マハーバリプラムカンチープラムチェンナイレー・ラダックウダイプールジャイプールクンバルガルジョードプールジャイサルメールビカネールマンダワリシケシュアグラーヴァラナスィデリー
 カラフルな神々の人形を売る露店や、アクセサリーや子供服を売る店を通り過ぎ、捧げ物や婚礼の儀に使うための花飾りを売る店で立ち止まりつつ、色とりどりで派手な神々をところ狭しと配したゴプラム(塔門)をくぐって入る、典型的なドラヴィダ建築のカパレーシュワラ寺院を訪ねた。
 シヴァ神とその妻パールヴァ−ティーを祀った一番重要な神殿にはヒンドゥー教の信者のみが足を踏み入れることを許されているらしく、敷地内を一周してゴプラムの外に出た。すると、おじさんが、急ぎの用事でもあるのか、目の前を通るからには拝まずにいられなかったのか、バイクでやって来たかと思いきや、エンジンも止めずにバイクに跨がったまま手を合わせ、ものの数秒で走り去っていった。その横着な祈りようは、インド全土に流れているであろう無秩序な空気を思いっきり表していた。
南インド最大の都市チェンナイの、シヴァ神を祀ったカパレーシュワラ寺院への参道にて。祭りの時期を控えて人々の往来も多く、バイクに乗った初老の男性が猛スピードでやってきて、エンジンのかかったバイクに跨ったまま寺院に向かって手を合わせ、ものの数秒で走り去って行ったのは愉快だった。
寺院の神々へ捧げる花を売る商店。参道にはこのようなお店が林立しており、人々は購入した花やココナツの実などにそれぞれの思いを託して履物を脱ぎ、寺院のゴプラム(門塔)をくぐる。
先のインド洋津波にて壊滅的な被害を受けた漁村では、炎天下にもかかわらずこうして何の冷却設備もないまま鮮魚が売られている。多くの人命が失われ、復興もまだ半ばではあるけれど、子供たちの表情は極めて明るかったのが印象的。
インドの洗濯風景は豪快である。泡の付いた洗濯物をブルンブルンと振り回したかと思えば、地面にパーンパーンと打ち付ける音が辺りに響き渡る。そうして洗いあがった洗濯物は、女性のサリー、男性のドティー(腰巻)といずれも長く、干す場所を確保するのも一苦労であろう。
 カンチープラム最大のエーカンバラナタール寺院では、毎年3月になると10日間の祭りが開催され、満月の日には多くのカップルが婚礼を挙げるという。なぜならば、シヴァ神とパールヴァ−ティーが同じ日に結婚したという神話があるかららしい。
 ガイドのバラジさん曰く、シヴァ神とパールヴァ−ティーがお互い独身だった頃、二人でよくふざけて遊んだという。ある日パールヴァ−ティーがシヴァをからかって、片目をふさいだそうな。すると世界は暗闇に包まれ始め、戯れ事がすぎたといって、シヴァが怒り、パールヴァ−ティーに罰を与えたという。それはカンチープラムから一歩も外に出ないことだった。
 調子に乗りすぎたことを悔いたパールヴァ−ティーはマンゴーの木の下で瞑想をし続けたそうで、後にマンゴーの木の下、ヴィシュヌ神の介添えにより二人は結婚したのだとか。
南インドで多く見られるドラヴィダ建築の象徴ゴプラム(門塔)は、東西南北の入り口に配してある。写真はカマクシーアンマン寺院のもの。神々の象が刻まれた巨大な石が空高く聳え立っている様は壮観であった。
カンチープラム最大のエーカンバラナタール寺院の沐浴池。この寺院の正面入り口のゴプラムは高さ61メートルにも及び、本殿中庭には、3500年前のものとも言われるマンゴーの木が祀られている。
シルクのサリーを織る工房を見学。縦糸に模様を交ぜながら横糸を通していく過程は見ていて飽きることがなかった。しかし、ローカルガイドのバラジさんは、見学もそこそこに、コミッション授受の密約がなされているらしき販売会場へ連れて行きたがり、挙句に何も買わない私を怨めしそうに見つめていた。
ベジタリアン向けの大衆食堂サラヴァナバワンにて昼食を。35ルピー(約100円)のミールス(定食)は、お皿代わりのバナナの葉の上に供される。間断なくお客さんがやってきては、前の客人が使用したバナナの葉を、店員がパタパタとたたんで片付ける。するとそこには新しい葉が敷かれ、アルミのバケツに入った激辛カレーが配られるということの繰り返しだった。
 椰子の木が立つ田園風景を1時間半ほど眺めていると、急に視界が開けて、海が見えた。アイディアルビーチリゾートでは、「マハトマ・ガンジーの生誕記念日により、インド全土での飲酒が禁じられています」と言っていたにもかかわらず、夕食時に「ビールを飲みたいですか」なんて聞かれて、イエスと答えると、キングフィッシャービールの冷えた瓶が出てきて、グラスに注がれた。どうやらインド全土の人々がマハトマ・ガンジーに敬意を払うわけではないようだ。
 しかし、やはり禁止されているものを内緒で提供するものだから、ボーイさんが瓶をテーブルの下に隠して、注ぐたびに拾い上げ、また、隠すということの繰り返しだった。
 そんなことまでして、ビールを飲んでいる私って……。
いずこからやってきて、なにゆえにそこにあるのか誰一人としてその理由を知る者がいない巨大な岩球は、クリシュナのバターボールと呼ばれ、幾多の人間が押しても引いても微動だにせず、今も尚、坂の途中で留まっている。
『アジュルナの苦行』と呼ばれる、30m×12mの岩壁に施された数々の彫刻の中でもとりわけ目を引くのが、あばら骨を浮き立たせる程の苦行中にあるアジュルナにシヴァが手を差し伸べる様である。
カーストがブラフマンつまり僧侶ではない者でも、サドゥーと言って、自ら現世の欲を絶ち、修行僧のように托鉢をしながら生きることもある。尤も、格好ばかりで、ただの怠け者も混じってはいるようだが。
マハーバリプラムのハイライト、海岸寺院。ベンガル湾の海岸沿いにかつては7つあったという寺院群のうち、現存するのはたったひとつであるが、潮風にさらされながらも、こうしてたたずむ姿はとても美しい。