自然食は好きで、ちょとこわい。
 このまだらな感情が、わたし個人と自然食の関係でして。

 21歳のころ、西荻窪にあった自然食レストランでアルバイトをした時期がありました。西荻窪といえば中央線のニューエイジの聖地。そのなかでも「ほびっと村」(という名前のビル)は、有機野菜の八百屋さん、精神世界関連本が大充実の書店、自然食レストラン、その他もろもろが入る、まさにメッカだった。
 わたしは一時期迷い犬のように、そんな濃い場所でバイトにありついておりました。

 自然食が身近なものになった今日このごろ、今回は「自然食が好きな女子」のモテを考えたいと思います。

 「きゃろっとはうす」のようにオールひらがなだったり、「色即是空」系の思想プンプンな店でないオーガニックレストランやカフェも増えています。むしろおしゃれが大半。身体にも心にもちょっといいこと感覚で自然食を食べられるようになって便利になりました。

 そういえば、男のひとって女性ほど自然食に興味を示さないと思いませんか?
 作務衣も似合ってしまいそうなタイプや、食の好みが菜食寄りのひとは例外として、一般男子は基本的につやつや白米希望。トンカツ大好き男たちに玄米について生の意見を聞いてみると、「美味しくない」「味が貧乏くさくてイヤ」「ぼそぼそしてる」とストレートな答えが返ってきました。赤飯みたいな感覚で玄米を美味しいと感じつつ、そう思う感覚もわかるっちゃーわかる。
 他にも、玄米苦手男子が「ケーキは美味しいと思うけど、口のなかがモソモソするからクッキーは苦手」ともいっていて。男の口の方がだ液の量が少ないんじゃなかろうか? ものすごく不確かだがわたしは現在そう推測することにした。こういう男子の傾向は知っておいてもよいんじゃないでしょうか。

 もとい、自然食を食べる女子の話の続きです。食物繊維の摂取量が増え、腸内環境も健康になり便秘解消、きれいへ一歩。と同時におならの量が増えもします。そう、美と屁はセット! 発数は増えるものの、自然食おならは、肉たっぷり中心食のときより臭くはないといわれておるので、ブーブーやっていきましょう♪ 自然食と共に屁もカジュアルになればいい。うちとけていない男子の前でうっかり出てしまった場合は、『ニオイ弱めのおならの女子』がモテ☆

 いや、問題はおならじゃないんです。自然食には、味以外の部分にどんよりした抵抗感があるんですよ。
 食への見直しが進んできてるとはいえ、まだほとんどが非自然食SHOP。自然食を食し続けるためには、かなりの不自然(努力)を要求されてしまう。その不自然さを乗り越えるための決意のハチマキ代わりに、すこし前の自然食系の方々は頭にバンダナを巻いていたんじゃないかと思うほどで。口元はほほえんでいるのに目が真剣すぎる不自然。わたしには、そんなバンダナ人のやさしく見えて強い押しが恐怖だった。

 これも、バイト時代に“自然食への深入り危険”と刷り込まれてしまっただけなのかなぁ、とも思うのですが。
 お店の常連客で、丸刈りが伸びた頭でいつもブツブツいってる彼の名前は「時計」。もうひとりのひげにニット帽のおじさん常連客は「きこり」。ふたりは「時計」「きこり」と呼ばれ、当たり前のようにふり向く。きこりさんは林業ではなさそうで、時計さんも時計好きではない。ある晩“きこりと時計が口ゲンカ”、こんなコントのような状況を、笑いでなくごく自然なものとしてぐるんと包みこむバンダナ衆の強引さ。

 おっさんにシュールなあだ名をつけるセンスにも、自然食と精神世界の深いむすびつきを感じてしまう。マジメなひと、いいひとが粗食でさらに浄化されてどこへいくのか。自然食には何の害もないとは思いつつ、とりまく環境には不安が残ります。

 自然食好きのアナタ、もろもろ不自然になっていませんか? 富士登山中のはらぺこには、カップ麺がめちゃくちゃ美味しかったりしますよ。
『そこらの自然を食べはじめる』