にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 初めて作った絵本は『Dr.インクの星空キネマ』という、星空で繋がる物語。処女作にして、完成まで実に5年の歳月(本当は4年とチョット)をかけた作品であるので、成長の過程が丸裸です。絵の勉強(独学ですが)をしながら作業を進めていたので、最初のページと最後のページはまるで別人で、「キチンと勉強してからスタートさせたら良かったかなぁ」と思うこともありますが、モチベーションこそがモノ作りの最大の推進力でありますから、やはり「やりたい時がやる時」と納得させます。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #4 モチベーションを救え! Photo. A

 我々が眠った時に見る夢は、毎夜違った設定、違ったキャスティングにより物語が進んでいきます。夢がスタートしたら、我々は身を委ねるしかありません。夢の物語はすでに出来上がっているのです。
 子供の頃、このことについて考え、「ボクが毎夜毎夜こんなに物語を思いつくハズがない」と疑問を持ち、「きっと誰かが考えているんや」と妄想の扉をノックしました。
 その答えが『Dr.インクの星空キネマ』。世界の奥の奥の奥に住んでいる大忙しの脚本家。世界中の人が眠った時に見る夢の脚本を書いております。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #4 モチベーションを救え! Photo. B

 この設定を思いついたときに「わお!いい設定!早く完成させて皆から誉めてもらおう!」と阿呆の勢いそのまま筆を握ってしまったわけですが、準備ナシに始めたそれが成長の過程を恥ずかしいくらい作品に投影することとなった原因。しかし、その勢いがなければ描き上げられなかったのも事実でございます。

 僕は、モノを作るときに必要なのは「モチベーション」と「生活費」だと考えております。僕のような不安定な職に就いている人間は生活費を保証するのも一苦労なわけですが、数年にわたる作業でモチベーションを保ち続けることもこれまた大変な苦労です。モチベーションを下げないためにあの手この手、使える手は全て使います。
 ときどき開かれる絵本の原画展なんかには足繁く会場に通っています。もちろん来場者の皆様に誉められてチヤホヤされることが目的です。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #4 モチベーションを救え! Photo. C

 そして最近は絵本制作の過程を写真に収めて随時ツイッターにアップしているのですが、こちらももちろんフォロワーの方に誉められることを目的としております。
 手厳しいご意見は徹底的に無視。お誉めの言葉だけを何度も何度も読み返します。
「皆の意見に耳を傾けなきゃダメだ」とお叱りにならないでください。あくまで、モチベーションを下げないことが最大の目的なのです。
 とにかく誉めて誉めて誉めて僕のモチベーションを生かしてください。皆様がそれをしてくださらないと、ヨイショのプロ・「後輩芸人」を集めて原画をひたすら誉めさせるというファイナルミッションに出るしかありません。僕のまわりには生き残るために太鼓持ちのAtoZが骨の髄まで染み込んでいる若手芸人がワンサカといるので百人力です。
「そんなことをして虚しくならないのか?」だって?
 虚しいに決まっているじゃないか。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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