石黒由紀子 犬猫姉弟 センパイとコウハイ

 先日、「動物愛護感謝デー」という催しがあり、センパイとセラピードッグのキャンペーンガール(?)として参加していたときのこと。
 ひと休みしながらふと会場を見渡すと、行列ができているブースがあった。気になって、センパイを連れて見に行くと、そこは「有志の看護士さんたちが犬の体脂肪を計ります」というコーナー。偶然にも顔見知りの看護士さんもいて、「あらあらセンパイちゃん! センパイちゃんも並んでね」と促され、体脂肪を計ることになってしまった。実は、ここしばらく体重を計ることを避けてきた。なのに、こんなところで……。

 順番を待ちながら私はどきどき。心の準備をしようとするも、いろんなことが浮かんでは消える。そういえば少し前、この連載を読んでくれているという方にお会いしたとき、「 センパイって、写真で見るより小さいんですね。イメージしていたのより、小さい。そしてもっちゃりしていますね」なーんて言われたなぁ。
 数年前、映画『子ごつねヘレン』が公開された頃は、さんぽですれ違った小学生に「あ! ヘレンだ!」と子ぎつねに間違われたこともあったなぁ。あの頃は、まだ痩せていたんだなぁ。でも、センパイ、じわじわ太ってはいるよねぇ。ストレス太り? いや、まさか……。

 並ぶこと数分、センパイの番となった。
「はい、センパイちゃんね。あれ? んー。ん? あらぁ……」看護士さんの声のトーンが下がる。「センパイちゃん、意外に……。ねぇ。犬の理想的な体脂肪は20%前後。でも室内で飼われている犬は、だいたい30%前後が平均なんですよ。センパイちゃんは……、36%よ!」
 くーっ、やっぱり。というか、想像以上!
「センパイちゃんは、柴犬にしては顔が小さめ。その骨格のバランスからして、もう少し痩せたほうがいいですよ。今後、加齢により腰に負担がかかることもあるので、今のうちに痩せることを意識してくださいね」
 的確なアドバイスを受けた。ほんとうにそう。その通り。わかってはいるのです。

 その後、セラピーの仲間や知人の愛犬たちも次々に体脂肪を計ったが、センパイより高い子はほぼいなかった(1匹だけいたのは、体脂肪42%のミニチュアダックスフント。でも16歳という高齢犬で、生きているだけで褒められていた)。「さささんじゅう、ろく、ぱーせんと……」心の中で繰り返し、しょんぼりしている私をセンパイは「何か、おいしいものちょうだい?」という目をして見ていた。

 犬は、生後1年くらいで成犬の体型になるそうだ。そういえば、獣医さんに言われたことがあったっけ。あれはセンパイが1歳半、春のフィラリア予防薬を処方してもらうときだったか。
「体重は、4.7キロです。豆柴は、予想以上に大きくなってしまうこともありますが、今のセンパイちゃんは理想的な体型ですね。1歳の誕生日を迎える頃の体型を生涯維持するのがいいと言われていますよ。この調子でがんばってくださいね」
 その言葉に気を良くして、つい油断して脇が甘くなり、1年で1kg太らせてしまったことがあった。そして、前出の獣医さんに「犬の1kgは、人間の10kgですよ!」と脅かされ、慌てておからダイエットして少し痩せたけど、結局、あれからどれだけ痩せたり太ったりしているのか。それなりに気をつけてはきたつもり。なのに体脂肪36%とは。

 コウハイも最近「大きくなったね!」とか「あれ、こんなに大きかったっけ?」と言われる。我が家には、動物が成長しすぎる菌が慢えんしているのかな。いえいえ、ついおやつなどを与え過ぎてしまっているのかもしれないなぁ……。私自身も原稿を書きながら、お菓子をつまむことが多いので、そのときは、センコウにも犬猫用おやつをあげたりしちゃう。あぁ、それがよくないのか。
 センパイは、口に入って食べられるものならなんでも食べる。「いつでもなんでも食べたい」という強い意志を持っている。私たちが食事しているときも「何か落ちてこないかなー」と、テーブルの下に待機。お菓子の袋を開けただけで、どこにいてもすっ飛んで来る。子犬の頃からそうで、あまりにしつこいので根負けし、つい、茹でた野菜や豆腐、ヨーグルトや食パンの耳など、健康に影響なさそうなものを少し与えるようになっていた。そのクセが未だ抜けず、というか、今ではそれが当たり前のルールのようになっている。
 そういえば「ちょっと待て、そのひと口がブタになる!」っていう標語(川柳?)が流行ったけれど、確かに“そのひと口"が犬をブタにしているのかもしれない。コウハイも「全てセンパイに習え」の精神で暮らしているので、当然何でもほしがる。そのひと口は、猫もブタにする。

 そうだそうなのだった。犬猫たちだけに厳しくしても意味はない。「ペットは飼い主の鏡」だというし、私の気持ちから引き締めなくては。
 センパイのこともコウハイのことも毎日見ているから、見る目も麻痺してしまうのも確か。ときどき「あれ? センパイ、太った?」と思っても「いや、冬毛になってきたからだね〜」と解釈したり、コウハイを抱き上げて「重たくなった?」と感じでも、「あ、食べたばっかりだからか〜」と妙なこじつけで納得してしまう、この私の病も治さなきゃ。さんぽを強化したらいいのかなぁ。でも、コウハイの場合はどうしよう。私の気持ちは行ったり来たり。

石黒由紀子 犬猫姉弟 センパイとコウハイ

4.7キロの頃。喰い意地は張っていて大きいホネをいつも持っていた
4.7キロの頃。喰い意地は張っていて
大きいホネをいつも持っていた

見た目にも子犬から成犬へという頃。5.7キロ時代
見た目にも子犬から成犬へという頃。5.7キロ時代

記念すべき、夏ヤセ(一瞬)
記念すべき、夏ヤセ(一瞬)

体重6キロ越え。「貫禄出てきたねー」と言われるようになった。
体重6キロ越え。「貫禄出てきたねー」と言われるようになった。

コウハイが来た頃。センパイは全体的にしかくいシルエット。
コウハイが来た頃。
センパイは全体的にしかくいシルエット。

襟にあごのお肉がのっかってる……。
襟にあごのお肉がのっかってる……。

近影。あれれ?  コウハイも大きくない?
近影。あれれ? コウハイも大きくない?

「はやくくれー!」 センコウの視線が痛い、痛すぎる。
「はやくくれー!」
センコウの視線が痛い、痛すぎる。

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犬猫姉弟 センパイとコウハイ

石黒由紀子

犬顔犬性格のエッセイスト。ゆるり系エッセイやリコメンドを「CREA」ほか女性誌、愛犬誌、WEBなどで。好きなものは、犬、猫、雑貨、街歩き、音楽、絵本。著書に『GOOD DOG BOOK~ゆるゆる犬暮らし』『なにせ好きなモノですから』『さんぽ、しあわせ。~東京ゆるゆる街歩き』『GOOD DOG GOODS!』『カップル・ストーリーズ』など。

単行本『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』発売中!

ダイエット? それよりたらふく 食べたいな!|石黒由紀子 犬猫姉弟 センパイとコウハイ
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