メモリークエスト2 読者からの依頼一覧

[お名前]ぶんた
[性別]男性
[欲しい記憶の時間]2002年4月
[国名]中国
[都市名]中国西部
[探して欲しい記憶の人名、物]毛虫パンとその仲間たち

[探して欲しい記憶の詳細]
 中国の四川省に留学していた時の話です。
 近所のスーパーのパンコーナーに行くと、コッペパンの形をしたパンが売っていました。
 大きさは日本で売っているようなのとほとんど同じですが、少し違うのは、表面にクリームで何本も横線が入っていること。
 おいしいのかな、と手に取ると、包装に「毛毛虫面包 1.5元」と。
「毛虫パン??」
 あーそういえば、このクリームの横線が似て……いや、似てないよな。
 とりあえず、証拠を押さえるべく購入をして、周りに見せると、中国の友人も「ありえない名前」と驚いていました。
 ただ、日本の友人に見せると、
「あーあるよね。雲南省で見たことある」
「北京・上海にはなかった」
「モスラパンなら見たことある」
「汽車の中で対面の中国人が食べてた」
と、意外にもいろいろな意見が。
 どうやら、そこまでメジャーではないにしろ、各地にあるようです。
 そこで、私は各地を旅行するついでに毛虫パンとそれに近いパンを探してみました。
 結果……、
 成都:毛虫パン・モスラパン(モスラの漢字忘れました…。摩其羅だったような)
 昆明:檸檬毛虫パン、小豆毛虫パン(二つともおいしかったです)
 麗江:黄金毛虫パン(大きさが腕の半分くらいある大型サイズでした)
 蘭州:ピザ毛虫パン(まずくて途中で捨てました)
 探したけど、発見できなかった都市:ラサ、ウルムチ、トルファン、カシュガル、西寧、敦煌、西安、貴陽、北京、上海、アモイ、大理。
 恐らく、中国南部(昆明発ではないでしょうか。暖かいし)で誕生し、そこから徐々に北上したのではないかと思われます。
 そこで、高野さんには、まず、まだこの毛虫パンとその仲間たちが生息しているのかを確かめて欲しいです! 
 そして、出来たらその生息分布図を作って欲しいです。
 どうぞ、宜しくお願いします!


高野秀行より返信


 うーん、2002年4月ですか。
 私もそのとき中国雲南省の至近距離にいましたよ。
 正確にはミャンマー〈ビルマ)カチン州の反政府ゲリラの拠点ですが。

 3月は四川省から貴州省を通って雲南省に行き、月末に泥棒に入られて、一文無しになり、4月初めに相棒のカメラマン森清と合流して、国境を越えたという一連の忘れがたい流れを久しぶりに思い出しました。
〈その後、徒歩で二ヶ月歩いてインド国境にたどりついたわけですが、詳しくは『西南シルクロードは密林に消える』をご参照ください)

 しかしですよ。「毛虫パン」なんて見たことも聞いたこともないですよ。
 だいたい気色悪いじゃないですか。中国人でさえ「ありえない名前」って言ってるんでしょう!

 でも探したんですね、毛虫パンを。中国全土にわたって。
 世の中には、無意味なことに情熱を燃やす人がいるもんだと感心しました。

 気候が暖かいのと毛虫パンの発祥とどういう関係があるのか、おっしゃることがよくわかりませんが、調査地を考えると、なるほどとも思います。

 あ、今思い出したんですが、その相棒の森清、彼は最近、中国政府のある部署から大がかりな企画を持ちかけられていると聞きました。
「費用は全て出す。どこへ行って何をしてもいい。ただし政府の職員が同行する」みたいなやつです。

 そこで「毛虫パンを探せ!」をやってもらうのはどうでしょう。中国人だって、北部や西部の人には驚きの存在みたいだし。
 森にぜひそれを企画にあげるように頼んでみますよ。

 私もその調査結果を楽しみにしています。





探してほしい記憶があれば、ここをクリック!
すでにユニークな依頼が続々寄せられています!


メモリークエスト2 読者からの依頼一覧

高野秀行からのメッセージ
『メモリークエスト』第一弾/全依頼26件
『メモリークエスト』第一弾が文庫になりました!
高野秀行プロフィール

一九六六年東京都生まれ。辺境作家。早稲田大学探検部在籍中に執筆した「幻獣ムベンベを追え」でデビュー。

アジア新聞屋台村』『ワセダ三畳青春記』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『怪獣記』『西南シルクロードは密林に消える』(ともに講談社文庫)『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など著書多数。

高野秀行プロフィール