ひとりレストラン


 ひとりでレストランに入ってみた。ファミではない。しっかり座ってコースとか食べるような店だ。
 苦手な方もおられるようだが、私はたいていどこでもひとりで平気なほうだ。
 しかし日頃レストランにひとりで入る習慣はない。
 ただ、前に出かけた会食の場所で、ひとりでコースをとっている年上の女の人がおり、その様子がたいそうカッコよかった。
『私もいつか、あれをやろう』。そう思って日々が過ぎた。

 きのうは、会社の帰りに後輩の女子をごはんにさそったがふられたので、家の近くの気になる店に入ってみた。ひとり上等ディナーを試す時がきたのだ。
 しゃべる相手がおらず、ただじっと料理を待ち、目の前に皿が置かれるともくもくと食べる、を想像していたが、決して退屈ではなく、なかなか考えさせられるものがあった。
 まわりの人たちは、はりきっている。
 カップルたちはきちんとおしゃれをし、プレゼント交換まで行われたり。店のギャルソンはひとりの私にたいそう親切だ。彼らとワインや料理の話をし、恋人たちの会話に耳をたてるのに私はじゅうぶん忙しかった。
 楽しかった。その場では思ったが、これはもう当分やらなくてよい、酔いが醒めた今はそう思う。
 自分はよくても、カップルは私のことが気になっただろうなと思うし。贅沢だし。
 それに、もう、気がすんだ。