップアカデミー第1期卒業に伴い、一般の女性を対象にしたメイクサロン「メィユール」を主宰。2004年8月より銀座のクラブ江川にてホステスを始め、今年7月に幻冬舍より初の単行本、『ダイエット・パラダイス/私は美神(ミューズ)、ダイエットしてるの』を刊行する。

檀 れみの、銀座日記
http://ameblo.jp/remiremi/