お品書き



豪華さ、上映時間、内容の濃さ・・・などからかんがみて、「コストパフォーマンスが高い!」と言えそうな(!?)春の注目映画をイラストにしました。賢い消費者の皆様に捧げます…。

今月も『GOETHE』(4月24日発売号)でご紹介しきれなかった新作映画をイラストにさせていただきました。ぜひ『GOETHE』とセットでご覧下さい!

 思えば昨年、映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観て、「トム・ハンクスがものすごくちょっとしか出てこなくて、ありえないほど寂しい」と客席で深く遺憾の念を抱いたものですが、この件に関してはどうやらトム・ハンクス自身も同じ気持ちだったようです。最新作『クラウド・アトラス』では昨年の出番不足のウサを晴らすかのように(?)それを補って余りある、ひとり6役を熱演! もう「これでもか!」の「トム攻撃」。そして続く「トム連打」「トム大盛り」「トムわんこそば」状態…。「もーお腹いっぱい!」こっちがフタをしようとしても、横からサッと椀に入れてきます。(トムを)。油断も隙もありゃしません。監督は『マトリックス』を手がけたウォシャウスキー姉弟らで、ストーリーや映像も斬新。そうそうたるスター達が特殊メイクを施し脇を固めているあたりにもこだわりを感じます。そして上映時間は驚がくの175分!…と、以上をまとめると「トム・ハンクス主演」「スケール壮大」「豪華キャスト」「約3時間」と、これ以上ないほどに「コストパフォーマンスの高い作品」となっています。でもいかんせん長いので、序盤からコーラは飲みすぎないのが正解です。

映画「クラウド・アトラス」オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/cloudatlas/

 米・ニューヨークの街角で50年以上もファッション・スナップを撮り続けているフォトグラファーのビル・カニンガムさんを追ったドキュメンタリー。ニューヨーカーの間では彼に撮られることがステータスだそうで、担当する「ニューヨーク・タイムズ」紙のコラムも大人気!と聞けば、ピーコさんとドン小西氏とアラーキーを足して3で割った感じのファッション・モンスターを想像しがちですが、ビルさんはその真逆。ソフトな物腰に天使の笑顔を併せ持つ稀代の好々爺です。しかし、「人と人を比べて批判したりない」「無料で着飾った有名人に興味はない」などの独自のポリシーからは、ビルさんがファッションに対し、厳しくも確かな選球眼を持っていることが伝わってきます。
 ビルさんが担当する「ニューヨークタイムズ」紙のコラム「オン・ザ・ストリート」は毎回、「デニムワンピースの人」「チェーンを付けた人」「雨の日の装い」「大き目シャツの人」などユニークなテーマで特集を組んでいるようですが、「今回はコレをとるぞ!」とあえて狙って撮影してはいないそうで、その心は「街に身を置くと、ストリートが自然とテーマを語りかけてくるんだよねー」。・・・要するに天才のビルさんですが、そんな彼の仕事術を垣間見られ、何気なく言い放つ数々の名言をも拝聴でき、街角のオシャレなスナップもシャワーのように観まくれる…と、本作もとてもお得で、この春の必修科目的な1本だなと思いました。いつかニューヨークの街角で、ビルさんの仕事ぶりを見てみたいものです…。撮ってもらうためにはやはり、芸者キモノファッションでしょうか?

映画「ビル・カニンガム&ニューヨーク」オフィシャルサイト
http://www.bcny.jp/

世の中には一見しただけで(うわぁ、金かかってんな!)とこちらが即座に理解できる「超・豪華映画」というジャンルがありますが、この作品はまさにそれ。バレンシアガやディオールのスタイル画を参考に作られたドレスやら、シャネルから貸し出された1億8000万円相当のダイヤモンドジュエリーやらがバンバン登場し、ひたすらゴージャス映像が続きます。加えて、手紙を破いたら紙屑が雪になる、扉を開けたら別世界、などの幻想的なシーンも多く、冒頭からラストまでみっちりと「ゴージャス&ポエティック」な世界観を堪能することができます。ヒロインは、マジメな夫(政府高官)と情熱的な愛人(青年将校)の間で揺れる人妻・アンナなのですが、それより気になるのがこの青年将校。アンナを待ち伏せたり、熱心に口説いたりとかなり強引な人物なのですが…この人、たまたまハンサムだったから何やっても「情熱的な殿方」で済まされてますけど、同じことをイケメンじゃない人がやったらどうなるのか? 多分ホントすぐにでも「接近禁止令」とか「現行犯逮捕」とかっていう世界になっちゃうんだろうなーと思うと、しみじみ人間って哀しいですよね。あと、どうでもいい話ですが『アンナ・カレーニナ』って聞くとなんか、無性にカレーが食べたくなります。多分、脳内でこう変換されるからでしょう。「アンナ、カレー煮な!」

映画「アンナ・カレーニナ」オフィシャルサイト
http://anna.gaga.ne.jp/



豊村真理(とよむら まり)プロフィール

豊村真理(とよむら まり)プロフィール

1981年生まれ。
「週刊TVガイド」編集部を経てイラストレーターに。第27回読売広告大賞優秀賞受賞。
余命半年から生きてます!」(相河ラズ著/幻冬舎刊)挿絵を担当。雑誌「GOETHE(ゲーテ)」で映画のイラストを連載中。
ブログもだいたい毎日更新中!

豊村真理オフィシャルブログ
New Nonsense
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