にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

「もう少し“ひらがな"を増やしませんか?」という意見を早速取り入れ、文章を直すワタクシ。本を書き上げてからのアレコレは編集の袖山さんに言われるがまま。
「なんだ、西野。テメエの本なんだから、最後までテメエが責任持ってやれよ!」という声もあるかもしれませんが、僕は“本を売る"というコトに関してはズブの素人ですし、本屋さんに通って本を手に取っている回数も圧倒的に少ないです。本を手に取る方にピンとを合わす方法を知りません。こうなったら、モノを作る上で僕がなにより信用している「経験値」に従うまでのこと。なにより、単純に「おお、たしかに“ひらがな"が多い方がいいな!」と思ったからです。
 
 それに僕は、銀座でバカみたいに持ちあげられて「今回の私の作品はねえぇ〜」とか我がもの顔で語っちゃうエロ狸状態の作家先生が大嫌いで、「皆で作ろうぜー!オー!」という頭の悪そうな文化祭的なノリが大好きです。
 経験の浅い僕が知っているかぎりでも、一冊の本が読者さんの手元に届くまでには本当にたくさんの人間の汗が流れております。僕にはプライドもヘッタクレもありませんので、そういった人達に対してすぐに「タスケテ」と信号を出し、頼れるところは全て頼ります。それに皆、プロだってんだから、頼らなきゃもったいない!

 そんな袖山さんから「今回の装丁は名久井直子さんにお願いしようと思っているのですが…」と相談がありました。「才能ある本当に素晴らしい装丁家さん」とお聞きしたのですが、正直に申し上げますと、本に疎い僕は名久井さんのコトを知らなくて、「仕事相手になるかもしれない人を知らないのは失礼だ」と慌てて名久井さんの情報収集に入ります。
 インタビュー記事を読み漁り、ご出演されていた「情熱大陸」を拝見させていただいくうちに、すっかりファンになっちゃった!

 女性に対してこういった表現をしていいのかわかりませんが、とにかくオタク臭が酷くて、「誠実な人だな」と率直に思いました。それにカワイイ!この「カワイイ」というのが男女関係なく、一緒に仕事をする上ではとても大切。とくに“我"の駆け引きがモノをいうモノ作りの現場では。あとは声の大きさ。

 そんなわけで翌日には「名久井さんにお願いしてもらえますか?」という電話を袖山さんに入れます。もう僕はファンになっちゃったので、ここから名久井さんが今回の依頼を断ろうが無駄です。「断ったらイヤです」という、デビューまもなく売れた人間特有のワガママコメントを発動させるからです。これを使えるのは僕とマコーレー・カルキン君(ホームアローン)となっております。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #17 名久井直子さん登場の巻 Photo. A

 子供の頃、家を出る時に、母ちゃんが服を着させてくれたのですが、装丁家さんのお仕事はそれによく似ています。
 はてさて、名久井さんは「オルゴールワールド」にどんな服を着させてくれるのでしょうか? 
 とても楽しみです。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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