みそずい〜ミソジのつぶやきレター
大久保佳代子さま

 大久保さん、今、時代はセカンドオピニオンですよ。複数の病院で診てもらうのが当たり前ですよ。ご自愛くださいな。
 小学校からの付き合いですが、大久保さんが体の不調を訴えるのは、初めてですよね。あの我慢強い大久保さんが「痛い」という言葉を発するなんて。私はびっくりしました。そして、心から心配しました。そして、最悪の事まで想像してしまいました。
 ちなみに、葬式で歌いたい歌はドリカムの「サンキュ。」じゃなくて、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」です。理由は、歌い慣れていて、間違いがないからです。あと、訂正ついでに。年増の熟女ストリッパーは、客に背中を見せないと書いてありましたが、逆です。背中で演技をするのです。色っぽさは背中で表現するのです。
 私はとにかく「痛い」とか「調子悪い」という言葉をよく口にするじゃないですか? でもしょうがないんです。
 1週間に3度は下痢をするし、嫌なことがあるとすぐ胃に穴が開くし、興奮すると37度8分の知恵熱が出るし、冬場、新幹線で口を開けて寝ると必ず風邪をひくし、夏場、健康のためにジョギングしてたらぶっ倒れるし……。
 あ、そうそう、こないだ仕事で私、上海に行ったじゃないですか? 今度は、じんましん出ました。顔を中心に、手、腹と、真っ赤な斑点がボッコボコです。ボツボツというよりボッコボコなんです。共演者、スタッフ、みんな引きまくる程でした。ただ、芸人だけは氷川きよしちゃんのズンドコ節にのせて「じん、じんじん、じんましん、やすこ!」と歌って私を励ましてくれました。原因は、上海で食べたサソリと牛のペニスだと思います。しかし、顔の斑点はとれたものの、日本に帰ってきて4日目なのに、手の斑点がとれません。
 今日病院に行ったら、精神安定剤を渡されました。どうやらサソリとペニスの食い合わせのせいではなく、ストレスが原因のようです。
 そういえば今日、病院に行く前に英会話教室に行ったんですが、その時も斑点増えましたね。だって、全く日本語が通じない外国人先生が私に「今読んでる本は何だ? 村上春樹? どんな内容だ?」って訊くんですよ。
 日本語だって難しいのに、英語で説明できるわけないじゃないですか? だからココ来てんだろ、ですよ。一生懸命説明してんのに、オー、ワッカンナイてな顔をするだけなんです。ただ時間が過ぎてゆくんです。
 でもね、そこの授業料、40分で8500円なんですよ。もう1回言いますよ。40分で8500円ですよ。タイム イズ マニーですよ。あせるわけですよ。「早く、村上春樹の説明をせねば、お金が……、主人公って英語で何ていうんだ……おお、このシンキングタイムの間にも金が失われてゆく……金を湯水のように使うそんな身分に私はなっているか? なっていない!」どんどんストレスを感じたんですね。みるみる手の斑点が増えていきました。もそもそする私に気付き、外国人先生が怪訝な顔で私の手元を見ました。そして「ワッツ ローング?」と言いました。私が「アレルギー」と答えると「ノーノーノー、アレジー」と発音を訂正してきました。
外「アレジー」
私「アレルジー」
外「ノー、アレジー」
私「アレジー」
外「アレジー」
私「アレジー」
外「グッ」
 …………。
 だから大久保さん、私にストレスを与えないで下さいね。少しでもストレスを与えると、赤い斑点がボッコボコ出てきますからね。

