みそずい〜ミソジのつぶやきレター
大久保佳代子さま

 前略 私の欲望といえばただ一つ、「褒められたい」です。いつでも、誰よりも、そう、褒められたがりぃなのです。最終的には生きてるだけで褒められる様な、パンダの様な存在になりたいのです。「笹食べたぁ。歩いたぁ。お昼ねしたぁ。」と。
 ただ、世の中そんなに甘くありません。めったに褒められる事がありません。私は褒められたくて、わざと、それ程仲良くない人に「どうせアタシなんて……」と仕掛けたりするのですが、返ってくるのは「そんな事ないよ」の否定程度だったりして、がっかりします。「なぜ、みんな私のように、私に甘くならないんだろう?」と日々思います。

 大久保さんの性欲は今や、女芸人界では有名ですもんね。ひどいですもんね。正直、気持ち悪いですもんね。
 大久保さんが気持ち悪いのは、それを隠そうとするところだと思いますよ。むっつりスケベ感満載なところだと思いますよ。誰よりも男に興味があるくせにそ知らぬフリをしたり。
 そういえば、大久保さんはすぐにフリをしますよね。誰よりも腹が減っているというのに、食欲のないフリをしたり。暑くてたまらないのに、寒いフリをしたり。暇なくせに、忙しいフリをしたり。誰をモデルにそういった女像を演じるのだろう?と常々思っています。
 また雛形あきこに憧れてるんですか? 以前、雛形がメイク中「寒い」と言ってブランケットを膝にかけたのを見て、大久保さん「私も」とブランケットをスタッフにもらったことありましたよね。たいして寒くもなかったものだから汗かきまくりで、ファンデーション塗っても塗ってもハゲてましたよね。それでも我慢してブランケット膝にかけ続けていましたよね。
 大久保さんは雛形とは顔の造作はもちろん、体質も違うのですよ。枝葉末節をマネしても、雛形にはなれないのですよ。大久保さんは、大久保さんに似合った行動をするべきです。
 酔った時もそうです。誰をモデルにしているのやら、酔っ払うと男に甘えたりしますよね。「かよちゃんねぇ、おちゃけのみすぎっちゃって、よっちゃったみたいで……」側で聞いているとお恥ずかしくなってしまいます。「おチョイレいきたい……あ、ごめんなちゃい」と言ってよろけたフリをして男にしなだれかかり、胸をグイと押し付ける現場を何度か見ていますが、あれもどうだか?と思います。
 胸をグイの瞬間、大久保さんの目がギラリと、肉食動物の目に変わるのを私は見逃していませんよ。酔ったフリをして、どさくさで男に触るなんて。そこまでして触りたいなら、正々堂々触りたいって言えよ、と思ってしまいます。どこぞの雑誌で仕入れた情報なんでしょうね。「グッとくる女の仕草」とか。いいですか。誰がやってもグッとくるのではないのです。可愛い娘からされるからグッとくるのです。何度も言っているでしょう。アナタは大久保佳代子なんですからね。ただの大久保佳代子なんですからね。
 大久保さんは、いい意味でも悪い意味でも私の反面教師になっています。「大久保さんのようにはなるまい」と私は過剰に思い、行動するようになってしまいました。お腹が空いていればガツガツと飯を喰らい、疲れてしまえばすぐにゴロリとなり、オナラは我慢はしません。イイ男を見れば「チ○コ見せろ」と素直に口に出してしまう女になってしまいました。「ウソはつくまい」という思いが、おかしなことになり、人の良いとこだろうが、悪いとこだろうが、発見するとそのまま口に出す、という困った女になってしまいました。
 初対面の男性に「あら、目が惜しいわね。もうちょいパッチリならモテたよね。あ、でも、モテたとしても、そこそこ止まりだよ」と言ってしまい、無視をされたことがありました。どうやら彼のコンプレックスだったそうで。
 でも、いい歳した男が容姿の事で悩むなんて、アホらしいじゃないですか? しかも、そんなブサイクじゃないんですよ。十分なんですよ。くだらない事で悩む暇があるなら、中身を磨けよって思うじゃないですか? で、またそれが、気付くと口をついて出ているんですよ。「だから出世できないんじゃないの?」とずっと無視されることになりました。結果、性格の悪い女で片付けられました。……こりゃいかんですな。嫌われて当然ですな。
 ……そして長い自己反省が始まるのです。
 まず、初対面の男性にウソを言うべきでした。「モテるでしょう?」と。そうすれば、彼は自ら言ったでしょう。「モテないよ。オレ、目が細いからブサイクだし……」と。
 白いモノを白、黒いモノを黒と言わない気持ち悪さは堪りません。しかし、自分から「それは黒だ!」と言わなくても良かったのです。相手に言わせれば良かったのです。それから言えば良かったのです。
「そんな、ブサイクじゃないよ。十分男前だよ。つーか、男は中身でしょ? そんな気にもならないこと気にしてるのはもったいないよ」
 同じ内容なのに、好感が持てたであろうに。そしたら彼も私を無視しなかったであろうに。
 なんなら、人の欠点を気にしない度量の広い女だ、と思われるラッキーパンチもあったやもしれません。
「イイ男ってのはね、中身磨いてる男のこと言うの。イイ男になって、ガンガン出世してやんな」
 アネゴなんてあだ名を付けられていたかもしれません。この女はオレを成長させてくれる、なんて思ったかもしれません。
 ……ああ……デカイ魚を逃した……また後悔と妄想に囚われ、眠れない夜を過ごすのでした。

