明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
 さてさて、今年第一回目にご紹介する本は俵万智さんの『プーさんの鼻』です。俵さんが30代半ばから40代初めまでに詠んだ短歌の中から、この詩集のために選んだのは、子供、家族、恋をテーマにした344首でした。
 私、恥ずかしいことに歌集は2、3冊しか持っていませんでしたが、こうして久しぶりに短歌を味わってみるとやはり、「いいな〜……」と心から思うのでした。
 短歌は自分の中から生まれて来るのではなくて、自分と愛しい人とのあいだに生まれる……と俵さんはおっしゃっています。お正月休み、実家に帰省して、またこの東京に独り帰ってきた身としては、この歌集に収められている家族の歌や子供の歌に何度も鼻の奥がつんとなってしまいました。さみしくて……という事ではなく、両親への感謝の気持ちでいっぱいになるのでした。
「起きあがりこぶしいつまで起きあがるりんどんりんどん鳴りやまぬ午後」
 という短歌を読んだ時、思い出した写真がありました。可愛らしい顔を施された起きあがりこぶしの横に、訳もわからずちょこんと座るまだ本当に小さな赤ん坊だった頃の私。その写真を見たって私自身がその光景を思い出せるはずもなく、でも確実にその時間が存在し、こうして記録として残されていることに胸が熱くなります。
「記憶には残らぬ今日を生きている子にふくませる一匙の粥」
 この短歌もとても印象深く、心に残りました。
 何かに心動く一瞬を、その刹那の輝きを三十一文字に閉じ込める。短歌って素敵ですね、とても感動しました。
 皆さんも是非……それでは、また。


黒谷友香

黒谷友香(くろたにともか)
黒谷友香(くろたにともか)1975年、大阪府生まれ。95年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で女優デビュー。その後、CM・ドラマ・映画・ 雑誌など幅広く活躍。主な出演作に03年「魔界転生」、04年「クイール」など。またこの秋、公開の映画「SHINOBI」では、美貌の毒婦、陽炎(かげろう)を好演。

プーさんの鼻
『プーさんの鼻』
俵万智
文藝春秋刊
定価(本体1238円+税)