今年3月から公開される映画「かもめ食堂」の原作本。出演は小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんのお三方で、お名前を拝見しただけで、なにやらおもしろそうな映画だな〜と思ってしまいます。
 小説の舞台は日本から遠く離れた国、フィンランド。日常から遠く離れた国と、タイトルになっている「かもめ」。加えて今や日本の街角でもその発見はなかなかむずかしくなっている「食堂」。これらがどう関わってくるのかは、本を開くまで全くもってその全貌がつかめませんでした。でも、読んでみると、タイトルはずばりこれしかないでしょう〜という感じ。話も面白かったし、これをお三方はどう演じていらっしゃるのかという興味も芽生え、時間を見つけて映画も見ておきたいなあと思わせてくれる小説でした。
 主人公サチエの開く食堂「かもめ食堂」はフィンランドにあります。ということは、実際フィンランドまで行かれて撮影されたのでしょうね……。フィンランドか〜、まだ行ったことないな〜、知り合いもいないし……っていうか生きてる間に行くことがあるのかどうかもわからない、現時点の私にとっては、とっても遠い国フィンランド。で、そのフィンランドに「かもめ食堂」はあるのです(なぜ「かもめ食堂」と名付けられたのかは、本か映画でご確認をお願いします)。そこにたまったま集まった日本人女性は、サチエをはじめ、ミドリ、マサコの3人。彼女たちが「かもめ食堂」を舞台に繰り広げる日常は、何だかほっとするというか、そう、人情を感じます。
 サチエはとても人に親切だし、そのサチエに助けられたミドリも一生懸命「かもめ食堂」を盛り立てようと努力するし、マサコも人生を心から楽しもうと暗中模索ながらも前向きだし。人物がバランスよく魅力的で、そこに現地の、なぜか日本のアニメ、ガッチャマンを愛してやまない気のいい青年も交わって、話がいかようにも、どこまででも広がっていきそうな(実際続きを見てみたい気が)、でも、全てに妙な説得力があるというか。こんな、ほんわか自由な感じの小説は久しぶりかも。
 群さんの小説は、独特で好きです。買った雑誌に連載なんかが載っていると嬉しいし、やっぱりおもしろいな〜って思う方のお一人。映画のために書き下ろしたこの原作がどう映画で表現されているのかも楽しみ。やっぱり映画、見に行きます。
 それでは、また。


黒谷友香

黒谷友香(くろたにともか)
黒谷友香(くろたにともか)1975年、大阪府生まれ。95年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で女優デビュー。その後、CM・ドラマ・映画・ 雑誌など幅広く活躍。主な出演作に03年「魔界転生」、04年「クイール」など。またこの秋、公開の映画「SHINOBI」では、美貌の毒婦、陽炎(かげろう)を好演。

かもめ食堂
群ようこ
『かもめ食堂』
幻冬舎刊
1,260円(本体価格1,200円)