人工物に囲まれた現代、“天然”という言葉には、希少、貴重感がまとわりつきます。

 人に対しても天然という表現を使うことが多いですけれど。人間の場合、その人の自然な振るまいや言動が周囲から浮き出たときに、希少=天然といわれているように思います。

 わかりやすいところでいえば、ほとんどの子どもは天然ですね。友達の子(1歳児)の最近の流行りは、自分の耳をひっぱることらしく。耳をずっとひっぱりながら歩いていく小さな後ろ姿は、かなりおもろかわいかったです。
 耳という物体が気になる、だからひっぱる。この流れは超自然です。しかし、たいていは大人になるにつれ、しつけや周囲との調和のために、こういった超自然な部分を削っていきます。そこで削られなかった部分が残って天然として結晶化する。天然は人類に残された宝石です。大袈裟でしょうか。

 今回は「天然を生かす女子」のモテを考えたいと思います。

 裸の大将・山下清みたいな天然人物が近くにいたら、退屈知らずの日々! けれど、毎日ランニングに短パン、たまにお供えのおまんじゅうを食べちゃうキミに、恋だけはむつかしいかもしらん。モテと重なる天然とは? あなたの天然は、モテに“生き”か“死に”か?

 「カバのおしっこが後ろにジャーッと飛んで、すごく驚いたの〜」「この夏、1日に38箇所蚊に刺されて新記録だったぁ〜」唐突な内容をスローな口調で話してくれる女子がいます。色でいえば白やベイビーピンクのやわらかな印象を与える天然。
 今や男性が癒しと受け取るこのスローな口調は、もう少し合わせてくれたらと思う相手の意向を、一切無視し続けて守られてきたものだというのに。スピード社会に疲れを感じ出した時代とあいまって、“スローが気にくわないのなら聞かなくてもいいし”の強気の非干渉姿勢が、ふわふわマシュマロと勘違いされモテてます。
 こういう女子の経路を辿れば、学生時代のマラソン大会で、「○○ちゃん、一緒に走ろ」と友人女子に声をかけておきながら、最後にはその友人を追い抜き、先にゴールしてきたタイプです。追い抜いた相手には「ごめんね〜」のひとことで終了。悪びれた様子の無さに友人は怒るに怒れません。
 そんな、他人を傷つけても自分は無傷の天然女子が、とても上質に見えてしまうんですね。我が天然道をそのまま進み、モテ続けてください。近寄る男子が傷つけられても知ったこっちゃないですわ。

 一方、おっとりとはほど遠い熱い行動派で、とびきり天然の人がいます。わたしは、見過ごされがちなこっちの天然に注目したい。

 彼女たちはやりたいこともいっぱいで、キャパ以上に伝えたいと望むがあまり、たいてい早口。ときに、『現代人における、生や死の重みについて』『資本主義の弊害』『世界の中での日本』など、重い問題について熱くまくしたてます。結果、本人以外あんぐり、の浮きもしばしば。かたいというか攻撃的なイメージを与え、空気を読めてない意味では、スロー女子以上に天然というか。でも、ウザいだけで片付けないで。
 これは、相手のことを考え、社会のことを考え、全てを真剣に思いすぎての突進なのです。自分だけを守ってきたスロー天然女子とは違い、全てを守ろうとしてぶつかりまくり、不格好な結晶が残ったバタバタ天然。こんな女子も愛しいじゃないですか。
 少しつき合えば、「アンタみたいに考えてない人ばっかりだから、日本がダメになるんだよ」、きびしくいい放つだけでなく、「仕事無理してない? 栄養あるもの食べなきゃダメ!」とまで。心配はおかん並みです。ありがとう。ところで、あなたの靴下のかかと穴あいてるよ。自分のことも大事にしてください&男子が見てないところでやさしくしてる場合じゃありません!!

 スロー天然に傷つけられた男子とタイミングさえ合えば、『加齢によってすこしスローになったバタバタ天然女子☆』がモテだしますよ! 穴のあいていない靴下だけ、履いておいてください。
『エセ天然がバレバレ』