では、今日もジワジワ行ってみるニャ

獲物を発見した猫は──

獲物を発見した猫は──

驚くほど、飛ぶ。

驚くほど、飛ぶ。

子猫は少々テンパリながら、飛ぶ。

子猫は少々テンパリながら、飛ぶ。

やがてトランポリンのごとく、飛ぶ。

やがてトランポリンのごとく、飛ぶ。

ドヤ顔で斜めに、飛ぶ。

ドヤ顔で斜めに、飛ぶ。

「チッ、うるせーな」の人がやる競技みたいに、飛ぶ。

「チッ、うるせーな」の人がやる競技みたいに、飛ぶ。

白鳥の湖。

白鳥の湖。

ゲッツーでジャンピングスローする坂本勇人。

ゲッツーでジャンピングスローする坂本勇人。

ハサミどり。

ハサミどり。

男たちのモチベーションが倍増。

男たちのモチベーションが倍増。

どうしても見たかった!

どうしても見たかった!

空中でバトル。

空中でバトル。

蝶が舞い──

蝶が舞い──

ハチが刺す!

ハチが刺す!

飛びすぎて引っ掛かりました。

飛びすぎて引っ掛かりました。

木から木へと飛び移り、

木から木へと飛び移り、

人間を乗りこなせ!

人間を乗りこなせ!

飛べないなら、気持ちだけでも?

飛べないなら、気持ちだけでも?

あるいは、PUMAのロゴになりきってみるとか。

あるいは、PUMAのロゴになりきってみるとか。

ただし、噴射はいけません。

ただし、噴射はいけません。

それは飛んでないよ。連れ去られてる。

それは飛んでないよ。連れ去られてる。

どうしても飛べない場合、こんな方法もあります。

どうしても飛べない場合、こんな方法もあります。

Webマガジン幻冬舎: 片岡 K ジワジワ来る猫猫

サプライズ飛行

片岡 K

 どんな女のコだってサプライズには弱いはず。もちろんボクの彼女も。1996年のクリスマスイブ、ボクは彼女を埼玉のヘリポートに連れて行った。まもなく東京上空へ向けてボクたちを乗せたヘリコプターが夜の遊覧飛行へ飛び立つ。そして、ボクの仕掛けたサプライズが待っている。

 同じ頃、普段ボクにこき使われているADたち7人は、1人5000円の報酬で日比谷公園に集合していた…はずなのだが、実際には1人足りず、6人だったらしい。セカンドADの新谷に野暮用(たぶんデート)が出来たことをボクは知らなかった。

 プロペラが廻るヘリに乗り込んだ時、ボクは手のひらにぐっしょり汗をかいていた。撮影で何度か乗っているものの、実はヘリコプターが苦手だった。だが、今日は一世一代のサプライズ飛行。彼女にかっこ悪いところを見せるワケにはいかなかった。
 二人を乗せたヘリコプターがふわっと浮き上がった。そして、やや傾いた状態でフラフラ風に飛ばされるみたいに(実際はそんなことなく真っ直ぐスーッと上がっているらしいけど、乗ってる側はなんとなくそんな感覚なんだ)上昇していった。彼女は初めてのヘリ飛行で怖かったのだろう。ボクの手を握って来た。握られた手が汗でビショビショなことを思い出し、ボクはすぐさま手を離してズボンの太ももあたりで汗を拭いた。そしてかっこ良く紳士的に、優しく彼女の手を握り返した。本当は怖くて怖くて、彼女のオッパイに顔をうずめたかったけど、グッと我慢だ。

 東京上空に到着した時、頭が真っ白になった。ヘリの怖さも、オッパイに顔をうずめたい願望も、すべて吹っ飛んでしまった。それぐらい、空から見た東京の夜景は美しかった。暗黒の海に巨大な宝石箱をひっくり返したみたいだ。キラキラと煌めく灯り。こんなロマンチックでうっとりする光景、人生で初めて見た。彼女も感激していた。
 ヘリコプターがゆっくりと東京タワーを旋回した。来た。いよいよサプライズの時間だ。それは、ボクが彼女に結婚を申し込む瞬間だった。しかし、飛行中のヘリの中で会話してもほとんど聞き取れない。ボクが言葉をつぶやく。が、聞こえない。もう一度つぶやく。が、やっぱり伝わらない。「何? え? 何?」聞き返す彼女に対し、ボクはすっと窓の下を指さす。そこはちょうど日比谷公園の上空。バッチリだ。すべては計画通り。

 ヘリのプロペラ音が近づいて来たので、ADたちは一辺が1m以上ある7枚のプレートを空にかざした。7枚の文字が並ぶと「ケッコンしよう」という言葉になってヘリから見える。これがボクの仕掛けたサプライズだった。
 ただ、1人欠けていたため、一番体の大きい小藤が「コ」と「ン」の2枚を担当することになっていた。両手を伸ばして2枚を空へ向ければ、6人でも大丈夫なはずだ。そう、小藤が右手と左手を間違えなければ。

 彼女が空から見た文字は「ケツンコしよう」になっていた。ばかやろう、ケツでンコしてどーする。

 あと一歩のところで演出通りには決まらなかったサプライズ。それでも彼女にはボクの気持ちが十分伝わったんだと思う。だって、彼女の大きな瞳から涙がボロボロこぼれていたし、のちに彼女はボクの妻になってくれたぐらいだから。

本連載に掲載されている写真について、該当する著作権者がいらっしゃいましたら、
webmagazine@gentosha.co.jp 「じわじわ来る□□」係までご一報ください。

Webマガジン幻冬舎: 片岡 K ジワジワ来る猫猫 その2 飛ぶ
Webマガジン幻冬舎: ジワジワ来る猫猫

片岡 K(かたおか・けい)

演出家、映画監督、TVクリエイター。ツイッター劇団「ツイゲキ」@twigeki 主宰。ツイッター映画プロジェクト「ツイルム」@twilm_k 監督。キャプション加えてツイートしたネット画像は「ジワジワ来る○○」として絶賛発売中。第2弾「ジワジワ来る□□」絶賛発売中。