 もう34歳です。人見知りだから、なんて言い分けは通用しない歳です。
 2006年、また前厄です。占いによると、今年は運が悪いそうです。だからこそ、トラブルを未然に防ぐために、人当たりの良い人にならねばいけません。
 今年こそ、知らない人にも、知っている人にも笑顔で挨拶、社交辞令的お世辞もしていき、いい人になるのです。

 そんな誓いを立てたのに、正月そうそう破ってしまいました。大晦日に、実家の女友達が5人やって来たのでした。私の家でカウントダウンしようよ、と。30日に仕事が終わり、大晦日、私は大掃除をしたかったのでした。この原稿(とっくに過ぎた締め切り)を書きたかったのでした。夜は友達のパーティーに呼ばれているのでした。
 私は断りました。「ちょっと忙しいから……」と。そしたら「えー……、でも泊まるとこないし……いや、無理ならいいよ、でも……泊まるとこないし……」と、人の都合を聞いたうえで、聞き入れずにやって来たのでした。
「いいよ、原稿書いてて」とは言いますが、集中できません。パソコンを開くと、「ねえ、これテレビのリモコン?」とエアコンのリモコンを手にしています。押せば分かるだろ!です。いちいち「これ燃えるゴミ?」と聞いてきます。頑張れば食べられそうなのが燃えるゴミだろ!です。 「トイレの紙がなくなったけど、どうすればいい?」ありそうな棚を開けばいいだろ!です。 「お皿借りたいんだけど……」「ありそうな棚を開けば」「いや、どれを使っていいのか分からんから……」どれでもいいよ!です。イライラは募る一方です。
 しまいにゃ「明日行くとこ調べたいからパソコン貸して」です。「使ってますけど!!」
 友人のパーティーも諦め、原稿も諦め、私もテレビを見ることにしました。大の格闘技ファンの私が、プライドを見ようとすると「K1は分かんないからつまらん」と言い出します。「紅白が見たいなあ……例年は紅白なんだけどなあ……」とつぶやきます。私は断固としてチャンネルは譲りませんでした。ただ、2画面にしましたけど。菊田・近藤、中村・瀧本の試合は、音声まで紅白に取られましたけど。
 翌、元日。車を6時間もとばし東京に来て、ただテレビを見た友人たちは、やっと帰ってくれました。帰り際、友人がいつもの調子で言い出しました。
「本当は帰って欲しくないんでしょ?」
 私は素直に言ってしまいました。
「マジ帰って。いい加減、迷惑なんだけど」
 思いっきり不快な顔をして言いました。
今年はいい年になるんでしょうか?

「友人が 帰った後に また反省」

 新春の句です。
草々 光浦靖子