ひとり旅はわたしも何度かやってます。その行き先のひとつは東南アジアでした。

 20代に恋愛がうまくいかないとき、「ジャングルに行ったら何か変わるかも?」という突拍子もないひらめきのまま、ひとりマレーシアへ出発したのです。
 ジャングルでは、天井一面がまっ黒になるほどに何百匹ものコウモリがぶら下がるホラーな洞窟クルーズに単身参加。同じ船に乗り合わせた現地のおっさんが日本びいきで、しきりにわたしに話しかけてくる。
 「Do you know ♪koibito〜yo〜?」彼は五輪真弓の大ファンらしく。瞳をキラキラさせながら五輪の歌の魅力を語られ、♪枯れ葉散る 夕暮れは〜〜、と『恋人よ』を合唱するハメになりました。名曲だけども、なんでマレーシアくんだりまで来てこうなるかなぁ。別れ際に住所のメモを渡され「五輪真弓テープ」を頼まれましたが、申し訳ないけど送ってません。

 さてさて、巷でも“旅はひとり派”な女子が増えているようで。“彼氏と温泉〜浴衣姿でまったり”“ふたりで楽しむリゾートホテル”などのカップル向け旅行記事を尻目に、今回は「ひとり旅を愛する女子」のモテを考えたいと思います。

 この前も「最近わたし、ひとり旅本を眺めては思いを馳せているんです〜」と、若き女子がひとり旅に出たい発言をしていました。カップル旅行本素通り派のニーズに対応して、『おひとりヴァカンス』なんていう女性のひとり旅本がちゃっかり出ているのだ!
 で、この本の序章にはいきなり笑かしてもらいました。
“旅のきっかけは、何でもいい。
 頑張ったわたしへのご褒美
 いつか写真で見た、あの景色に会うため、
 そして、ほんとうの自分自身と
 向き合いたいからでも。
 鞄には、少しの荷物と、
 ほんの少しのためらいを詰めていけばいい。”
(以上、『おひとりヴァカンス』より)

 なんたる陶酔しきった自己癒しポエジー。“頑張ったわたしへのご褒美”、このフレーズもすでにジョークの領域へ入っているでしょう。やはり褒美は自分で自分に与える前に、ひとからもらわんといかんです。

 自分へのご褒美といえば、ハードに仕事をこなす雑誌の女性副編集長(40代独身)が毎週末のホテルステイで疲れをとっているのが、まさにそれ。毎週「レディスプラン〜スパエステ付」なんてラグジュアリ〜とも思ってしまいますが、この方は「頑張り」→「自分へのご褒美」→「頑張り」→「自分へのご褒美」の永久ループに入っている状態で、現時点、女である以上に戦士。頑張るか、褒美かのどちらかをやめないと、女ひとり旅のベテランは人生もひとり旅を続けていかれることでしょう。ご自身が納得ずくなら、これも幸せのひとつだが。

 ゲ! ここまではモテに暗雲だけ立ちこめてる状態!? 個人的にはひとり旅もできる群れない女子をひいきしたいし、ひとり旅は悪くないと思っているのに。ただ自立型女性に男子が寄りつきづらいのも事実、旅の行き先でなんとか運を引き寄せることはできないだろうか。

 そう、行き先は出雲。大国主神(おおくにぬしのかみ)こと、出雲の神さまにお力を借りに行くのであります!!
 まぁ神頼みなんですが、このわたくしめですら2002年に出雲大社にお参りしたおかげで、婚姻の縁に恵まれて(こぎつけて)おるのです。
 しかもわたしの出雲参りは、“生・水木しげる氏”を見るために「第七回 世界妖怪会議」が開催される鳥取県境港へひとり旅した帰りの立ち寄りで。ゲゲゲの鬼太郎イラストが描かれた米子行きのスペシャル夜行バスに、ひとり満足気に乗りこむ30女。バスの車中まではモテない方向まっしぐらのわたしが、出雲ででっかい何かを授けられたのはいうまでもありません。従って『ひとり旅の行き先は出雲がモテ☆』で決まりっ!

 我ながら完璧な解決策をご提案できたので、『おひとりヴァカンス』読書に戻りますと。アンケートページのなかに、ひとり旅の楽しみ方として「お気に入りのペンを持参し、旅先で絵葉書を購入。自分宛に書いて、後で旅日記に」(31歳)という回答を発見。ダメだ〜、このひとモテなそーー!! と思った後にハッ。わたし、境港市の水木ロード郵便局で鬼太郎の消印を押してもらって、自分に葉書出してました……。

 ひとり旅は自分を見つめ直せるとかいわれますが、必ずしもそうでもないっちゅーことですね。
『自分へのご褒美旅にどっぷり』