祝典行進曲


 朝起きたら母から携帯にメールが入っており
「今日は『祝典行進曲』が聴けます」とある。
 紀宮さまがお嫁に行く、今日は祝典の日だ。
 「祝典行進曲」は大好きな曲である。
 Aメロが流れただけで、鼻にツンとくる。
 中学時代、ブラスバンド部で青空の下、吹いた日を眩しく思いだす。
 今日はあいにくの曇りだが、TVに映ったさーやの表情はやわらかく、じんとした。
 雅子さまがお嫁に行ったのは29歳だった。
「多くの独身女性は雅子さんに励まされたと思うよ」
 ちょうど結婚発表があったとき、脚本家の水橋文美江さんといて、彼女がこう言ったのだ。
 あれ以来、私は雅子さまをTVで見るたび、水橋さんを思いだす。
 水橋さんはそれからまもなく結婚した。
 そして10年が経ち、こんどは36歳の紀宮さまがお嫁に行った。
 私はお嫁に行くことなく現在に至り、「祝典行進曲」を聴くたびに自分が演奏しているような気分になり、勝手に深く感動しているのである。


つづく