お品書き




6月にぴったりの爽やか映画と、奥深き「美容室」に対する情念をイラストにしました。
ジューンブライドに捧げます…!

今月も『GOETHE』(5月24日発売号)でご紹介しきれなかった新作映画をイラストにさせていただきました。ぜひ『GOETHE』とセットでご覧下さい!

 本作は「突然死したパパの声が庭の木から聞こえてくる」と主張する8歳の少女と、その家族の成長を描いた不思議な映画です。ストーリーも独創的ですが、登場人物の服の着こなしが実にオシャレで、夕日や朝日などの“自然映像"も一発退場の反則技なほど美しいという、三拍子揃ったレアな作品でもあります。
 ファンタジックな設定だからでしょうか?この映画を観た後は、外でちょっと大きめの木を見かけるたびに(これもしゃべり出すんじゃないかしら?)とか(こっちの木は夜中に走ったりしてそう!)などと、ついついチェックを入れるのが日常に。よく見ると木って、それぞれ不思議なカタチしてるもんですね。あと木といえば以前、ドラクエのキャラクターで木のモンスターとかもいましたよね…(『じんめんじゅ』だっけ?)あれはコワかった! でもやっぱり、マイ・ベスト・オブ・木キャラは「にこにこぷん」の「かしの木おじさん」かなぁ?久々にTVで観たいわ〜。などなど、最近じゃもう私、木のことで頭がいっぱいです。心のBGMはもちろん!「気になる木」です。

映画「パパの木」オフィシャルサイト
http://papanoki.com/

 木下惠介監督生誕100年記念映画。本作は、身体の不自由なお母さんを連れて疎開するために(若き日の)木下監督がリヤカーを引いて60キロ(!)の道のりを歩くという、実話を基にした“本気の"ロードムービーです。過酷な状況下、ひたすら歩を進めること17時間…体力の限界を超えてなお、まわりの風景から次回作のネタ探しをしてしまう木下監督がカッコよかったです。
 そして「監督が主人公」といえば、『サイコ』を撮影するヒッチコック監督にスポットを当てた映画『ヒッチコック』(そのまま)も公開中ですが、「監督ムービー」、流れがキテるんでしょうか!? 「天才」と呼ばれる人々の日常には興味深いエピソードがたくさん埋もれていそうなので、今後もいろんな「監督映画」を観てみたいです。でも、『アバター』を制作するジェームズ・キャメロン監督を映画化したら、“構想15年"のとこだけで作品が終わりそうだけど…。

映画「はじまりのみち」オフィシャルサイト
http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/

社説

Webマガジン幻冬舎: 豊村真理 蛇いちご新聞 第41回

美容室問題

美容室問題

「伸ばしてるんですか?」「…いいえ、伸びたんです」
 ショートにしておきたいけど美容室が苦手。結果、美容室から足が遠のいて伸び放題→ムッシュかまやつになってようやく予約を入れては、美容師さんから冒頭の質問を投げかけられ、ダークにうつむく私です。しかし自分はなぜこうも美容室が苦手なのか!? そこで今回は、散髪行動に付随するさまざまな「心の壁」を検証しつつ、改めて「美容室」という場の意義について考えて参りたいと思います。

 まず、美容室で難しいのが「オーダー」です。自分がどうして欲しいのか?それを他者に正確に伝えるのは至難の業です。そこで「言葉での説明は不可能」と割り切って、私は常に雑誌の切り抜きを持参するようにしております。でもこの切り抜きが難しい。あまりに美しい人の切り抜きを持参すると(オイオイ…顔は変えらんねぇぜ?)と美容師さんに失笑されそうですし、でもだからといってあえてダサい人の写真を持って行く意味が分かりません。そこで「髪形はステキだけど顔は別にカワイくない人!」と狙いを定めて雑誌をめくりますが、(そんな人、載ってねーし!)とかやってるうちにどんどん時間が過ぎてゆきます。で、ふと(髪はボーボーなのに、やってることは不毛?)とかちょっとウマいこと思いついてニヤけたりする自分にもイラっとしつつ、夜が更けてゆくのです。

 そして第二関門が「洗髪」。特にシャンプー中に顔に載せられるあのシート、アレが頼りないったらありません。鼻息の荒い私は過去、貧弱なアイツらを何枚宇宙の彼方に吹き飛ばしてきたことでしょうか? 先日も(今日こそは絶対に飛ばさない!)と心に誓った端から『ジャッカス・ザ・ムービー』の“お尻にベビーパウダーをはたいてオナラを目で見てみよう!!"の実験映像を思い出してしまい、秒速でシートをブッ飛ばした次第。一刻も早く「鋼鉄のシート」が発明されることを願うばかりです。

 さらに、「シャンプー後にオールバックで大鏡の前に座る」というアクションも苦行です。こっちは普段、自分の真の姿とか凝視しないように生きてますからね…突然「現実」を見せ付けられると動揺するわけです。まずは薄目でご対面です。

 加えて「美容師さんから手渡される雑誌のジャンル」にも、トラップが。
 初めての美容室だと、持ってこられる雑誌の種類によって「自分が普段、人からどっち系の人間とみなされているのか?」が明らかになってしまいますので、何が来てもドンと受け入れる心の準備が必要になります。以前、表参道のオシャレな店に赴いたところ、満面の笑みで「明日から始める ベランダで野菜作り」みたいな本を手渡され、愕然としたことがありました。ま、黙って読みましたけどね・・・。ちなみに隣の女子が配給されてた雑誌は「CanCam」。心の傷は5年たった今でも消えません。

 ・・・と、かくも葛藤の多い美容室ですが、最後にクセ毛に悩む知人女性が漏らした、含蓄あるこんなひと言をご紹介させていただきたいと思います。

「私がストレートパーマをかけようとしてたその隣で、
メチャメチャ綺麗なストレートロングの女のコが
スパイラルパーマをかけようとしてた・・・。
あの時、
人間の欲望には限りがないんだって分かったわ」。

 自分の思いを伝えることに煩悶し、精神の統一に挑戦。己の真の姿を受け入れ、欲望の奥深さを知る・・・。
「美容室」とはなんと、哲学的な場でありましょうか!



豊村真理(とよむら まり)プロフィール

豊村真理(とよむら まり)プロフィール

1981年生まれ。
「週刊TVガイド」編集部を経てイラストレーターに。第27回読売広告大賞優秀賞受賞。
余命半年から生きてます!」(相河ラズ著/幻冬舎刊)挿絵を担当。雑誌「GOETHE(ゲーテ)」で映画のイラストを連載中。
ブログもだいたい毎日更新中!

豊村真理オフィシャルブログ
New Nonsense
http://newnonsens.exblog.jp/