奥田英朗さんの新刊を見付けると、胸がわくわくする。一刻も早く読みたい! と思ってしまう作家さんの一人です。この間読んだ「サウスバウンド」も面
白かったな〜、また人に貸さなきゃ〜と早くも読む前から読後に思いを馳せつつ『ララピポ』を手に取った。
 全部で6つのストーリーから成る群像劇で、主人公は男女問わずの俗に言う負け組みゾーンに入る人々。その主人公達はこう思う。
「世の中には成功体験のない人間がいる。何かを達成したこともなければ、人から羨まれたこともない、才能はなく、容姿には恵まれず、自慢できることは何 もない。それでも人生は続く。この不公平に、みんなどうやって耐えているのだろう」
「一人の人間の生きる意義なんて、六十億分の一ほどのものでしかない。そう思えば気がらくだ」
 そんなことを常々考えたり感じたりしている主人公達が繰り広げるララピポの世界。ララピポの意味はあえてここでは伏せておくけれど、思いがけないその意味を最後のストーリーで知った時には、何とも切な〜くなるというか、もの悲しくなるというか、感慨深〜い思いが胸に迫る。そして、それぞれの話で「え? ここであれとあれがそう繋がっちゃうの?!」と展開に驚かされつつも、腑に落ちる……の連続は痛快だった。
 一話読み終えるごとに「きっついな〜」と思わず声に出して、今、受け取ってしまったダークな何かを自分の外に、どこかに、発散させなければ……と思わさせられるような一種のきつさがあったけど(あ、笑える箇所もたくさんあります)、その気分をどこかで楽しみながら味わってもいるという妙に複雑な心境になるのがこの本のとても魅力的なところ。この気分を皆さんにも是非味わって欲しい!!
 中でも私の印象に残ったのはごみ屋敷に住む専業の主婦の話で、内容は信じられないようなものだったけれど、闇の世界に気が付かないまま足を踏み入れてしまうのって案外こんな風なのかもしれないな〜なんて思いつつの、衝撃ラスト。主婦がわけあって「あんた〜」と叫ぶのだけれど、その一言でこの主婦の全
てが伝わってきたというか、なんと言うか、凄く切なくてたまらない話だった。
 新作を読むたびに奥田さんへのファン度が増していく。
『ララピポ』、また張り切って堂々と友人に勧めようと思う。それではまた。


黒谷友香

黒谷友香(くろたにともか)
1975.12.11生まれ。大阪府出身。95年、映画「BOXER JOE」でヒロインデビュー。「ドレミソラ」をはじめ、様々なドラマ、CMで活躍中。「魔界転生」「クイール」など話題の映画にも多数出演している。趣味は乗馬と読書。

「ララピポ」
奥田英朗
ララピポ
幻冬舎刊
定価(本体1500円+税)