#12「リフォームですよ」で)。「公衆便所マスター」などとバカ騒ぎできたのはリフォームで浮かれていた最初だけ。ウンチをする度にわざわざ公園まで走っている自分にまもなく嫌気が差し、「やっぱり自分のトイレが欲ちい…」という気持ちがムクムクと。そして、ようやく完成。ピッカピカのマイ・トイレに感動。汚したくないので、ウンチは公園の便所でしようかと考えております。" /> #15 売れてくれなきゃイヤ!|にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜|Webマガジン幻冬舎
にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 リフォームが進み、ついにトイレが完成(詳しくは#12「リフォームですよ」で)。
「公衆便所マスター」などとバカ騒ぎできたのはリフォームで浮かれていた最初だけ。ウンチをする度にわざわざ公園まで走っている自分にまもなく嫌気が差し、「やっぱり自分のトイレが欲ちい…」という気持ちがムクムクと。そして、ようやく完成。ピッカピカのマイ・トイレに感動。汚したくないので、ウンチは公園の便所でしようかと考えております。

 モノ作りの完成の瞬間は様々。今回のトイレのように感動がドカーンとやってくるものもあれば、ひっそりとしたものも。

 ゴールに向けて徐々にボルテージが上がっていくわけでもなく、やるべき作業を毎夜静かに淡々と。そして、その時は突然やってきて「あら、終わっちゃった」といった感じ。大きな感動に包まれることもなく、ひどく淡泊。前作も、前々作の時もそうでした。
 絵本「オルゴールワール」の2年数か月に及んだ作画作業がようやく終わりました。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #15 売れてくれなきゃイヤ! Photo. A

 あとがきの挿絵を含めて40枚弱。ロケハンから始まり、本当に長い長い道のりでした。  思うことはたくさんありますが、「一生懸命頑張ったし、むちゃくちゃ誉められた石、お友達も何人か巻き込んじゃったんだから、売れてくれなきゃすんごい嫌。」というのが今の正直な気持ち。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #15 売れてくれなきゃイヤ! Photo. B

 せっかく汗水垂らして作った作品も、売れなければ作っていなかったことになってしまいます。「わかる人だけわかればいい」と負けた時の布石を打っても虚しくなるだけなので、「ものすごーく売れたい」と叫びます。
 チビッ子から爺ちゃん婆ちゃんまで、たくさんの人にキチンとお届けしたいです。

 とは言うものの、「本が売れない」と叫ばれる時代にあって、三流芸人が余技で描いた絵本なんぞに一体誰が手を伸ばすのでしょうか? 「作品に力があるから」とあぐらをかいている場合ではございません。それなりの作戦を練らねばなりません。

 タレントであることをフル活用し、TVやラジオ、ブログやツイッターなどでしつこく告知するという手段もありますが、それをして撃沈してきた仲間たちをたくさん見てきました。もちろん無駄ではありませんが、メディアの力を過信しすぎるのは少し危険(そもそも僕自身がタレントが出す絵本をちっとも信用しておりません)。メディアを使った告知はもちろん全力でやった上で、そんなものはプラスアルファ程度に考えておかねばなりません。

 次に考えたのは、出版に向けた雑誌取材などで「村上春樹大先生の悪口を言って話題を作る」という作戦。
 これはかなり現実的なセンで計画していたのですが、考えてみるとそのライターさんが大先生の軍団員である可能性があります。たとえライターさんはシロでも、雑誌の編集長が…いや、そもそも一番の味方である幻冬舎内に軍団員がいる可能性が…出版業界の重鎮の軍団員はどこに潜んでいるのか分かりません。本来、出版の後押ししてくれるハズだった人を敵に変えてしまう可能性をわざわざ作ってしまうことは、どう考えたって賢くありません。というワケで「村上春樹大先生の悪口を言って話題を作る」作戦も却下。

 答えがなかなか見つからないので、「自分だったら、どういったモノにお金を出すかなあ」と考えてみることにします。
 考えてみると、舞台や映画はかなり身近な人間が観に行って「面白い」という判子が押したモノしか観に行きません。本の場合もそうです。大好きな志の輔師匠の落語ですら「今回はどうやった?」と聞いてから、ようやく動き出す始末。
 時間やお金を無駄にしたくはないので、不透明なモノには手を出さず、答えがほとんど見えているモノにしか手を出しません。もちろん、コレはあくまで僕の場合。中には「前情報なんて知ってたまるか、てやんでい!」という方もいらっしゃるでしょう。

 しかしながら、「手の打ちをほとんど見せる」というセンはあながち無視できません。さらには、手の打ちを見せるには好都合なことに「絵」は一秒で答えが出るエンタメです。
 そこに何かしら抜け道がありそうです。むむむ…。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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