ペットを飼っている方に質問です。
 ご自分のペットをマッサージしてあげていますか?
「え? 動物にマッサージなんか必要なの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、なんと世界には動物専門のマッサージ師さんもいらっしゃるのです!
 今回ご紹介する『マッサージ台のセイウチ』の著者、グリエルモ先生がその一人。タイトルにある通り、セイウチにまで見事にマッサージを施術してしまうんです。マッサージを施したその種類は馬に始まり、イルカ、ペンギン、サメ、犬など様々で、この本が出版された2001年の時点で17種類にも及びます。馬や犬ならまだわかる気がしますが、セイウチやサメとなると「えぇ!」とちょっと驚いてしまいます。けれど良く考えてみると、どんな動物だって心や感情はあります。その心が傷ついていたり、疲れていたり、ましてや身体のどこかに痛みを抱えていたりと多少問題があるのは人間と同じかもしれません。
 私にとって馬はとても身近な存在ですが、そんな馬達をよく観察して見ているとそれがよくわかります。馬という生き物はとても記憶力がよくて、特に嫌な思いや、怖かった記憶は忘れません。ある一定の場所を触ると何故か暴れだす、とても嫌がったりする……そんな時はもしかして過去にそこを触られたことでとても怖い目にあったのかもしれないのです。言葉がしゃべれない分こちらが気をつけてやらないといけません。
 この本の最初に登場する馬は、過去にとてもつらい思いをしていて、体中が傷だらけ。縛られていたような虐待の痕が残る馬でした。その馬の新しい飼い主は、なんとかしてその心の傷を癒してあげたいと思い、グリエルモ先生にどうか診てあげてと頼み込むのです。当時グリエル先生は人間専門のマッサージ師さんで、動物に施したことはありませんでしたが、なんとかしてあげたいという思いは止められません。どうにかできないものかと悩んだ先生は、馬専門のマッサージの勉強を受けられるという学校を見つけ出して、資格を取ったのです! そしてその心に傷を負う馬に見事にマッサージを施し、身も心も癒したのでした。そこから口コミで動物にマッサージする先生として広まり、17種類もの動物に関わるようになったのでした。
 本屋さんのペットコーナーにいくと、犬のマッサージの仕方を紹介する本もありますよね。見かけるたびにいいな〜と思っていましたが、ラッキーなことに私も馬のマッサージ師さんに出会うことができたのです。その方にマッサージ法を教わったので、私も倶楽部にいる馬にマッサージをしてあげています。そうすると本に書いてある通り、本当に気持ちのよさそうな顔をするんですよ。あくびや、のび、目をとろんとさせてうっとり。その様子はどこか人間に似ています。とってもかわいいし、全身で「あぁ、気持ちがいいよ〜」と言ってくれている……そう感じられます。乗る以外に新たな馬とのコミュニケーション術を得て、また世界は広がりそうです。動物へのマッサージ、興味をお持ちの方は是非。それではまた。


黒谷友香(くろたにともか)
黒谷友香(くろたにともか)1975年、大阪府生まれ。95年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で女優デビュー。その後、CM・ドラマ・映画・ 雑誌など幅広く活躍。主な出演作に映画では03年「魔界 転生」、04年「クイール」など。11月11日公開の映画「TANNKA短歌」で初主演。

マッサージ台のセイウチ
『マッサージ台のセイウチ
―グリエルモ先生の
動物揉みほぐし診療記』 アンソニー・グリエルモ、
ケアリー・リン/著
小野田和子/訳
早川書房刊
定価:本体1900円+税