超魔球スッポぬけ!
朱川湊人
わくらば日記
ワタシのカタログ
 こんにちは、シュカワです!
 暑い毎日が続いていますが、みなさん、お元気ですか? 今日なんかは、本当に真夏のような一日でした(サテ、今日は何日でしょう?)。ちょっと出かけるだけでもキツイのに、外で働いている方々は本当に大変だろうと思います。
 今日、ワタシの家に届け物を持ってきてくださった宅配便の人は、それこそ頭から水をかぶったように全身汗まみれでした。お仕事とはいえ、本当に大変なことです。水分をこまめに補給して、熱中症には十分に気をつけてくださいね。一年中、働きもせずに家でゴロゴロしているニートの人は、少しはそういう方たちを見習ってくださいね。ハハハ、そんなことを言ったって、初めから聞く耳持ちませんか。こりゃあ、一本取られた。I was given you ippon.

 さて、この連載も、もうじき一年を迎えようとしています。
 一周年記念のイベントは、きっと編集部の方がニギニギしくやってくださると信じていますが、ちょっと不安を感じているのが、このページを読んでくださりつつも、今でも「シュカワって誰だよ」とおっしゃっている方が、けっこういらっしゃるのではないか……というコトです。
 小説家になって四年も過ぎていないのですから、それは無理からぬことなんですが、さすがにちょっとサビシイですね。
 と言うわけで今回は、少しコマーシャルっぽくなってしまう(むしろ100パーセント、コマーシャルのような気が……)のですが、ワタシの現在の仕事内容をご紹介したいと思います。もし本屋さんで見つけたら、ちょっと手にとっていただければ――さらにはレジに持って行っていただければ幸いです。


既刊本

『都市伝説セピア』(文藝春秋)
 ワタシの最初の本です。「口裂け女」のような都市伝説に憧れて、自らモンスターになっていく男の話(「フクロウ男」)や、事故で死んだ友だちを救うために、同じ一日を何度も繰り返す少年の話(「昨日公園」)などが収録されています。台湾の如何出版社というところから中国語版が刊行されており、そのタイトルは「猫頭鷹男」でした。この四月に文庫版が出まして、石田衣良さんが解説を書いてくださいました。

『白い部屋で月の歌を』(角川ホラー文庫)
 表題作は、日本ホラー小説大賞短編賞をいただいた作品です。自分の中に霊を招き入れることで、霊能力者のアシスタントをしている少年の物語です。「鉄柱」(クロガネノミハシラ)という作品も収録しています。

『さよならの空』(角川書店)
 今のところ、唯一刊行されている長編小説です。オゾンホールの拡大を防ぐために散布した化学物質のために、世界から夕焼けが消えてしまうというSF小説です。他の本とはちょっと違う雰囲気なのですが、ワタシ自身は気に入っています。松尾たいこさんの装画がキレイです。

『花まんま』(文藝春秋)
 第133回直木賞をいただいた本です。前世の記憶を持つ妹に振り回される少年の話(「花まんま」)や、苦しんで死んでいく人を言霊を使って楽に死なせるおばあさんの話(「送りん婆」)など、六篇が入っています。

『かたみ歌』(新潮社)
 東京・下町の商店街を舞台に、いろいろな不思議な出来事が起こる連作短編集です。同じ時期に書いた『花まんま』とは、兄弟のような本と言っていいでしょう。死の予告文を貼って歩く不気味な少年の話(「夏の落し文」)、死んだ猫が光の玉になって現れる話(「ひかり猫」)などが収録されています。今年のお正月に、文化放送でラジオドラマにしていただきました。また、韓国語版の発売が決定しています。

『わくらば日記』(角川書店)
 人や物の持つ思い出を見ることができる少女を主人公にした連作です。すべて短編ですが、お話は続いていまして、最終的には全三冊にする予定です。現在、野性時代(角川書店)で、新シリーズ「わくらば追慕抄」をスタートさせました。

『赤々煉恋』(東京創元社)
 最初は遅くとも二月に出るはずだったのに、ワタシのせいでズルズルと遅れてしまい、今月、ようやく書店に並んだ最新刊です。タイトルは「せきせきれんれん」と読みます。『ミステリーズ!』という本に連載していたものをまとめたもので、かなりホラー色が強いのではないかと思います。『花まんま』を気に入ってくださった方には、あまりに世界が違うので、驚かれてしまうかもしれません。

