今月も『GOETHE』(12月24日発売号)でご紹介しきれなかった新作映画をイラストにさせていただきました。ぜひ『GOETHE』とセットでご覧下さい!

「劇作家ウィリアム・シェイクスピアの作品は、実は別人が書いたものだった!」という説を基にした歴史ミステリー。本作に登場する“本物のシェイクスピア"はオックスフォード伯という人物なのですが、彼は諸事情により表立って執筆活動をすることができません。そこで“別の人"に自分の作品を託して演劇を上演させたところ、これがミラクルヒットを飛ばしてしまい…といったストーリー。自分が死ぬ思いで戯曲を書いているのに、喝采を受けているのは、全然関係ないオッサン・・・。努力しているのに正当に評価されないオックスフォード伯を見ていると、思わず目頭が熱くなりますが、でも考えてみればこういうことは、一般の会社などでもありがちな事態かもしれません。デキる人物なのにアホ上司のさじ加減ひとつでおかしな人事異動に巻き込まれてしまったり、かと思えば、(お前が?)みたいな方が謎の出世を遂げられたり・・・。これら一連の不思議現象、勃発の理由は様々かと思いますが、個人的には「世の中には『人生に向いている人』と『そうでない人』がいるから、まぁ、しょうがないのかな・・・」などと考えております。料理とかスポーツみたいに、人生にも得手、不得手があるのではないでしょうか。(この映画の中の)“本物シェイクスピア"も多分、大天才ではあったものの“いいカンジに世の中を渡ってゆく能力"が、若干欠落した方だったのかもしれません。でもたとえ“向いてない"としても、心を込めて行った彼の仕事は評価され続けているわけですから、人間、希望を捨てちゃイカンということで・・・。以上、「向いていない組合」同志の皆さまへの、映画ご紹介のご連絡でした。

映画『もうひとりのシェイクスピア』公式サイト
http://shakespeare-movie.com/

『174時間』、『24-TWENTY FOUR―』、『オーシャンズ11』、『12人の怒れる男』、『セブンティーン・アゲイン』…。タイトルに数字が入っている映画は、たいてい面白いです。数字を見た瞬間、こちらはつい「どんな意味が込められているのだろう?」と立ち止まってしまうので、その時点でもう「向こうの勝ち」。映画『96時間』も然りです。(え? 96時間? 4日間? それが何!?)気がついた時にはもう、先方のペースです。(ちなみに96時間というのは、誘拐された人間が無事であると考えられるタイムリミットを表しているそうです)。そんな『96時間』の続編が、本作『96時間 リベンジ』。前作は、特殊能力を持つ父・ブライアンが誘拐された娘・キムを救う話でしたが、本作は前作の「犯人の親」が、自分の息子(犯人)を倒したブライアンを復讐のために誘拐するという…“リベンジ、向こう目線かよ"なあたり、非常に斬新な作品だと思いました。また、前回はスーパーヒーローであるブライアンの活躍をハラハラしながら客が見守る構図でしたが、今回は軽率娘・キムがお父さんを救う話なので、“しっかりしてない人の危なっかしい行動を見守る"という点においても、ハラハラのベクトルが新しいです。こうなってくると、次回作ではおそらく、キムの娘(やっぱり軽率)が誘拐され、祖父&母で96時間を乗り切ることになるのではないでしょうか。そしてその次は娘の娘が、さらにその次はそのバカ息子が…と言った具合にストーリーを展開していけば、映画『96時間』シリーズは未来永劫安泰…(のはず!)いちファンとして、作品がずっと続いてくれることを願っております。

映画『96時間 リベンジ』公式サイト
http://www.foxmovies.jp/96hours/

 19世紀イギリスを舞台に、女性であることを隠し、ホテルのウェイターとして「男の人生」を生き抜いたアルバート・ノッブス氏の切ない運命を描いた作品。主人公・アルバートを演じるのは大女優のグレン・クローズ。ちなみにグレンさんはこの映画の製作も務めているそうで、本作の構想期間はなんと30年(!)。(そんなに長い間、何やってたんスか…)という疑問はさて置き、まずはまっさらな心で本作をご覧になっていただけば、(さすが!『アバター』よりもさらに16年“寝かせ"が長いだけのことはある!)と納得が行く作品であることは間違いありません。とても文学的かつ、衝撃的な内容でした…。で、以下は全く関係のない話ですが、わたくしにとって“アルバートさん"といえば、これまでは、漫画『キャンディ・キャンディ』に出てくる怪しいグラサン男(本当は大富豪)のイメージでした。でもこの作品を見て以降は、映画が濃すぎて(?)“アルバート"と聞くだけでもう、自動的に男装のグレン・クローズが頭に浮かぶようになってしまいました…。小森といえばおばちゃまだったものが、いつしかギャルを指すようになり、愛といえば飯島だったものが、いつのまにか“はるな"や"卓球の方"を指すようになっている・・・。時代の移り変わりとともに、言葉のイメージも変わるもの。本作は「アルバートイメージ政権交代」を成し遂げたという点においても、個人的には非常にエポック・メイキングな1本となりました。

