お品書き




鑑賞後にココロが晴れやかになる新作映画と、ちっとも晴れやかじゃない「大人」に対する複雑な思いをイラストにしました。プラマイゼロなカンジで宜しくお願いします。

今月も『GOETHE』(5月24日発売号)でご紹介しきれなかった新作映画をイラストにさせていただきました。ぜひ『GOETHE』とセットでご覧下さい!

 美術鑑定士とカウガールの迷コンビが、いけ好かない億万長者にモネの贋作を売りつけようと奮闘するストーリー…なのですが、とにかくキャメロン・ディアスの笑顔が豪快で美しかったです。もう、顔じゅう口。私が億万長者なら、あの笑顔のために贋作でも何でも言い値で買い取ってやって悔いはない。
 あと本作を観ながら、すべての女性はA:「女受けする人」B:「男受けする人」C:「どっちにも受ける人」D:「まぁフツーの人」に分けられるかな…などと思ったのですが、キャメロンは間違いなくCの人です。ではなぜ彼女がCか?といえば、それは美人だからとかスタイルがいいからとかいう物理的な理由以上に、前髪逆立てたり、パンツ一丁で踊ったり、坊主になったり、ゲロ吐いたりと、他の人が「ちょっとそれは…」と躊躇しそうなアクションでも、いつも平気でやってのけてしまうあたりに秘密があるように思いました。みんながイヤがることでもサッと挙手して「アタシ、やるから」と引き受けてしまうハードボイルドな男気。これこそ、Cに入る選ばれし精鋭たちの条件かもしれません。

映画「モネ・ゲーム」オフィシャルサイト
http://monetgame.gaga.ne.jp/

 宮藤官九郎監督映画の最新作。妄想しがちな中学2年生の円山君と、謎のシングルファーザー・下山さんが交流する不思議なお話で、団地を舞台にした激しいアクションシーンなど見どころはたくさんあったのですが、個人的には円山君の妄想を書き留めたノートを下山さんが褒めるシーンが、いちばんカッコいいと思いました。下山さんの「現実に負けるな、妄想と向き合え。妄想が現実を超えたとき、それは真実になるんだ」という含蓄あるアドバイス…なんかよく分かんないけど、超・響きました。今中学生の人が見たらきっと共感する内容だと思うし、元・中学生が観ても、グッとくる作品だなと感じました。

映画「中学生円山」オフィシャルサイト
http://maruyama-movie.jp/

社説

Webマガジン幻冬舎: 豊村真理 蛇いちご新聞 第40回

大人問題

大人問題

 毎年1月。スピーチ中の市長に木刀で殴りかかる「荒れる新成人」のニュース映像を観るたびに(二十歳で成人で、いいのだろうか!?)と、多くの皆さまが感じていることと思いますが、ならばいつ、人は大人になるのか…。今回はそのあたりを考えてみたいと思うのですが、まず自分自身を振り返ってみても、いいトシして「大人らしさ皆無」なのが情けないです。私はお酒もタバコもダメですし、ブラックコーヒーも飲めません…。歯医者さんの治療も我慢できませんし、幅が狭いエスカレーターに乗るやいなや両手でベルトを掴んで体重を預け、脚をブラつかせて悦に入るという最低ランクぶり。しかしそんな残念アラサーの私とて、過去に一度だけ「今…大人になったかも」とうっすら感じた瞬間がありました。
 
 それは12歳の冬、中学受験に失敗した時のことです。一応、塾にも通ってそれなりに準備したつもりだったのに、努力の先に待っていた結果が「残念!」だったのが衝撃で、当時は処理に困る重い荷物を手渡されたような気持ちになりました。そして「もしかしてこういう、受け入れたくない現実を受け入れることが、大人になるということなんだろうか?」と感じ、「今、ちょっと大人になったかも…」と思ったわけです。ま、ただの子供の妄想ですが、しかしながらジャングルの奥地では「猛獣を1頭、ひとりで倒せたら大人」とか「全身に彫り物を入れる、その痛みに耐え抜いたら一人前」といった部族もあるようなので、やはり大人になるというのは、それなりの激痛を伴うことと考えて間違いないように思います。

 そして、そのイタさをどう処理するか?こそがその人の「個性」なのかな、とも思います。ちなみに私は当時「とりあえずこの重い気持ちを箱に詰めてやり過ごし、いずれ中身が発酵して珍味になったら粉々に砕いて調理して『笑い話』という名の一品料理にでもしてやるか…」などとふてぶてしいことを考えた記憶があります。で、それ以降、何があってもそのスタンスを貫いてきたのですが、ま、これはこれで難しい。長年かけてもネタが発酵しないこともあるし、調理の段階で手間取ることもあれば、できあがった料理が人から受け入れられないことも…。

 しかし壁にぶつかる一方、飽くなき探究心で挑戦を続けていけば、いつか必ず「いいカンジの料理」ができあがるはず、と無根拠に信じていたりもします。そしてその時こそ、自分はきっと「ちゃんとした大人」になれるはずだ、とも。晴れて「大人」になった暁には…その時は。
 トラの1頭でも、素手で倒せたらステキですね。



豊村真理(とよむら まり)プロフィール

豊村真理(とよむら まり)プロフィール

1981年生まれ。
「週刊TVガイド」編集部を経てイラストレーターに。第27回読売広告大賞優秀賞受賞。
余命半年から生きてます!」(相河ラズ著/幻冬舎刊)挿絵を担当。雑誌「GOETHE(ゲーテ)」で映画のイラストを連載中。
ブログもだいたい毎日更新中!

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