にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 名久井大先生と袖山さんが徹夜で装丁の作業にあたられている裏で、当の作者は近所の公園にザリガニ釣りの隠れスポットがあることを小学2年生から聞きつけ、25年ぶりのザリガニ釣りに夢中(意外と奥が深いザリガニ釣りの世界)。絵本制作そっちのけ、もはや誰の絵本なのか分からない。お二人には「ゴメンナサイ」以外の言葉が見当たらず、ストレス発散ヨロシクお尻を蹴飛ばされても文句は言えまい。そんなこんなで秋ですよ。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #19 あの日の私を殺したい Photo. A

 出版の日取りもほぼ決まって、それに向けたイベントもいくつか用意されているそうな。数年がかりで作り上げた作品に審判が下る日が刻々と迫っております。近所の小学生らと遊び呆けてはいるものの、とうぜん、胸中穏やかではございません。
 誉められたくてしかたがない僕は、ツイッターの検索リサーチで絶賛されているコメントだけをすくいあげてリツイートし、「どうだい? こんなに誉められてるんだぜ」と猛烈にアピールすることはまず間違いないのですが、そんなものは気休め程度。やはりキチンとした結果がでないことには納得がいきません。出版後間もなく、「ワタクシ、コウイウモノデース」とウォルト・ディズニー・カンパニーの社長さんから名刺を渡されないとイヤなのです。

 そんな調子で出版後の未来に想いを馳せていた矢先、名久井大先生と袖山さんが我が家に打ち合わせに来られました。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #19 あの日の私を殺したい Photo. B

 筆を走らせな上がら、次々にアイデアを出していくさすがの名久井大先生と、話を受けながらも意見はキチンと伝えるさすがの袖山さん。「俺の仕事は終わったゼ」と余裕をブッこきながら、お二人の話を聞いていたら、「西野さん、表紙に使う模様とタイトルが入る箇所のイラストを描いてもらってもいいですか?大急ぎで!」と名久井大先生。寝耳に水の入るごとしドヒャー的展開。
「余裕です」とお返事したものの、膝の震えが止まりません。現在は新作舞台「えんとつ町のプぺル」の準備に追われていて、時間に余裕がないのが正直なところ。
 お二人が来られてから「時間地図」の魅力を延々と熱弁していた僕、そしてなにより、ザリガニ釣りに夢中になっていた僕を八つ裂きにしたい気持ちでいっぱいです。
 ザリガニを釣って何になるというのでしょうか? あの時間が本当に悔やまれます。
 しかし、もう、やるしかないのです。だって、名久井大先生は怒らしたら絶対に恐いタイプの人だもん。
 大阪のホテル。ペイチャンネルの誘惑と戦いながら、半泣きで筆を走らせる今夜です。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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