使いきること


 自分は孤独だ、と感じるのは時差ボケの時だ。
 思いがけない時間に目が醒めて、眠れなくなる。するとさみしさと不安が一気につのってくる。
 通常は日々忙しくやるべき仕事があり、きちんと眠ることができればさみしさを感じることはない。
 一日のエネルギーを使いきって、コテンと眠れる夜は幸せに満ちている。雨風をしのげる部屋の安全なベッドで寝れるのはなんとありがたいことかと手を合わせる。
 眠りは、精神も肉体も、両方が疲れないと訪れず、どっちかだけじゃだめみたいだ。人間というのはパワーがあるものだと感じている。

 先日ニューヨークに行った。急な仕事で忙しかったが、向こうでは気分がすこぶるよかった。
 活気ある街で自分は躍動感にあふれ、もうこれから先、なんでもできる気がした。誕生日の早朝、グランドセントラル駅のハイアットで現地ビジネスマンにまじって朝食を摂る自分には、まちがいなく明るい未来が約束されてると思った。
 が、日本に帰ってみたら、なんてことはない、いつもどおり、不良外国人がうろつく都会にまぎれ込んだ、ひとりぼっちの女だった。変な時間に目を醒まし、暗い気持ちになっている。賞味期限の過ぎたコンビニのサンドイッチをトースターで焼いて齧る。

 できるかぎりベストを尽くして一日過ごして疲れたい。疲れきって、野生動物のように眠ること。それは気持ちのいいことだと思った。息を吐ききって、次の呼吸をするように。エネルギーは使いきらないとチャージされないのだから、思いっきり疲れないとみるみる老けてしまう。