チャッピー晴れた日にはキッチンでクロ猫




9月1日仕事はじめ


 長い夏休みも終わり、年末にむけて後半戦がはじまりました。初日から「おせち」料理。
 こんなにまだまだ暑いのに、お正月の道具を出し、着物をきて、黒豆を煮、きんとんを練り、おにしめを作りとすすみます。季節はずれの料理をしなければならないのはもう慣れたはずですが、毎年のことながらお正月の料理だけはどうにも難しい。イベント好きだからでしょうか。気分が先行しないと頑張れない質なんですね、きっと。ですが、なんとか松や南天を活けたり、お正月用の飾りや干支の人形を出したりして、家のなかだけお正月にして盛り上げ、おせちを作りあげることができました。
 黒豆がよく煮えました。ふっくら、つややか。ひとつぶひとつぶの形がとてもきれいです。一日の疲れもふっとびます。


黒豆

【材料】作りやすい分量で
黒豆 乾燥のもの
:300グラム(2カップ)
砂糖:1カップ
しょうゆ、塩:小さじ1ずつ
あれば鉄材やくぎ5、6本くらいを用意。鉄材をいれると黒い豆の色がきれいに出ますがいれなくてもおいしさは同じです。

【作り方】
[1]厚手の鍋に6カップの湯をわかし、砂糖、塩、しょうゆをいれて煮とかし、火を止めます。指の先をいれらる程度にぬるくなりはじめたらよく洗った黒豆をいれ、鉄材を加えてふたをしてひと晩おきます。
[2]ひと晩おいた鍋を火にかけ、沸騰してきたら鍋のふたをずらし、1 カップの水を加えて弱火に落とします。アクをとりながら3時間ほど煮ます。
[3]煮汁がつねに豆にかぶっているようにときどき様子をみながら、湯を適宜加えて煮て、豆をつまんでやわらくなっていたら出来上がり。鉄材をのぞきます。

【メモ】
黒豆はなるべく新しいものをもとめること。古いものほどやはり煮上がりがかたくなるようです。豆は水で洗って長い時間おくとしわしわになるので、水洗いしたらすぐに煮汁にいれるか、水につけておくことです。



9月6日まつたけとりんご届く


 長野の母からうれしい初ものの荷物が届きました。どちらもいいにおい、まつたけとりんご。まつたけは小振りながら長野産。りんごは実家の近所のりんご農家のおばあちゃんからのおすそわけ。さっそくごはんを炊きました。りんごはそのままかじって食べましたが、2個だけ残しておいて、赤ワインと煮てコンポートにしました。煮過ぎず、りんごの表面がうっすら赤くなるくらいに煮て、なかは白くサクサクしているくらいの加減に。今とても好きな煮かたです。
 初ものをいただく日はひざを正し、背筋がピッとのびる。そんな気持ちになります。

 うちのまつたけごはんはまつたけのエキスの入った調味料を合わせて炊き、炊きあがりにまつたけを合わせます。母から教わった炊きかた。もちろん最初からすべて合わせて炊いていただいてもおいしくできます。お弁当などにもっていくときにはもち米を少し入れてしっとりと炊いてもっていきます。


まつたけごはん

【材料】四人分くらい
まつたけ:小振りのもの2本
米:3合 薄口しょうゆ:大さじ2
塩:小さじ1/4 酒:大さじ1
だし:3カップ 油揚げ:1枚

【作り方】
[1]米はといでざるにあげておきます。
[2]まつたけはいしづきを落として薄切りにし、調味料と合わせて軽くもむように混ぜて15分ほどおきます。
[3]油揚げは千切りにします。
[4]鍋に米とだしを入れ、まつたけに合わせた調味料だけを加えてひと混ぜし、油揚げを上にのせて炊きます。
[5]蒸らし時間にまつたけを合わせて、炊きあがったら軽く混ぜます。


りんごのコンポート

【材料】2個分
りんご:2個 赤ワイン:1カップ 砂糖:1/3〜1/2カップくらい
バニラビーンズ、八角、シナモンスティック、クローブ:少々

【作り方】
[1]りんごは皮をむいて半分に切り、種の部分をのぞき、鍋に入れます。
[2]赤ワインと同量の水、砂糖、スパイスを入れて火にかけ、吹いてきたら落とし蓋をして10分煮て、火を止めて冷まします。
[3]冷蔵庫で冷やしてもいいですし、あったかいコンポートもおすすめです。アイスクリームなどを合わせていただきます。

【メモ】
スパイスはすべて揃わなくてもおいしくできます。手に入るものを使ってください。



9月10日酒粕よみがえる


 夏前にいただいた瓜の粕漬けの酒粕が冷蔵庫にずっとはいっていました。瓜はとっくに食べてしまったんですが、きれいに残った粕を捨てるにはもったいないと、なんとか利用しようと思ってとっておいたのです。
 いつもいただくお魚屋さんのみそ漬けをまねて、味噌、砂糖、しょうゆを混ぜて練り合わせ、ちょっと塩をした銀だらや目鯛につけてひと晩おき、焼いてみたとろ、うまぁい。身が甘くて、塩気がまろやか。ごはんが何杯も食べられる。夫はいっきに3切れをパクパクっと食べてしまったほど。お魚もいいしも、酒粕の状態もよくぴったりの相性だったのでしょうね。料理なんてそんなもんです。
 まったくの目分量だったので、ここではまだレシピを書くことができませんけれど、こんなに簡単にできるなら、また近いうちに作ってみよう。もともとの酒粕についている味もあるでしょうし。すみません、ここではただおいしかったの報告だけ。酒粕を見直しました。



