メモリークエスト2 読者からの依頼一覧

[お名前]おぐりまこと
[欲しい記憶の時間]1988年8月
[国名]中華人民共和国
[都市名]新疆額敏県(ドルビルジン)
[探して欲しい記憶の人名、物]謝敏(姉)と隆虹(妹)
[探してほしい記憶の人物の性別]女性

[探して欲しい記憶の詳細]
 学生時代の中国一人旅行、シルクロードのウルムチ市で、仲良くなった姉妹に「私の家に来ないか」と言われ、その時一緒にいた日本人二人と行くことにした。その姉妹は、姉が18歳で妹が16歳。二人とも好印象だったが、全然似ていなくてびっくりしたことを覚えている。
 私は妹弟の隆虹(フォンフォン)が気に入った。人懐っこくて、いわゆる漢人タイプではなかった。そして、可愛かった。
 バスに乗るから少し中心部から離れるのかな、と思ったが、バスは草原、高地を二泊三日かけて走った。
 新疆額敏県着後、その姉妹の家でお父さんの手料理を食べていると、公安がやって来て、近くのホテルへ二日間軟禁された。することが無いので、日本人と賭けUNOと朝からビールを飲んでいた。その後日本語の怪しい通訳を介しての簡易裁判の結果「未開放地区への立ち入りは条例違反」ということで、当時の金額で200元の罰金を食らった。
 我々が軟禁されたことに対して妹の隆虹が涙を流した、と聞いて、私は感激。持っていたウォークマンやテープをあげたりした。
 帰国後バスの中で知り合った、額敏行きの女子大学生と手紙のやりとりをしたが、69年の天安門事件以後手紙の返事が届かなくなった(手紙は紛失)。
 謝敏:姉、隆虹:妹の住所を聴き忘れたので、姉妹と手紙のやり取りはしていない。
 最近、元海外旅行社勤務の友人に話したら、出会った時から話が決まっていた。お父さんも、公安も全てグルやったんや。と言われる。そんなことはどうでもいい。25年経った姉妹は元気で居るかどうかを確認して欲しい。


高野秀行より返信


 この依頼を読んでまず思ったのは、「ああ、時代だよな〜」ということでした。まず、お金の額。今、中国で200元(三千数百円でしょうか)なんて小銭に毛が生えたようなもんでしょうけど、私が初めて中国に行った1993年でも大学教授の月給が400元行くか行かないかでした。
 公安が規則通りに仕事をしただけにしても姉妹とグルだったにしても、外国人三人に対し「罰金200元」は安い。「辺境時代の中国」を感じさせます。
 それから当時は外国人旅行者が許可なしで立ち入ってはいけない「未開放地区」がそこかしこにあったんですよねえ。うっかりそういう町に行ってしまったり、あるいはあえて挑戦したりして、公安に捕まったという話をよく耳にしたものです。
 まあ、新疆ウイグル自治区は現在、漢族とウイグル人との対立で(というか、中国当直の弾圧で)、別の意味でピリピリしていると聞きます。立ち入り制限のあるところに入って捕まるということもあるかもしれません。その場合、罰金でいくらとられるのか。2万元くらいとられるのか、それとも意外にそういう部分は変化していなくて、500元くらいなのか。
 姉妹を訪ねてみれば、最悪捕まったときにもその疑問が解けていいかもしれませんね。

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高野秀行からのメッセージ
『メモリークエスト』第一弾/全依頼26件
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高野秀行プロフィール

一九六六年東京都生まれ。辺境作家。早稲田大学探検部在籍中に執筆した「幻獣ムベンベを追え」でデビュー。

アジア新聞屋台村』『ワセダ三畳青春記』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『怪獣記』『西南シルクロードは密林に消える』(ともに講談社文庫)『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など著書多数。

高野秀行プロフィール