にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 前回「ロケハン」の話をさせていただきましたが、今回の絵本を描く上で参考にさせてもらった場所は西表島だけではございません。イタリアのフィレンツェやベネチア、近所の試林の森公園などがそれです。
 その中、台湾の「キュウフン」にもお世話になっております。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #6 手持ちのカード Photo. A

 もっとも、この町は「千と千尋の神隠し」の舞台としても有名な場所であるので、せっかく作った作品を「宮崎駿の“二番煎じ”じゃねーか!」と言われてしまってはたまったもんじゃありません(ただ、個人的には宮崎駿さんのことは狂おしいほど愛しております)。

 この町に関して言えば、影響を受けたのは建物より「提灯」。「南国の森と提灯のミスマッチは面白いかも」と鼻息荒くカメラを向けました。ブヒブヒ。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #6 手持ちのカード Photo. B

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #6 手持ちのカード Photo. C

 この森の雰囲気に合わせて、登場人物達の衣装も軽くアジアン風に仕上げてみました。
 さて、この「キュウフン」ですが、前回の西表島ロケハン詐欺同様、仕事をズル休みしてプライベートで行ったのかと訊かれれば、そうではございません。
「キングコングのあるコトないコト」という番組の台湾ロケ、つまり本業の仕事に便乗したカタチです。仕事先行、「仕事で台湾まで行かせてもらえるんだったら、どうせなら絵本に取り入れなきゃもったいねぇでげす」と銭ゲバ根性丸出しのその順番。
 まったくけしからん考えですが、ただ、それが専業絵本作家ではなく芸人をやりながら絵本を作っている不届き者のアドバンテージなのだと思っております。以前、お話させていただいた「0.03ミリのペンを選んだ理由」と同じ理屈ですね。

 海外旅行は決して安いものではありませんし、画になるロケ地を一人で探すのも大変です。「行ってみてハズレ」という可能性もあります。ですから、旅費も出してもらって、事前に番組スタッフさんがロケハンしてくださっている環境というのは大きな強みです。
 もちろん、そういった場合は番組ロケを成立させることが最優先事項ですが、おこぼれはキッチリと頂戴いたす所存でございます。

 芸人が絵本に手を出すなんざ、そもそも負け試合。その中、不利な環境で生きるコツは「手持ちのカードを上手に使う」という一点に尽きるのではないでしょうか?
 公衆便所でウンチを出してからトイレットペーパーが切れていることに気がついた時、半泣きになりながらも「水はある」「トイレットペーパーの芯はある」と順番に手持ちの武器を確認していくそれによく似ています。
 大好きな奥田民生さんが歌詞から一節。
「軽く笑えるユーモアを。上手くやりぬく賢さを」

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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