『タイトル未定』(集英社)
 タイトルはほとんど決定しているのですが、念の為に、まだ伏せておきましょう。「小説すばる」に掲載された短編作品をまとめたもので、内容的にはかなり鬱です。『枯葉の日』、『しぐれの日』、『微熱の日』というように、『OOの日』というタイトルで統一してあるのが特徴です。どの話も冬を舞台にしていますが、出るのは秋ごろです。


雑誌連載中の作品

『虹が眠る場所』 ポンツーン(幻冬舎)
 奇跡を起こすというペンダントを手に入れた主婦と、ワルになりきれないチンピラ青年の物語です。すでに一年以上続けていますが、ようやく最終回が見えてきました。ワタシのものにしては珍しく、不思議要素の少ない作品です。

『sorawomiro』 小説ノン(祥伝社)
 三十年前に死んだ少年が、なぜか空飛ぶピーターパンのような存在(しかも、けっこう凶悪)となって帰ってくるお話です。タイトルは「空を見ろ」と読みます。これも一年以上続けていて、あと数回で終われると思いますが……大丈夫でしょうか。

『無限のビィ』 問題小説(徳間書店)
 昭和四十年代後半の東京下町を舞台にしたファンタジーです。ある特殊な生物の侵略から家族を守ろうとする、小学三年生の少年が主人公です。一年近く続いていますが、お話はまだ序盤という恐ろしい状態になっています。

『太陽の村』 文藝ポスト(小学館)
 おそらく、ここに挙げたどのお話よりも異色な作品で、全編ギャグづくめです。家族旅行の帰りに飛行機が墜落し、近世日本と思しき村にタイムスリップしたアキバ系オタク青年(デブ)の物語です。掲載誌が季刊なので、完結は、まだ先でしょう。

『超魔球スッポ抜け!』 幻冬舎ウェブマガジン(幻冬舎)
 今、ごらんいただいているこのページです。おバカなことばかり書いていますが、これからもヨロシクお願いします!


 こうして並べてみると、我ながら、たくさん書いているなぁ……と思いますが、これが仕事ですから当然ですね。どの作品もワタシなりに思い入れたっぷりなので、よろしかったら手に取ってみてください。
 ここに書いていない単発物や、連載が終わったけれど、まだ本にしないもの(忙しくてできない)もありますが、そのへんはゆっくり手を入れて、キチンとしたカタチでお目にかける予定ですので、ノンビリ待っていてくださいね。
 さて今回は、ちょっとコマーシャルさせていただきました。次回から通常に戻りますので、今まで以上のスッポ抜けにご期待ください(なんちって)!

[ここで担当編集者S氏登場]
「いやぁ、やっちまいましたね。他社の本ばかりズラズラと……うちのは『虹が眠る場所』しかないじゃないですか。ハッキリ言って困りますよ」
「えっ、だってSさん、書いていいって言ったじゃないですか」
「そんなコト言ったかなぁ……今日は暑かったからなぁ」
「確かに言いましたよ。忘れん坊将軍ですか?」
「(ムッとして)冗談に決まってるじゃないですか。だいたい連載一周年念なんて、まだ先ですよ。まったく気が早いですね。あわてん坊将軍ですか?」
「なに怒ってるんですか?まったく、おこりん坊将軍なんだからぁ」
「なに甘えてんですか? 甘えん坊将軍ですか? まったく、やってらんないっスよ」
「なに威張ってるんですか? えばりん坊将軍ですか?(思わず机を蹴飛ばす)」
「なに暴れてんですか? 暴れん坊将軍ですか?」
「あっ、それを言っちゃあ、オシマイでしょ。そのまんまですよ」、
「……花まんま」
「それ、すでに連載第一回目で使いましたよ……忘れん坊将軍ですか?」
以下、無限ループで夜明けまで。
朱川湊人(しゅかわ・みなと)プロフィール
1963年1月7日大阪府大阪市生まれ。81年東京都立淵江高等学校卒業。86年慶応義塾大学文学部国文学科卒業。出版社勤務を経て文筆業に。平成14年「フクロウ男」(『都市伝説セピア』文藝春秋刊=第130回直木賞候補所収)で第41回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。平成15年には「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞、平成17年に「花まんま」で第133回直木賞を受賞した。他の著書に『さよならの空』(角川書店)、『かたみ歌』(新潮社)がある。