9月15日松本取材


 雑誌の企画でわたしが提案した「松本のおいしい味とすてきな器を案内する」というテーマがとおり、今日から一泊でロケ。朝一番のあずさに乗り、松本に出かけました。
松本もまだまだ暑かった。東京よりは蒸し蒸しした湿気がないものの、歩いているだけで汗が出ます。ちょっと小道にはいるとすすきの穂が出ていたり、紅葉してきた葉が落ちていたりはしているのですが、日射しの強さには驚くものがありました。
 一日目は器やさんをめぐり、大好きな木工作家三谷龍二氏の工房を訪ね、民芸館を散策し、夜ごはんのおすすめのお店「草菴」を取材。暑い一日でしたけれど、充実感でいっぱいです。案内役といいながら、知らないこともたくさんあって新しい松本をみたような気がします。仕事での旅はスケジュールはきつめですが、ずいぶんと長い間そこにいたような錯覚におちいるくらい、いろんなことが頭に詰め込まれます。旅の仕事が好きな理由はそんなところにあるようです。
 草菴でいただいた初秋のお鍋がおいしかったので記します。さっそく家に帰って作ってみました。なすとみょうががたっぷりとはいった、香りのいいさっぱり鍋です。


なすとみょうがの鍋

【材料】四人分
なす:6本 みょうが:8個
豚薄切り肉:8枚くらい
好みのきのこ:適宜
草菴では、りこぼうやなめたけ、ひらたけ、岩茸など地元のきのこがはいっていました
だし:4カップ 塩:小さじ1
薄口しょうゆ:大さじ2
みりん、酒:少々

【作り方】
[1]なすとみょうがは薄切り、豚肉は一口大に切り、きのこは食べやすい大きさに切ります。
[2]鍋にだしを入れ、調味料で味をととのえ、まず豚肉を入れて煮て、火が通ったら野菜を入れ、ひと煮したら出来上がり。



9月18日船の一級免許をとる


 もう20年以上も前になるでしょうか。なぜか車の免許ももっていないときに、船の4級船舶免許というのをとっていました。当時は水上スキーにはまっていたこともあって、勢いで取得していたのです。その4級船舶免許がいつのまにか、船舶法の改正で2級という形になっており、今度はその2級をもっている人はステップアップ講習というのを受けて、最後に試験を受けると1級船舶をとれるというので、今日から2日間お勉強することに。
 わたしが1級をとったところで、どんな船に乗るんだいって、笑われてしまいそうですが、そろそろ釣りでもはじめようかという夫に誘われてとにかく受けられるものは受けておこうと出かけました。
 海図やお天気のことなど、難しい講習でしたが、久しぶりに頭の体操をしたおかけで、なんだか全身がすっきり。いかに日々頭が動いていないかを痛感しました。
 そんなときにも食い意地がはっているものです。お昼に用意していただいたまぐろ丼弁当がおいしかった。まぐろのヅケをたたいたものが炊きたてのごはんに広げられて、その上にまぐろの赤身の切り身がぎっしりのって。仕出しのお弁当でこんなにおいしいごはんが詰まっていたのは初めてかもしれないくらい、お米がよかったのです。そしてヅケがペタっとごはんにのっているのもよかった。わたし好み。さっそくうちでもまねしてみたい丼です。

 ちなみに免許は無事とれました。釣り人になる日も近いかな。



9月28日すずめの砂遊びと十五夜


 先月の日記にすずめが土に穴を掘っていると書きましたら、読者のかたからさっそくメールをいただきました。あの行動はすずめの砂遊びと言われているとのこと。羽がかゆいのでもなく、あたたまろうとしているのでもなく、楽しく遊んでいるらしい。今日もたくさんすずめが米粒をつまみにやってきました。
 みていると、ほんとに遊んでる。大きいすずめが、小さなすずめに「やってごらん」って誘っているようにもみえて微笑ましかった。
 ちょっと家を留守にしていることが多かったので、ひさしぶりにベランダでのんびりお茶を飲み、本を読んだり、手紙を書いたりの一日。チャッピーとクロも風にあたって気持ちよさそうです。

 夜はお月見のお膳にと、菊の酢の物を作って、お酒の肴にし、さといもとゆずの炊き込みごはんでしめました。酢のものに梨を刻んでいれるとほんのり甘くておいしいです。


菊ときのこ、梨の酢のもの

【材料】四人分
菊:1パック
えのきだけ:1/2パック
梨:1/8個
酢、砂糖:各大さじ1
塩:適宜

【作り方】
[1]菊は花びらを摘んでさっと塩をいれた熱湯でゆがいてザルにあげて冷まします。
[2]えのきは長さを三等分し、ほぐして同じく塩ゆで。梨は粗く刻んでおきます。
[3]酢と砂糖、塩ひとつまみを合わせて甘酢を作ります。
[4]菊の水気をしぼって、えのきと梨と合わせて甘酢で和えます。



9月30日ちっちゃな報告


 本日をもって、この日記の連載が終わります。2年という長いあいだ読んでくださった読者のみなさんありがとうございます。そしてこのページにお誘いくださいました幻冬舎のスタッフのみなさんに感謝です。
 最後にひとつ報告を。来年早々に家族がふえることになりました。やっと自分のなかに新しい命が宿ったことを実感できる月になり、書くことにいたしました。
 結婚をしてから、仕事がはじまり、そして40にして子供を授かりと、人生って、いろいろあっておもしろいもんですね。我々両親がそろって暴れんぼうだからでしょうか、おなかの子はとても妊婦にやさしかった。エネルギーがどんどんあふれて、いままで以上に仕事ができたように思います。
 これからまた料理や暮らしもかわってくるでしょう。そんな生活やちっちゃな変化を少しずつまたお伝えできる日がきましたらと思っています。また10年後あらたな自分をみつけたい。この日記が続けられたら幸せです。


     




飛田和緒 PROFILE