 最近思うんですが、私が不調を訴えることがあまりに多いので、みんな私の言葉を「たいしたことない」で片付ける傾向にありません? 特に大久保さん。この斑点だって、おおげさなのよ、って思ってんでしょ? 精神安定剤もらって、ちょっと自慢げになってんじゃないの?って思ってんでしょ? 私、「変わってる」って言われて喜ぶような、自分探しの旅に出ちゃうような、そんな女じゃありませんからね。
 大久保さんって、私が本当に苦しんでいるのに「大丈夫?」と口先だけで言うだけで、これといったこと、何もしてくれませんし、心配すらしてくれませんよね。「ちょっとトイレ行ってくる」と言って、苦しんでいる私を残し、楽屋のドアを閉める時、アメリカ人気取りに肩を少し上げ、首を左右に振ってるの、私見逃してませんからね。「ふー、お手上げさ」みたいに。私はアメリカの表面ばかりマネしている日本人が大嫌いなので、そういう時の大久保さんはいつもの2倍嫌いになります。
 私? アメリカかぶれしてませんよ。私が英会話教室に行ってるのは、「外国人と付き合いたい」という純粋な下心からなので、いいんです。
 大久保さんの「痛い」という言葉には、みんな反応しますよね。大久保さんは我慢強い、だから大久保さんの「痛い」は相当痛いって。でも私思ったんです。果たして大久保さんは「我慢強い」のか?と。ただ、本当に「丈夫なだけ」なんじゃなかろうか?と。大久保さんの「痛い」は私が毎日感じてる「痛い」と同じ程度ではなかろうか? と。
 覚えてます? まだ私たちがデビュー間もない頃やった「お笑いサバイバル」という仕事。3日間、カンパン10個と小さな板チョコだけで山の中で過ごせ、ってロケ。朝から晩まで体を使ったゲームをやらされ、勝つと食べ物を与えられるけど、「なんだよコレ!」ってツッコむしかないモノで。とにかく辛かったロケですよ。私は2日目に病院に連れて行かれましたよね。瞼と手、虫に刺されたとこが、テレビに映せないくらい腫れ上がってしまって。眼帯と包帯を巻いて、ロケは続けましたけど、3日目にも病院に連れて行かれましたよね。炎天下で一発芸をやっていたら、貧血で倒れてしまって。どっちも、栄養失調による体力の低下が原因でした。人間、食べないってことが、こんなにも大変な事なんだって知りました。
 でも、同じ条件下にいた大久保さんはケロッとしてましたよね。「腹減ったぁ」と言うだけでしたよね。しかも、病院から帰ってきた私に「本当は病院で何か食べたでしょ?」と疑いの目を向ける体力も残してましたよね。
 ね! 大久保さんは、我慢強いんじゃなくて、びっくりするぐらい「丈夫なだけ」なんですよ。はじめて「痛み」というモノを味わって、ビビってるだけなんですよ。だから、そんなに落ち込むことないんですよ。やっと私の気持ちが分かるようになっただけ、なんですよ。手首の痛みがとれたら、もう少し愛嬌ある人でいられると言ってますが、愛嬌がないのは昔からですよ。妊婦に優しくできないのも昔からですよ。
 お互いに慰めあって、勇気付けあって生きてゆくしかないでしょう。34歳になったら、病気の一つも持ってなきゃ、逆にかっこつきませんよ。ホルモンバランスだって崩れますよ。私はアゴからヒゲが生えるようになって早9年です。朝起きると、おっさんの臭いがします。一人暮らしなのに、おっさんの臭いがして、誰かいる!って部屋を見回していた頃が懐かしいですよ。耳の後ろ、大久保さんも今度チェックしてみてはいかがでしょう?
 ホルモンバランスが崩れている、という話を親友のオカマたちにしたら、彼女たちがエロビデオをプレゼントしてくれました。ほんと優しい娘たちでしょ? DVDばかり使っていた今日この頃、久々にビデオデッキを使ったら、テープがからんでしまいました。取り出しボタンを押してもスガースガーという音をたてるだけで、エロビデオが出てきてくれません。電気屋さんに持ってゆくわけにもいきません。どうしようもないので、願掛けをすることにしました。「このエロビデオがデッキから素直に出てきた時、彼氏ができる」って。こういう私の赤毛のアン的なとこ、愛して欲しいです。

 P.S. 無事にエロビデオが出てきて彼氏ができたら、大久保さんにエロビデオ貸して上げます。
光浦靖子