映画『アルバート氏の人生』公式サイト
http://albert-movie.com/

蛇社説

Webマガジン幻冬舎: 豊村真理 蛇いちご新聞 第32回

ポイントカード問題

ポイントカード問題

「当店のポイントカードはお持ちですか?」
 そう聞かれると、いつも暗澹たる気持ちになります。作ったような気もするし、作ってない気もする。私は整理が苦手なので、財布の中はいつもカオス。だからこの手の質問には、とっさに答えることができません。考えあぐねて、「ないと思います」「今日忘れました」テキトーに返事をすればしたで、「ではレシートに本日分のスタンプを押しておきますので、次回ご来店の際に・・・」みたいな流れになり、捨てるに捨てられないレシートが増加→財布のカオス度がヒートアップ→どの店のカード持ってるんだかもう本格的に分からない…の無限ループ。
 ポイントカードはまさに頭痛の種なわけですが、考えてみれば彼らは、不思議な存在です。大してお得でない場合も多いのに、「ポイントがいっぱいになったら○○円分をお会計からお値引き!」「素敵なプレゼントを進呈します!」などと言われると、つい作りたくなってしまう。で、例えばドラッグストア・A店でカードを作ってしまうと、欲しいものがあって街中でB店と遭遇しても、「Aのある駅まで歩くか…」となってしまい、
 しかしそうなってくると、その手間は本当に“お得な行為"なのかどうか…非常に疑わしいです。
 ポイントカード・・・人間に例えれば、『良い人なんだけどおせっかいで、彼氏の行動にまでいちいち口を出すうっとうしい束縛女』といったところでしょうか。なので最近は、束縛女から逃れるプレイボーイ(死語)の気分で、ポイントカードとの距離を置くよう心がけているわたくしです。「当店のポイントカードをお作りしますか?」「いや、いいです・・・」「今日はポイント3倍デーですが」「ホント、気持ちだけで・・・」「今ならこの鍋敷きも付いてきますよ?」「・・・私もう、一生鍋、食べません!!」
 確かにポイントカードを整理・活用できれば、それはお得だと思います。
 でも、ポイントカードの奴隷として生きるくらいなら、迷わず「損な人生」を選びます。なぜならばわたくしは今、「別のポイント」を集めることを日々の課題としているからです。
「そのポイントの存在」に気づいたのは、満員電車の中でした。たまたまある時、老人に席を譲ったところ、後日(超疲れていた日に)電車に乗るやいなや「目の前に座っていた人が降りた」ということがありました。その時です。「チャリーン!」耳元でポイントが還元される音が聞こえました。(人に親切にしたら、いつか自分に還ってくるものなのね・・・)。逆も然りです。他人に不親切にしてしまった場合は何となく、後でちょっとイヤなことがあったりします。
 そう。私たちはきっと、財布の中だけではなく、心の中にも、「見えないポイントカード」を抱えて生きているのです。マザー・テレサ、フローレンス・ナイチンゲール、マハトマ・ガンジー、そして高倉健…。「偉人」と呼ばれる人物達はみな、「善行」を重ね「人徳」という名のポイントを貯めているように思えてなりません。…というわけですから、まずは「心のポイント」を集めることが最優先。その他のことは後回しだ!! と理由をつけて、財布の中及び部屋の片付けは、すべて年明けまで延期する予定です。



豊村真理(とよむら まり)プロフィール

豊村真理(とよむら まり)プロフィール

1981年生まれ。
「週刊TVガイド」編集部を経てイラストレーターに。第27回読売広告大賞優秀賞受賞。
余命半年から生きてます!」(相河ラズ著/幻冬舎刊)挿絵を担当。雑誌「GOETHE(ゲーテ)」で映画のイラストを連載中。
ブログもだいたい毎日更新中!

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