たまに、お店や街などで私とわかり、握手やサインを求めてきて下さった方々から「テレビで見るより、キレイですね」という褒め言葉(?)を言われることがある。「テレビで見るよりキレイですね」と言われる私は、実はと〜っても複雑な気分で「ありがとうございます〜」と言っていたりするのでした。
 言った方は今、目の前にいる私をいい気持ちにさせる為というか、別にそんなつもりはなくても、直接目にした私への感想を言ったにすぎないと思う。キレイという言葉は褒め言葉。なのにこんなことを言うのはなんだけれど、「じゃあ、テレビに出ている時の私って一体……?」という風に思ってしまうのが常。せっかくメイクして、髪も美しくしている(確実に今のこのノーメイク時よりは)時の私の努力、ヘアメイクさん、スタイリストさんの努力というか、「その仕事っぷりは一体なんだったのだ!!」ってな感じで。だからとっても複雑。だからといってテレビにノーメイクで出ると、ハイビジョンで何もかもかもが大きな画面にくっきりはっきり! な時代、どうなるかは「……」。
 私はというとメイクしている顔もしていない顔も両方好き。でも「テレビに出るときはしてないとね!!」が当たり前。普通の目で見られている時と、テレビというフィルターを通して画面で見られている場合を一緒にする私。悪かったと今では思えます。
 というのは、今回ご紹介する姫野カオルコさんの『すっぴんは事件か?』を読んでその答えに納得できたから。姫野さんもメイクしているよりすっぴんの方が皆、綺麗に思えると。そもそもすっぴんでいることやなることをどうしてそんなに恐れるかというか、素顔を見せることにどうしてそこまでの抵抗を感じなければいけないのか、ということを書かれています。例えば、夜12時近くのスポーツジムからの帰り、後は寝るだけだろうと思われるのに女性はメイクを「めんどうだわあ〜」と言いつつも施す……それは一体何故? という風に。その中に、答えが!!
「すっぴんという状態が、人をきれいに見せるといっている。友人知人、道ゆく人、女優さんやモデルさんも、全員、みんな、すっぴんのほうがきれいに見えませんか? 最新モードやヘアスタイルを紹介するようなファッション誌のグラビアをはじめ、TVや映画やブロマイド、それに舞台など、「なにかに映す」「なにかを通す」場合は、化粧をしていたほうが、全身の装いのトータルバランスとしてきれいに見える場合もある。」
 なるほど納得、「だからなのね!!」ですよ。これで安心して眠れます(笑)。十何年この仕事をやっているのに、やっとそのことがわかるとは。でも本当にテレビの世界は虚像だからな〜。な〜んて。
 姫野さんいわく、「鏡の前に、妹さんなりカレシなりお母さんなりとならんで立ってごらんなさい。そして自分ではなく、鏡の中のとなりの人を見てごらんなさい。実像とはどこかちがって見えることがわかるはず。鏡の中(TV画面、映画画面、雑誌グラビア画面)においては、すなはち虚像においては、上手にファンデを塗った肌はきれいである。」
 なるほど、納得! なのでした。


黒谷友香(くろたにともか)
黒谷友香(くろたにともか)1975年、大阪府生まれ。95年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で女優デビュー。その後、CM・ドラマ・映画・ 雑誌など幅広く活躍。主な出演作に映画では03年「魔界転生」、04年「クイール」、05年「SHINOBI」、06年「TANKA」など。趣味は乗馬、ガーデニング、読書。

『すっぴんは事件か?』

『すっぴんは事件か?』
姫野カオルコ著
筑摩書房刊
定価:1470円(税込み)