にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

「装丁をお願いするデザイナーさんは…」といった電話をしたのが数日前。
 絵本「オルゴールワールド」の制作もいよいよ大詰め。なにかと語りたがる僕は「あとがき」もバッチリと書きました。おおよその発売日も決定しましたし、本の価格なんかも決まっているハズ。いよいよですよ、奥さん。
 真面目に作ったので、たくさんの方に読んでもらいたいです。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #16 カモン!ワンダフルDAYS! Photo. A

 僕は、自分のライブの物販コーナーにこれまで出版した絵本や小説を並べていて、ご購入いただいたお客様を対象にしたサイン会をライブ終演後に開催するという、ファン心理を巧みに利用した悪質な活動を長年続けております。
 そんなこともあり、本を買ってくださったお客様と直に喋る機会が頻繁にあります。その時よく耳にするのが「友達にプレゼントしたいので…」「新婚夫婦に贈りたいので…」といった声。僕の絵本を「Gift」とされる方が少なくないのです。物販コーナーには小説も一緒に並べているのですが、小説ではそういったことはありません。
 絵本は文字数も少ないですし、年齢も問いませんから、プレゼントとして活用しやすいのでしょうか……そこでハッとします。

 「だったら、プレゼントされる側の数を増やしたらいいじゃないか!」
 
 僕の本を買いに来てくださる人達を「A層」として、A層から絵本をプレゼントされる可能性がある人達を「B層」、プレゼントされる可能性がない人達を「C層」とした場合、「この絵本を買ってプレゼントしたいけど、B層には喜ばれても、C層には…」とA層の人が自己判断でC層に対してブレーキを踏んでしまうケースがこれまでにあったハズです。これは非常にもったいない。当然ですがC層の数はなるべく減らすべきです。
「C層の数を減らす」…そもそも、C層はどういった人達で構成されているのでしょう。考えてみることにします。

 A層は、僕や僕の作品に興味を持ってくださっている人、絵本に興味がある人、絵に興味がある人…そういった人達で構成されています。
 B層は、僕や僕の作品を知らない人、絵本に興味がない人、本に興味がない人、少し興味はあるけどお金を出してまでは…といった人達。
 そして問題のC層です。色んなジャンルの方がいらっしゃるでしょうが、その中でも圧倒的多数を占めるのが“日本語が読めない人達"でしょう。
 なあんだ!
 こんな単純なカラクリにどうして今まで気がつかなかったのでしょう。これまでよりもたくさんの方に読んでもらう可能性がここにありました。
「英訳を付ければいいじゃん!」
 これによって、C層の人達を、B層、あわよくばA層に移動させられます。ザックリと簡単に言うと、外国人さんもターゲットにしちゃおうゼ。
 文字数の少ない絵本であれば英訳のスペースも十分にあるでしょう。
 問題は時間。発売が迫っているということです。せっかくの作品の質を、突貫工事の英訳で落とすワケにはいきません。
 とにかく思い立ったら、即行動。編集の袖山さんと、チーフマネージャーに相談の電話を入れ、「なんとかする」というコトで合意。次回作「オルゴールワールド」は英訳付きの方向で話が転がり始めました。さあ、どうなる?

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #16 カモン!ワンダフルDAYS! Photo. B

 英訳付きに成功すれば、いつの日か「海外の友達にプレゼントしたいので…」「新婚のアメリカ人夫婦に贈りたいので…」という声が聞けるかもしれません。
 そして、「OH!グッド・ピクチャーブック!アイラブユー!!」と金髪のパイオツカイデーのアメリカ人女性に僕が抱かれるワンダフルDAYSも。カモン!カモン!
 男32歳、夢と股間が膨らみます。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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