「GOETHE」11月号(9月24日発売予定)の映画ページでご紹介しきれなかった、
この秋の話題映画のイラストを描かせていただきました。
何がしかのお役に立てば幸いです!

 “デンゼル・ワシントン"といえば、個人的には『高級料亭』のイメージです。「ここの料理はもう何でもおいしいから!」=「デンゼル出てる映画は大体全部おもしろいから!」…といったところでしょうか。そんなデンゼルさんの最新作である本作を見て、わたくしは己の先入観に間違いがなかったことを確信しました。今回のデンゼルは“無垢な若者を洗脳する悪人"なのですが、最後の方になると“正義の人"である主人公よりも、悪役・デンゼルの方がイイ人に見えてきてしまいました。「デンゼルは間違ってないわ。みんなの方がおかしいのよ!」立派な“洗脳"です。で、洗脳されてみて初めて分かったのですが“自分が信じている相手に心酔する"って、結構、気分がいいもんなんですね…。今後は“謎の整体師"や“自称占い師"に丸め込まれないよう、細心の注意を払って生きていきたいと思います。

映画『デンジャラス・ラン』公式サイト
http://d-run.jp/

「架空の国家・ワディヤ共和国の独裁者・アラジーン将軍が、訪れたアメリカで難民になる」という、状況の説明がどうにも難しい一作。9・11とか核兵器とか、世の中的に「デリケート」とされているネタを扱ったジョークが満載なことにも動揺を覚えました…。ジョークのみならず、アクションも過激です。空中で脱糞し、子供を殴り、走行中の自動車にゴミ箱を投げつける…。アラジーン将軍、もう、なんでもアリです。でも最後まで見ると「自分たちの国の政治は果たしてこのままでいいのか?」という真面目すぎるメッセージが浮かび上がるという仕掛けに驚かされます。ほぼ全編に渡るバカ騒ぎは、コレを言うためだったのね…と思うと、目頭が熱くなるとか、ならないとか。やるからには思い切ってやる。中途半端が一番よくない! アラジーン将軍の徹底した奇行ぶりから、そんなことも学べる注目作です。

映画『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』公式サイト
http://www.dictator-movie.jp/

 結婚詐欺に手を染める夫婦を描いた話題作。とにかく、詐欺師になる前に、夫婦が営んでいた小料理屋「いちざわ」のメニューがとてもおいしそうで、お腹が鳴りました。(煮物とか焼き鳥とか)。あと、阿部サダヲさんの演じる結婚詐欺師が、女にも子供にも犬にも好かれそうな感じで妙にリアルで、ゾッとしました・・・。主人公に騙される被害者女性を見ていると「誰かがどうにかしてくれる」的な、他力本願な夢を持ってしまったのが、すべての不幸の始まりだったようにお見受けします。「もう誰も頼らないわ!」的なテンションを保ちつつ、自力でどうにかする方向で夢を持ち続けられたら、人生は素敵かもしれません。

映画『夢売るふたり』公式サイト
http://yumeuru.asmik-ace.co.jp/

 堺雅人さん演じる“売れない役者"と、香川照之さん演じる“伝説の殺し屋(?)"の人生が入れ替わってしまう映画。(殺し屋が記憶喪失になる→役者が殺し屋になりすます)。印象的なのが、殺し屋の几帳面な性格。“部屋がきれい"、“字がきれい"、“勉強熱心"、“真面目"。そんな人間だからこそ、人々に「伝説」とまで言わしめるほどの「イイ仕事」ができるのだな…と、社会人として非常に勉強になりました。(※仕事っつっても殺しだけど)。それから、広末涼子さん演じる編集者が作っている月刊誌のコンセプトも素敵でした。「毎月、その分野における最高のモノを特集する雑誌」だそうで、「先月は椅子、今月は塩の特集」とは・・・ぜひ読んでみたいものです。いや、むしろ定期購読したい! 映画がフィクションであることが、これほど悔しかったことはありません。

映画『鍵泥棒のメソッド』公式サイト
http://kagidoro.com/

 ズレてしまった「暦(こよみ)」を作り直すため、江戸時代の(碁打ちにして)天文学者・安井算哲(岡田准一)が仲間とともに奮闘する!"といった感じのお話でした。ピュアでまっすぐで努力家の主人公はもちろん素敵なのですが、個人的には市川染五郎さん演じる超・性格悪い敵役に心を掴まれました。なんか、染五郎さんが白塗りメーク&公家ファッションで登場するやいなや「のほほん茶だ!」とか思っちゃって…。(※昔、サントリーの「のほほん茶」のCMで似たような格好をしいてた記憶が…)。映画の音楽は久石譲さんが担当なので、全体的には「伊衛門」のCMみたいな空気感なのですが、染五郎さんが出てくるとそこだけ「のほほん」ワールドに…。もしかしてこの映画の裏には「のほほん」VS「伊衛門」という“お茶代理戦争"という構図が隠されているのか!? と一瞬邪推しましたが、多分(というか絶対)そういうことはないと思います。時に染五郎さん、怪我は大丈夫でしょうか…?

映画『天地明察』公式サイト
http://www.tenchi-meisatsu.jp/

 12〜18歳の少年少女が一所に集められて死闘を繰り広げる「ハンガー・ゲーム」。主人公・カットニスの「絶対に生き残ってやる!」というサバイバル精神が、とにかくカッコよかったです。矢を放って野鳥食って、蜂の巣放り投げて、猛獣と闘って・・・まさに「山ガール極まれり」。近年では「オシャレであること」が重要事項として世に認識されている風潮がありますが、果たして本当に『人生はオシャレに楽しまないといけないもの』なのか? ヒロインの姿を見て考えてしまいました。(別に、オシャレな生き方しなくても良くねぇ?) とりあえず、サバイブできてればそれでよしです。“学校つまんねー"とか思ってる中高生の皆様にも、お勧めの一本だと感じました。

映画『ハンガー・ゲーム』公式サイト
http://www.hungergames.jp/