にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 あいかわらず遅々として進まない絵本作り。時間をかけることが狙いだとしても、度が過ぎていることは以前お伝えしたとおり。うめき声とタメ息のオーマイガーな日が続いております。
 作画にこれだけの時間を費やすわけですから、それに足るストーリーでなければもちろん納得がいきません。今日は「ストーリー」のお話を。

 映画や舞台などを観に行って、これだけのキャストをつもって、これだけのお金をかけたわりに、「ストーリーがなんてこったい」となった経験があるのは僕だけではないハズです。
 もちろん、人それぞれ楽しむポイントが違って当然です。「役者が好き」「演技が素晴らしい」「画が綺麗」「流れる空気が好き」「オシャレ」…作品を好きになるには様々な理由あります。そもそも、確信的にそこに重きを置いている監督さんもいらっしゃるでしょう。
 しかし僕個人的には、作品の比重は、ストーリーが9割、それ以外を全て足して1割と思っております。核となるストーリーが面白くなければ、他の何が頑張ろうがニッチもサッチもいきません。ストーリー絶対至上主義でございます。
 僕の作る絵本も例外ではございません。どれだけの時間を費やそうが絵は残り1割に分類しております。絵なんて、その程度のものです。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #9 ド根性こんにちは Photo. A

 今回で3作目、作画に数年かかることは百も承知。その上で作画をスタートする気にさせるストーリーでなければ筆は持ちません。
 さて、このストーリー作り。こればっかりは時間をかければ完成が約束されているというものではございません。どれだけ考えてもダメな時はダメです。かといって、ストーリーが空から降ってくるような天才的な事件も滅多にありません。とうぜん、ストーリー作りの秘訣も方程式も何もありゃしません。
 ただ、温泉を掘り当てるが如く、エンヤコラとあちこちにスコップを入れるほかないのです。唯一、経験から、「これ以上、掘っても無駄だな」とか「おそらく、この辺りには脈はないな」ということが分かるようになったくらい。あとはやっぱり、一にも二にも「粘り」。粘り、粘り、粘りでございます。
 となってくると、ストーリー作りも作画同様、汗と涙のド根性ヨロシク仕事。
 ここ掘れワンワン、あそこ掘れワンワン。出なけりゃ、次は……、埋まっている場所を探す勘を磨く為に、たくさんの作品を見るようにしております。
 しかし映画館で映画を観ていても「この設定だったら、僕ならば…」と頭を働かせたら終わりです。その瞬間から話が入ってこなくなり、結果、途中で抜けだす始末。小説を読んでいる時も同じです。かくも無情なモノ作り。
 それでも時々、そんなコトを考える隙を与えない作品に出会えることがあります。そんな時は嬉しくって嬉しくって、もう股間がソワソワして大変です。
 こういう作品があるから僕はキチンと嫉妬することができて、この重たい尻を上げようと思うわけです。
 次回は絵本作りの起源、僕のハートをワシ掴みにした作品を紹介したいと思います。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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