出産ラッシュ


 出生率が下がった下がったといわれているが、私のまわりでは出産ラッシュである。
 やたら子どもが生まれる話をきくし、あらゆるシーンで子どもが目につく今日この頃だ。
 これは世の中のせいではなく、私自身の問題と思われる。私が、気にしているということなのだろう。
 少し前まではまったく気にならなかったのに、子どもなァ、、、とつい思ってしまう。そのたびに、出産はおろか結婚もせずにここまできてしまったなァ、と感慨深く思う。
 仲のいい友達に子どもができるたびにほんとうによかったと思う。先日、元彼に電話で子どもができたときき「かっわいいよぉおお〜。」と言われたときにはしばらくショックから立ち直れなかった。
 それは嫌だいうことではない。よかったと心から思う。思うが、彼が親となることや、彼のミニチュアがこの世に一名、増殖されること、などへの想いがぐるぐるまわり、頭がいっぱいになるのであった。
 私だって子どもをかわいいよなとは思う。
 かといってどうにかしようとしないのは、私は私のこどもが、子ども時代を乗り越えないと大人になれないことに耐えられそうもないからだ。
 想像の翼を広げすぎ、いろいろなことを考えすぎて気持ちわるくなったりするような、子どものころの私。そんな私の子、ミニ・ミルコが現世で苦労するのを思うと、かわいそうで、せつなくて、つらくて、いたたまれないのだ。
 それに入院やら痛い思いをまたするというのにも気がすすまない。
 これから生まれる子どもたち、それをのぞんだ新米のお父さんお母さん、私の分まで幸せになってください。
 ところで営業部のスエちゃんが痩せた。
 正前から見ると同じだが、背後から見るとぜんぜん違う。おしりがひきしまった。後ろ姿にモテオーラを感じる。きくと、ヒップホップダンスを踊っているのだという。
 スエちゃんといえば、約十年前、幻冬舎の初期に妊娠をした。当時の彼女の食欲が異様に旺盛だったことを、昨日のことのように思いだす。
 エネルギーがないと、子どもって出来ないんだな〜と、スエちゃんの食べっぷりを間近で見ながら感心したものだ。
 スエちゃんの息子はもうすっかり大きくなっている。私たちが籠のなかで滑車を漕ぐハムスターのようにぐるぐる回っているあいだに、ぐんぐん成長した。
 そのうち誰かを好きになる。
 彼が母の新しい恋を見守る日も近い。