にしのあきひろエンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

 小説家の和田竜さんのコラムをまとめた単行本の表紙イラストや、くまもと県民テレビさんが仕掛ける数万人規模のお祭り「夢まちランド」のド真ん中に掲げる縦15mの「ノボリ」のデザインを次々にやってのけ、お笑い芸人として順調に迷走し続けるワタクシに、今度は日本大学芸術学部さんから絵本の原画展の依頼が舞い込んできました。文化祭のイベントとして企画していただいたそうな。
 芸術を学ばれている人達の巣窟に、お笑い芸人が描いた作品が突撃するとは面白い。「出店のフランクフルトを奢ること」という条件付きで、原画展の依頼をお受けしました。
 どうなる? 原画展。

 原画展の運営は学生さんと袖山さんとウチのマネージャーちゃんにお任せして、ワタクシは絵本制作の最後の作業にかかっております。装丁の名久井さんのイメージでは「昔からあるような本にしたい」とのことで、タイトル文字部分はレトロ感たっぷりのリボン、そして表紙のいたるところに蔦の模様。その2件のデザインを仕上げてくるよう、名久井さんから宿題を出されたのでした。

にしのあきひろ エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜 #20 着地点を見失った Photo. A

 左上のリボンは「ボツ」が出されたもの。「蔦などが絡まっているイメージで」と言われて描きましたが、「少し重たい」とのこと。
 これは自分でもウスウス感じておりました。なんだか南国リゾート感が出ているのでは…という気持ちを押し殺しながら筆を進めていたのが正直なトコロ。そこを見事に突かれてしまったわけですね。
 今回の表紙は描き込みの多い絵を使おうと考えていて、それゆえタイトル部分はシンプルな方が良かったのでした。
 さらに名久井さんから「蔦の模様はできるだけたくさん描いてもらえますか?」と注文がきて、手探りで蔦の模様を描く描く描く。「ぐるぐる」が好きなので、たくさん「ぐるぐる」を入れておきました。
 余談ですが、平仮名の「る」は、最後のクルンッという部分をもう2周くらいしてウズマキ状にした方が「る」感が増すのでは? と思っております。これは“巻き舌"を駆使する「ラ行」全般に言えることかもしれません。とくに、「れ」の最後の払い部分もグルグルッと巻いた方が「れ」感が増すように思います。
 平仮名は奈良時代を中心に使われていた「借字(しゃくじ)」が変化に変化を重ねて現在のカタチになったと言われておりますが、まだまだ改良の余地はありそうです。

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エンヤコラ日記〜絵本作りはつらいよ〜

にしのあきひろ

西野亮廣。1980年7月3日兵庫県生まれ。99年梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。「NHK上方漫才コンテスト」で最優秀賞など受賞多数。現在「はねるのトびら」「キングコングのあるコトないコト」「いつも!ガリゲル」などのレギュラー番組で活躍する一方、漫才ライブ「KING KONG LIVE」やソロトークライブ「西野独演会」などの活動も意欲的に行っている。「日の出アパートの青春」「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」「グッド・コマーシャル!!」(のちに、小説『グッド・コマーシャル』として刊行)、「ペンギン・ボーイズ」ほか、演劇やショートムービーの脚本・演出も。

絵本『Dr. インクの星空キネマ』では、物語の絵の力で世間を驚愕させた。絵本第二弾は、切ないラブストーリー、『Zip&Candy ロボットたちのクリスマス』。今回、三作目の絵本に取り組んでいる。

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