ヤシキケンジ サムライブルー 酔いどれ観戦記

「平和の祭典」もどこへやら、血で血を洗うような3位決定戦だった。
 日韓戦というのは、スポーツに政治を持ち込むなとはいっても、やはり否が応にも盛り上がるものだと再確認。
 一見、大人しそうな扇原選手もここへきて、実は血の気が多かったのかと思わせる肘打ちプレイを朴 主永(パク・チュヨン)の顔面に食らわせ流血させたり、山村選手も流血させられたりで、さすがは日韓戦だ、もっといったらんかい! などと観ている側もエキサイトしてくる始末。不謹慎なのは承知の上だが、日韓戦でそういう楽しみ方をしている人は私以外にも案外いるんじゃないかと思っている。そんなのが観たいんだったら格闘技観ろよと言われるかも知れないが、不思議と格闘技では日韓対決でもそこまで熱く観れなくて、不思議なものである。もしかしたら、それぞれの格闘技でもそういう因縁があるのかも知れないが。
 前半30分過ぎあたり。両国とも思うように試合が進まないなか、清武選手が具滋哲(ク・ジャチョル)とやりあったあのシーンを見て興奮してしまった。清武選手はサンタフェとかの上下白ジャージ+セカンドバッグがすごく似合うんじゃないかと。五輪前に放送していた『情熱大陸』でもドイツへ旅立つ時の服装も似たような感じだったし。後ろに“キレたら手がつけられないキングコング"の異名を持つ酒井宏樹選手(これも上下白ジャージ)を従えて肩で風を切りながら街を闊歩する2人の姿なんていうのは画になると思います。
 しかし、悔しいことにパク・チュヨンもク・ジャチョルもシュートが日本選手より上手かった。ロングボール放りこみからの個人技で無残に負けてしまいました。気持ちも強さも韓国に負けていたのは誰の目から見てもそうだろう。
 あれだけ国に対して強い気持ちを持ち、闘志を前面に押し出す事が出来る選手たちを観戦しながら韓国軍関係者は「是非とも我が軍にきて欲しいハスムニダ」と思っていたに違いない。
 ブラジル戦後、次の日本戦を控えた韓国監督のホン・ミョンボは選手たちに「日本に感謝しよう。彼らは幾度となく我々の闘争心をここまで育ててきてくれたのだから」と言ったそうである。それは日本も同じだろう。
 もちろん歴史的背景も絡み合っての闘争心というのはあるのだろうけど、両国のサッカーというスポーツにおいて、これだけライバル心向き出しでファイト出来る国がいるというのは、両国にとって是が非でも勝つ為にモチベーションを上げるという意味でいい刺激になっている。だってスポーツを見る上で一番楽しみなのは、誰がなんといおうと勝ち負けの醍醐味なんだから。

 準決勝まで無失点できたが、最後の2試合で5失点。
 今までの無失点はなんだったのかと思わされる守備崩壊の2連敗でメダルもなしという結果に終わったしまった関塚ジャパン。
 初戦でスペインに勝っては盛り上がり、最後の最後にメダルをかけた日韓戦で敗れ去る日本。なんだか例えが非常に悪いような気がして申し訳ないことを承知の上で言わせていただくと、最初は思わぬ連チャンが来てたけど終盤に吸い取られてしまったパチンコのような五輪であったと私は勝手に思ってたりなんかして。あの時止めておけば勝ちで終わってたのに! って途中で止められないけど。たとえがゲスですみません。しかし4位という結果だけで見ると、トータルでチョイ勝ち、いや大会前の予想では勝ちなんて考えてもみなかったわけだから、良い結果だったのではないでしょうか?
 メダルを取れなかった事と試合後の韓国選手の掲げた政治的な意味のとか後味の悪さは残るが、永井の驚異的なスピード、清武の確かなパスセンスと香り立つチンピラフレーバー、吉田の守備力と大津の得点力にドリブルからの転倒&悶絶(大袈裟)などなど選手それぞれの個性がよく分かった大会で最後までハラハラさせられ非常に濃密だった。2010アフリカW杯の時よりも、勝ち進む事ができた今回の関塚ジャパン。
 W杯ではベスト16でも充分だという感じだった日本はいつの間にか欲張りになって、五輪のベスト4でもガックリしていたりする。最後に韓国に負けたせいだからというのもあると思うが、欲深いものである。
 よく不甲斐ないプレーをした選手が帰国すると空港でモノを投げつけられたりもするが、腐った卵とか泥団子とか投げつけられないかという心配もあるが、どうせ投げるなら「もっと上手くならんかい!」と野次のひとつも飛ばしながらサッカーボールの方が断然いい。
 ブラジルがメキシコに負けてしまうという大どんでん返しで終わった五輪サッカー男子。EURO・W杯最終予選に引き続き、またしても面白い1カ月でした。
 次からはまたW杯最終予選、その前に強化親善試合もある。
 攻撃面での打開策を得られなかった関塚監督もまたA代表に戻り、ザッケローニの元で頑張って欲しいものである。

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ヤシキケンジ

ライター。1979年生まれ。構成・アニメ・ドラマ・雑誌・ラジオ等で時々、仕事。10代の頃はジャニーズjr.の中に人知れず紛れ込んでおりました。今はポンコツ。

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