メモリークエスト2 読者からの依頼一覧

[お名前]あ〜る
[性別]女性
[欲しい記憶の時間]2002年12月
[国名]アメリカ、グアテマラ
[都市名]California/Guatemala
[探して欲しい記憶の人名、物]クリスマスの夜に私を助けてくれた人々
[探してほしい記憶の人物の性別]女性

[探して欲しい記憶の詳細]
 2002年のクリスマス、私は一人旅先のアメリカ・デスバレーで交通事故を起こしてしまいました。砂漠の一本道をぶっ飛ばしている時、ハンドル操作のミスで車がスリップ、西部警察なみのスピンで舗装路を飛び出した上、車が一回転するという大事故です。
 幸い怪我ひとつなかったのですが、車は大破。そこは国立公園の中のマイナーなルートで、携帯電話も持たず日の暮れた砂漠にポツンと取り残されてしまいました。
 通りがかかりの車に助けを求めると、CelesteとBrettというカップルがレンタカー会社に連絡を取ってくれ、レッカー車を3時間ほどの街から派遣して事故車と私をそこに連れて行ってくれることになりました。
 Brettは、日が落ちて急激に気温が落ち寒がる私をツーシーターの車に乗せ、自分は外に出て小一時間ほど一緒に待ってくれました。しかし、その晩のうちにサンフランシスコに帰るつもりの二人は、通りがかりのTronaという隣町から観光に来ていた一家(父子とそのおばあさん)に私を託し、出発して行きました。
 一家も2時間ほど私を車の中に入れて待ってくれました。途中、おばあさんの喘息の発作が出てしまったのですが、砂漠に私を置いて帰ることが出来ず、レッカー車が到着すると飛ぶように帰っていきました。
 LonePineという街から来たレッカー車と一緒に乗用車が来ていました。その乗用車はヒッピー風の女性が運転していて、レッカー車の運転手が車を荷台に載せている間、女性は私に労わり、宿を確保しておくことを約束して元来た道を戻って行きました。
 レッカー車の運転手から、彼女は気の毒な日本人がいると知り、たまらず一緒に飛び出してきたと聞きました。LonePineに着くと、私はモーテルに降ろされ、レッカー車は去って行きました。モーテルには女性が待っていて、部屋に私を案内し、クリスマスのケーキやキャンドルなどを渡して帰っていきました。翌日も彼女はモーテルを訪ねてくれました。
 帰国後、CelesteとBrett、Tronaの一家、ヒッピー風の女性にお礼を送り、CelesteとBrett、ヒッピー風の女性からは返信がありましたが、Tronaの一家からは音沙汰なしでした。
 長くなりましたが、高野さんにはTronaの一家、そしてお礼の品の返信に「グアテマラに行く」と書いていたヒッピー風の女性の行方を捜して欲しいのです。よろしくお願いします。


高野秀行より返信


 この依頼文を読み、メモリークエストはさておいて、「ぜひこれを多くの人に伝えたい」と思ってしまいました。
 今の日本人、とくに若者は旅をしなくなっていますが、理由の一つは「外国はこわい」「一人旅は危ない」というものです。
 どうしてかわかりませんが、「日本は安全」で「外国は危険」という根拠のない分類をしている人が少なくないんですね。震災のあとですら大きな変化はないように思えます。

 あ〜るさんの話を読むと、いかにそれが間違ったイメージに基づいているかよくわかります。
 たしかに危ないっちゃ危ないです。西部警察みたいに車が回って大破しちゃうんですから。でもそれはあ〜るさんの運転が危ないだけですよね。
 言っちゃわるいけど、砂漠の真ん中で一人勝手に事故を起こしたアホな外国人旅行者です。それを地元の人たちがよってたかって助けてくれたというわけです。

 いったい何人関わっているんだろうと数えてみたら、4組計7人のリレーによって救援されています。しかもクリスマスの晩にです。

 正直、私はアメリカという国もその文化も好きでないし、アメリカ人にもまったく関心がないのですが、これを読んでいたらアメリカに行きたくなりましたよ。

 ボブ・マーレーの「ワン・ラブ・ワン・ワールド」をかけながら、車でハイウェイをぶっ飛ばしてアメリカとグアテマラにあ〜るさんの恩人を探しに行くのも楽しそうです。
 西部警察にならないように気をつけて、ということですが。

探してほしい記憶があれば、ここをクリック!





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高野秀行からのメッセージ
『メモリークエスト』第一弾/全依頼26件
『メモリークエスト』第一弾が文庫になりました!
高野秀行プロフィール

一九六六年東京都生まれ。辺境作家。早稲田大学探検部在籍中に執筆した「幻獣ムベンベを追え」でデビュー。

アジア新聞屋台村』『ワセダ三畳青春記』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『怪獣記』『西南シルクロードは密林に消える』(ともに講談社文庫)『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など著書多数。

高野秀行プロフィール