先週ジル・サンダーのピンクのジャケットを買った。約12万円也。最近特にひとと会う機会やパーティーに出席する機会が多いのに、イマイチこの季節に合う色のジャケットがなかった。となると、このジャケットに合うパンツが必要となってくる。色はグレイパープル(要するにちょっと紫がかった灰色)でこれもジル・サンダー、約4万円。あと靴はプラダスポーツでグレイのエナメルに白のメッシュのもの、約4万円。買い過ぎかなー。
 みんなからは買い過ぎだとか、買うお金があっていいねとか言われている。でも買うにはちゃんと訳があって買っている。僕にとって服とは、初対面のひとにも自分を主張することが出来る、とても重要なものだと思っている。例えば初めて会ったひとが服のセンスが悪く、TPOに合っていない服装であったらそのひとのイメージはどうなるだろう。
 お金がたくさんあるからお金を使う訳ではない。お金があるとそれに頼ってしまう自分になるから、お金を自分に投資しているのである。僕は毎月給料をすべて使い切っている。つまり貯金がまったくない。貯金があるとそれに頼ってしまい、人間的な成長がなくなってしまう。貯金がなければ、僕自身が日々人間的に成長していかないと、将来絶対お金が稼げない。そうならないために、自己投資しているのである。
 僕は休みになると、だいたい買い物にその時間を費やす。女のひとの買い物好きはよく聞くけど、男のひとでそんな話はあまり聞かない。僕にとって買い物は欲求不満の解消法のひとつではあるけれど、僕は決して買い物依存症ではない。あまり意味のないモノは買わない、たまに買う時もあるけど……。自分の持つイメージに近いモノを手に入れるため、何軒もの店を探し歩くこともある。
 プロスポーツ選手は、技術、体力のレベルを極限まで引き上げるために日々練習している。というのが僕達プロスポーツ選手に対する、皆さんの印象だと思う。それがすべて正しい訳ではないし、間違っている訳でもない。
 僕達は普段、毎日24時間練習している訳ではない。普通は1日1一回、長くても2時間半ぐらいの練習、多い日でも午前と午後の1日2回1時間半ずつ、合わせて3時間ぐらいの練習だ。そして週に1度はだいたい休みの日がある。チームに拘束されている以外の時間をどう使うかは、ある程度個人の判断に委ねられている。日々鍛錬した技術、体力を発揮するには、当然それに見合うだけの充実したメンタル面が必要だし、休息しリフレッシュすることも重要となってくる。つまり練習している以外の時間をいかに有効に使うかが、試合で良いパフォーマンスを見せることに繋がる。
 このコラムを始めることになったきっかけは、昨年の12月幻冬舎さんから『魂の叫び』という本を出版させて頂いたことからだ。川崎フロンターレというJ2(二部)のプロサッカーチームが、悲願のJ1(一部)昇格を果たす軌跡を描いたものである。決して僕が素晴らしいサッカー選手だから、このコラムが始まった訳ではない。幻冬舎から何を求められているか、正直なところ僕には想像がつかない。でも僕はこのコラムでサッカーについても書くが、主に買い物を通じた様々な話を書くつもりである。普通のサッカー選手とは何か違うから、このコラムを始めることになったと僕は思っている。
 前置きが長くなりましたが、皆さんはじめまして。
 僕は今年で31歳、今シーズンから晴れてJ1でプレーすることになった、川崎フロンターレに所属しているプロサッカー選手。コラムを書くのは初めてであり、連載というものも当然初めて。僕はサッカー選手だが、色んな人と会ったり、色んな本を読んだり、自分のホームページを更新したりしている。何故か? そこには僕のライフスタイルが大きく関わっている。僕は「プロサッカー選手である前に、ひとりの立派な社会人でありたい。そしてひとりの人間として、様々な人に認められたい」という意志に基づいて行動している。なぜならそうすることが、最終的にはサッカーのためになると信じているからである。
 僕がどんなモノを買い、それをどう使い、またそれを身につけ、誰と会ったり、何をしたりしているのか。買い物をキーワードとした、このコラムどうぞよろしく。







なんといっても本業はサッカー選手ですから
なんといっても本業はサッカー選手ですから


ジル・サンダーのジャケット。この時期、重宝してます
ジル・サンダーのジャケット
この時期、重宝してます



プラダスポーツの靴。別にみんなにプラダだと分かってもらわなくてもいいんですが
プラダスポーツの靴
別にみんなにプラダだと
分かってもらわなくても
いいんですが







1969年愛知県生まれ。同志社大学経済学部卒業。名古屋グランパスエイトを経て、川崎フロンターレへ。勝利への並外れた執着心と、闘志剥き出しのプレースタイルで、観客を魅了する。また持ち前の明るさとリーダーシップで99年はチームのキャプテンとして、JI昇格、優勝に大きく貢献。

昨年末、小社よりJ1昇格までの軌跡を綴った『魂の叫び J2聖戦記』(金子達仁氏/戸塚啓氏と共著)を刊行。文章が書けて、しかも喋れる、マルチなサッカー選手を目指している。趣味は買い物の他に、美味しいものを食べること。

この連載で伝えたいのは、「こんなに買ってるぜ!」ということではなく、「なぜ自分は買わなければいけないのか」というある種の哲学(?)。

Tetsuo's Network News